RAMPO Entry 2009
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2010年2月14日(日)

書籍
ベストセラーの風景 塩澤実信
11月7日初版第一刷 展望社
B6判 カバー 342ページ 本体2300円
著:塩澤実信
初出連載:月刊BOSS 経営塾
関連箇所
8 ミステリーの周辺(p257−281)
乱歩と風太郎の奇縁(p276−281)
江戸川乱歩全集いくたび(p276−278)/乱歩の命日に逝く(p278−281)

ベストセラーの風景

塩澤実信  

 8 ミステリーの周辺

  乱歩と風太郎の奇縁

   江戸川乱歩全集いくたび

 出版社系週刊誌の台頭で、急速に凋落した定期刊行物があった。「くらぶ雑誌」と呼ばれた娯楽読物誌である。その影響でここを舞台とした作家は、昭和三〇年代までに緩慢に消滅していった。
 しかし、その流れの中で生き残り、いくたびか全集や選集を刊行して存在感を示す作家がいた。日本の推理文学の鼻祖・江戸川乱歩、忍者小説から幕末維新の伝奇小説と多才ぶりを発揮した山田風太郎である。山田は江戸川乱歩が関わった推理小説専門誌「宝石」の第一回懸賞小説に『達磨峠の事件』で入選し、作家デビューしていた。
 江戸川乱歩の全集は、七七年前の一九三一年平凡社から一三巻で刊行されたのを嚆矢に、三八年に新潮社版の選集一〇巻、五四年に春陽堂版の全集一六巻、六一年に桃源社版全集一八巻と、七一年の生涯に四回も刊行された。最近も生誕一〇〇年を記念して、全小説をほぼ発表順に初版に近い形で収録した全三〇巻の文庫版全集が、光文社から刊行された。

 
 展望社:ベストセラーの風景