RAMPO Entry 2009
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2009年12月1日(火)

雑誌
探偵随想 第104号
11月25日 秋田稔
B5判 12ページ
とりとめのない話 秋田稔
エッセイ p1−12
関連箇所
孤独(p2−3)/宇野浩二(p3)/大将(p4)


とりとめのない話

秋田稔  

 孤独

 江戸川乱歩の随筆「群集の中のロビンソン・クルーソー」に、こういう一節がある。
 〈人間は群棲動物であるからこそ、その潜在願望では、深くも孤獨にあこがれるといふことではないのかしら。〉
 〈映畫街の人込みの中には、なんと多くのロビンソン・クルーソーが歩いてゐることであらう。(略)群集の中の孤獨を味ひに來てゐるのではないであらうか。〉
 昭和十年十月「中央公論」に発表。時に四十一。
 哲学者三木清の論文「孤獨について──人生論ノート」に、こういう一節がある。
 〈孤獨は山になく、街にある。一人の人間にあるのでなく、大勢の人間の「間」にあるのである。〉
 〈孤獨を味ふために、西洋人なら街に出るであらう。〉
 〈孤獨には美的な誘惑がある。孤獨には味ひがある。もし誰もが孤獨を好むとしたら、この味ひのためである。〉
 昭和十五年四月「文學界」に発表。時に四十三。
 明治生まれの二人の巨人のいう孤独を、思う。

(平21・7・26)


雑誌
探偵随想 第104号
11月25日 秋田稔
B5判 12ページ
とりとめのない話 秋田稔
氷嚢出征孤独宇野浩二大将エノケン九鬼女妖歯磨粉安息香横浜隠しインキボールペン茉莉花いたちリンゴ子育て幽霊のっぺらぼう
朝日新聞(大阪本社)入選川柳(10)
余風

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