美濃俣丸へ-カイドウノ尾の激ヤブに泣く '04.3
広野ダムから日野川源流の山々。左が笹ヶ峰、右端のピークが美濃俣丸
 雪が少なくなり、気持ちはだんだん日野川の奥へ追いやられる。宇津尾谷も今週はもう林道がズタズタで滑ることができないだろう、ということで、広野ダムの奥、美濃俣丸、笹ヶ峰を目指す。まずは手前のカイドウノ尾を調べる。ブッシュはどんな具合だろう。
 二ッ屋橋のたもとで カイドウノ尾末端を見て驚いた。全く雪がない。先週、美濃俣丸を眺めた時、あれだけたっぷり雪があるなら、途中の尾根も...というのはヌカ喜びだった。国境稜線だけなんだ、雪があるのは。
しかし、とりあえず板を持って行くことにする。
 かって美濃との往来に使われたカイドウノ尾の上には、踏み跡がところどころに残るそうなのだが、末端を見る限りさっぱりわからない。雪があったら何処でも登れるんだけど。二ッ屋橋のたもとからよく見ると、本流の左岸沿いに古い林道跡が見える。それをたどると、橋から300mほど入ったところに比較的緩い枝尾根が下りてきている。これにしよう。
 思った通り、枝尾根には踏み跡があったが、スキーがやけに引っ掛かる。主尾根までの150mほどの登りで、1日分の仕事をしてしまったくらい疲れた。汗びっしょりになる。板を放り投げて行きたいが、今にも雪が出てくるかもしれない。てな具合に決断しないまま、170センチの板を担いで苦行を続ける。板はヨコにして担ぐ方が得意なのだが、今日は具合が違う。スキーを担いで、こんな濃い薮はいまだかって経験がない。 標高700mくらいからは、傾斜のない部分では雪が続くようになるが、斜面が急になるとズタズタに途切れているし、時折細かい弾力のある小薮がうるさいくらいでてくる。ジグザグ進むので、さっぱり高度が稼げない。
二ッ屋橋からカイドウノ尾末端
カイドウノ尾 標高535m付近の比較的歩きやすい部分、スキーは立てた方が担ぎやすい
標高1000m付近のカイドウノ尾。眺めが開ける
 840m地点でとうとうスキーを放り出してしまった。
 空身になると、とたんに早く歩ける。標高900mくらいになると、尾根は緩やかになり、雪も安定してくる。

 1025m標高点に立つと、眼前に大パノラマが開け、国境稜線の状況が手にとるように見える。この先、少し下りになるので、歩きでこれ以上行っても何もいいことはないので、今日のところはこれまでとする。今庄でおろし蕎麦が、早く食べに来いと待っている。
標高1000m付近、鈴谷の向こうに美濃俣丸 同じ地点からカイドウノ尾上部。中央、国境稜線の向こうに三周ヶ岳が頭を見せる 1025m標高点
 今年のように、比較的まとまった雪が降った年でも、この尾根の薮は隠れることがないのではないだろうか? 要するに、今の時期のこの尾根は、標高900mから稜線(c.a.1130m)までの間だけがスキーが役立つ区間というわけだ。したがって、国境稜線へ辿り着くためには、スキーは使わない方が、時間的には早いとみられる。スキーを持って行く場合は、主に稜線で使用することを前提に、100センチ以下の軽い板を選ぶとよいだろう。今回のように、長い板を持ってゆくのは自殺行為に等しい、と感じた。('04.3.21歩く)

(二つ屋橋置車:9.20--p.1025m:12.25--二つ屋橋:13.55)

1025m標高点付近からカイドウノ尾上部。国境稜線までの標高差は100mほど
同じく、上谷山(中央)、手倉山(右手肩状)と江越国境稜線
今庄おろしそばは「ふる里」で喫す