八助沢から金草岳へ
もろい地質の谷の滝は...
 6月に金草谷へ入った時に藤倉谷の一つ下流の枝谷、八助沢が次の課題になった。芝村文治編になる「秘境・奥美濃の山旅」には、数メートルの登れない滝をいくつか連ねて、時間がかかる云々と記されている谷だ。7月の連休は当初、大峰の谷へ入る予定だったが、メンバーが揃わず、K仙人と相談して、急遽八助沢へ切り替える。いつもどおり、芋ヶ平の木地屋集落跡が集合地点。例によって高倉林道を走り、八助沢出合のやや上手に置車。

 谷は下部で左右に分岐しているが、左又の方が水流があるとみて、これをとる。しかし、いつになっても草深いだけで、「登れない滝」は現れてこない。そうこうする間に詰めとなってしまい、笹やシャクナゲの生い茂る町界稜線(北尾根)に出てしまった。出合の橋から1時間半ほどだった。結局、昔あった滝はあたりの地質のもろさを原因に、土砂に埋まってしまったと考える他はない。ロープが重いねー、と思わず愚痴が出る。

 ここから何もない谷を引き返すのも能がないので、北尾根をたどって主稜線を目指す。昔国体のコースが開かれていたので、北側斜面には所々ふみ跡が確認できるが、雪国特有の薮がふみ跡を覆って、ジグザグに薮漕ぎさせられる。おまけに元気なアブがしつこくつきまとって、アブ追いにも忙しい。小枝を振り回していないと、いつ噛み付かれるかわからない。
 薮のジャングルジムとなった最後の急斜面を越えると、薮の丈が低くなって少し歩きやすくなり、登って来た、見渡す限り緑の森林が続く藤倉谷を見下ろすこともできる。背丈ほどの笹を少し漕ぐと高倉峠からの国境稜線ヘ出た。金草の頂上までは緩い稜線をあと100mほどゆけばよいが、ここからも笹薮漕ぎが続くので、金草谷へ向かって下ることにする。
 金草谷も特に何もない谷なので、北尾根の適当な所から下り始めたが、前回とは異なり、何故か草付きのところが多い。強引にガレた溝を下って行くと、足下がへんに明るくなり、谷はえらく落ち込んでいる。そこは一応滝だったが、周囲はボロボロの崩壊斜面で頼りになるブッシュもない。前回の谷の近くを下っているつもりが、一つ小尾根をはさんだ北尾根寄りの斜面を下っていることがわかった。ここはロープを使って斜に10mほど下り、そのあと水平に一つ尾根を西側へ乗り越して、金草谷本流へ降り立つ。未知の雪国の谷へ入る時は要注意。

 八助沢は滝が埋まってしまった今となっては、金草岳への登路としてはすでにたどる価値はない。('04.7.17歩く)

金草岳北西面概念図
うーん、滝がないぜ!
草深い谷なのだ
おーい、どこぜよ(北尾根)
あー、えらい薮とアブだった
これまでに比べりゃマシ
頂上はすぐそこ、今日はこれまで
権現、高倉峠へ続く国境稜線
金草谷の下りでロープ役立つ