仙ヶ岳南面3つの谷
ハナノキ谷・カクレ谷・石谷川
 暑さに極端に弱い私は、夏が近付くと行き先に困ってしまう。自分にとって、憂鬱な季節の到来なのだ。だから、時間が自由になる割にはチマチマした所につい足が向いてしまう。それもこれも、まあ自分の行き方なのだから、仕方ないか。というわけで、近い割にはあまり足が向かなかった仙ヶ岳の南の谷を目指す。ここなら家から起点まで一時間だ。昼からでも登って帰ってくることができるのだ。---いったい何してんだか。

5月26日 ハナノキ谷
 11時40分入渓点-臼杵山稜線終了点12時45分
 仙ヶ岳南面は伊勢湾側になるので、日頃通い慣れた山とはいささか雰囲気が異なる。山肌はツバキやサカキなど照葉樹の森に覆われ、夏場は薄暗い所が多く、やたらに蜘蛛の巣が多い。いづれの谷も大した標高差はないので、石谷川以外はあっと言う間に終わる。しかし、鈴鹿断層の花崗岩帯に位置するので、けっこう滝が多く、谷中にいる間はそれなりに楽しめる。
 石水渓から安楽越にむかう林道から直接入谷するが、入り口は信じられないくらい薮が茂っている。照葉樹の落葉が斜面に積もっていて、滝を捲く時は足場がよく滑るので、ついついへっぴり腰になるのが情けない。数mのものが多いが、短い割にはけっこう滝の数は多く、どんどん登れば、そんなに薮漕ぎもなく臼杵山と県境稜線とのコルに出る。しっかりした尾根上のふみ跡をたどり、臼杵ヶ岳を往復し、東尾根を船石谷出合起点まで下る。

入渓点、騙されたと思って薮に突入!
おお、のっけから迫力
滝が多いぜ
ううむ、手が出ない(^^;
明るい展望も...
詰め上がると仙ヶ岳が見える
5月28日 カクレ谷
 12時20分入渓点--長坂の頭手前終了点12時20分
 船石林道を出合から20分ほど歩くとカクレ谷出合。ここもなんだか薮が覆った入り口だ。しばらくの間、谷ぞいにはけっこうしっかりしたふみ跡があり、薮くさい谷を敬遠できるが、だんだん滝がでてきて面白くなる。小さなトロのヘツリなど、言うことを聞かない左中指をなだめながら辛うじて通過。ま、腰まで浸かれば指も使わなくてすむんだけど。なんだかハナノキ谷と良く似ている。ここの詰めも、思った程薮に悩まされずにすんだ。稜線の北側には仙ヶ岳の南面が大きい展望で気分が良い。気分がよいついでに県境稜線まで歩くことにする。稜線を臼杵ヶ岳手前の分岐まで歩き、臼杵山西尾根を船石林道へ下る。それなりによい汗をかくことができたと満足。
期待に違わず薮の歓迎
暗いが岩はへんに明るい.
暗いんだよー
この狭い凹角が一番暗いよう
長坂の頭に出れば、樹林の尾根が一望
6月16日 石谷川本流
 入渓点(大堰堤上)11時35分--御所谷出合14時40分
 石谷川の御所谷など上流は仙ヶ岳の登山道なので、ご近所の探検隊行事でよく歩いたが、林道から見下ろす石谷川本流は初めてだ。入渓は石谷川林道の小広い駐車場のある、堰堤の上。
 標高が1000m足らずの谷だが、流域が長いのでけっこうなスケール感がある谷だ。川床は明るい花崗岩なので、楽しく遡ることができる。ご同伴があったので、何ケ所かロープも使った。まるで手を出す気もおこらないツルリとした滝もある。難といえば、上流から流れてきた林業資材のゴミが所々にあること。これがなければ、言うことなしなのだが。いつも子供達に水浴びさせていた御所谷出合いで遡行を打ち切り、荒れた林道を起点へ戻る。今日は下界はさぞかし暑かったろう、日なたのクルマが焼けていた。
入渓点付近、何やら怪しい雰囲気
鈴鹿の谷らしくなってくる
ゴミがなければいい遊び場だね