曽爾・見通山(みどしやま)南西尾根

秋、好天のホームで遊ぶ

 曽爾山群の西端、尼ヶ岳から北西方向を見ると、特異な山容の山並に気付くだろう。富士見峠から尾高山、ワシの巣、見通山と続く山々だ。その一群の山塊の頂上付近はなだらかな隆起準平原状を呈していて、北面は青山の盆地へむかってなだらかに高度を下げている。しかし東面、南面は曽爾の山らしく切り立った岩壁に取り囲まれ、なかなか容易な登路が見出せない。普通は富士見峠から、尾高山南東尾根を伝うか、北西面大戸屋集落から沼木山の西尾根を登るしか方法がない。

 好天に恵まれた金曜日の午後、たまたま半日の自由時間があったので、見通山の西肩に上がっている南西尾根を試みる。地図上では南面の岩場の上縁をたどるので問題はないはずなのだが、以前稜線からこの尾根を下ろうとして、途中で足下に大きな空間を感じるほど傾斜が強まり、心の準備がなかったので途中で引き返したことがあったのだ。

見通山周辺概念図
名張川畔から見通山、左白線が南西尾根
 午後出発なので、名張川の国道からしばらくは端折って、猿子から大戸屋近くまで南側から続く林道を途中まで車を使う。林道の鋪装が途切れる所に製材所があり、その脇のスペースに置車。5分ほど林道を行くと、猿子からの道が出合い、南西尾根に乗る。急な植林のなかのふみ跡をたどる。20分も植林帯の丸い尾根を行くと、急に尾根が痩せて来て、木の間から見通の最高峰(814m)が東に見える。このあたりから踏み跡は、比較的傾斜の緩い西面にそれて行き、尾根は岩が目立つようになるが、太い木が生えているので、特に問題はない。登れない岩を避けながらブッシュを手がかりに登ってゆくと、あっけなく以前引き返した、緩傾斜の笹生えの尾根になる。なんてことはない、木を掴んで下ればよかったのだが、少しでも南面へ振ると岩壁の上に出る恐れがないとはいえない。
南西尾根から見通山ピーク
南西尾根の小さな岩場
南西尾根の上部
 ここから上も辿る人とてない南西尾根は、深い笹薮漕ぎが続くが、10分も行けば見なれた見通山の西肩に着く。右へとれば見通の三角点と最高峰への分岐だが、今日は北へ沼木山を目指し、西尾根を下る。下り着くと、ひなびた愛宕神社があり、すぐに名張の一番高所(標高約550m)にある大戸屋集落に出る。金曜の午後の大戸屋では、イノシシ囲いの中でおばあさんがたき火をしていた。沼木山にあるという沼木神社の所在を聞いてから、置車へ戻る。
植林の中の沼木山ピーク
沼木山西尾根から伊賀盆地
名張の最高所の集落、大戸屋
 南西尾根は見通山への最短ルートであろう。大戸屋から沼木山経由の通常のルートにくらべ、半分くらいの時間で達することができる。見通山の三角点を目指すなら使う価値がある。
(10月22日歩く 時間:置車13:40--見通西肩14:30--沼木山14:42--大戸屋15:10--置車15:40)