鈴鹿 霊仙山テレマーク

南西尾根から白谷(芹谷)林道へ('06/2/19)

 1/2.5万図霊仙山を見ると、霊仙南東部に長大な谷が食い込み、権現谷に合流している。これが芹谷(白谷)である。雪のない時期にはまったく興味が湧かないが、車も人もはいらない時期には、今年組んだテレマークスキーを試すよいフィールドに思える。その起点はというと、河内のアケン原以外には考えられない。
 アケン原の大洞谷出合を起点とすると、登りは水平距離で、今畑口まで約1.2km、笹峠まで1km、そこから南西尾根が2.5kmである。
頂上からはスキーが使えるので、四町横崖(芹谷の詰め)まで約1.6km。ここから芹谷へ滑り込み、白谷橋まで5.6km、そこから出発点のアケン原まで3km。合計すると約15km。そのうち、8kmあまりをスキーで行けることになる(いづれも図上のアバウトな計算なので、実測では距離はもっと長くなるだろう)。地形図からは一見複雑そうなコース取りに見えるが、よく見ると霊仙頂上まで一気に登り、あとはひたすら谷を下るという、いたってシンプルなコース取りであることがわかる。

近江展望台から中央に御池、その右に鍋尻山
南西尾根から霊仙最高点

 久徳から県道河内線を奥へ向かっていると、なにやら山登りらしい車列が先行して行く。どうやら南西尾根へ行くらしい。こちらはアケン原の出合いで置車なので、今畑口までは歩かないといけない。今畑口から道は雪の上になるが、薮や折れ曲がった杉が道を覆って歩きにくい。今畑集落跡を過ぎると、ようやくどこでも歩けるようになり、はかどる。笹峠手前の斜面のトラバースは、雪が堅くキックステップで越えて行く。笹峠に出れば、春の陽光があたりに充満していて、とたんに雪が腐りだした。
 峠からの石灰岩のごろごろする急斜面は、雪が切れ切れで、ここも歩く。近江展望台で一気に展望が開け、南に御池岳が大きい。その南の空は暗く、近畿南部の天候は悪いようだ。近江展望台を過ぎると雪が続くようになるが、締まっているのでそのままツボ足で行く。置車から霊仙最高点まで2時間45分かかった。

霊仙最高点から伊吹
四町横崖から経塚山

 さあ、これから本番だ。本峰とのコルから板を履く。しばらくはカリカリのアイスバーンで、里用テレマーク仕様ではターンが怖くてできない。経塚山頂は雪が切れて歩き、その先からは雪が緩んで滑りやすくなる。頂上から芹谷の詰め(四町横崖)まで着脱、歩きをふくめ40分近くかかる。
 見下ろす芹谷源流は、雪は詰まっているものの、薮が低く覆い、滑る事ができるか不安もあるが、板を脱ぐのも面倒なのでそのまま滑り込む。横滑りを交え、源流の幅2mほどのハーフパイプ状の谷へ入り込むと、窮屈な滑りだがけっこうこれが楽しい。谷が開けて来るとしばらくで堰堤があり、板を履いたままの薮こぎから右岸の急斜面をズルズル滑り下り、工事用林道に出る。すぐに、芹谷最奥カーブにかかる橋。ここまで四町横崖から40分たらず。

四町横崖から芹谷の源頭
白谷林道最奥の橋

 ここからは、遥かに安定した林道の滑りとなる。最初はよく緩んだ雪とそこそこの傾斜で、板のステップソールがシュルシュルと鳴り、怖いほどスピードが出る。楽しいのも1キロほどで、あとはキックしないとスピードが出なくなったが、それより今年の豪雪で山手の薮が倒れたり、杉倒木のバリケードがあったりで、これらへの対応に体力を使う。白谷橋近くの谷の喉の部分では、雪崩のあともあり、白谷橋まで1時間を要した。白谷橋からは4日前と同じく、荒れた権現谷林道を行き、権現橋手前の工事現場で板を外す。ここまで約30分。あと30分ほどの歩きでアケン原へ帰り着く。

白谷(芹谷)林道
底雪崩で凄惨な権現谷林道

 結局、総所要時間5時間35分のうち、後半経塚山下からスキーを外さないで下った時間は2時間半ということになる。この間全く板を脱がなかったのは痛快だったが、倒木の乗り越しなど、脱がないで進むために使ったエネルギーも少なくはなく、歩きとどれだけスピードが違うのかは、あまりわからなかった。これが豪雪の年の関西でできるスキーというものかもしれない。(2/19歩く)

(時間:アケン原8:55-今畑9:30--笹峠10:20--近江展望台10:45--最高点11:40--四町横崖12:40--白谷林道出合(橋)13:19--白谷出合14:22--権現橋手前14:56--アケン原15:30)