鹿島槍ヶ岳東面 荒沢奥壁-北壁連続 '75.4-5
右又出合  京都芸大ACOB会の自由山行。後輩のSが組んでくれた。荒沢尾根の登りでカメラを落としてしまい、残念ながら写真はない。Sが克明なルート図を作成してくれたので、KGACの報告ページに掲載する。印象に残っているのは荒沢本流の大規模な底雪崩。1日ずれていたら、我々はその中に巻き込まれていただろう。雨で気温が高かったので、荒沢上部のラビネンツークでもブロック雪崩の恐れで、横切る時は、見張りをしながらの行動となった。

 天狗のコルから主稜取付きまでは、時間がえらくかかった。主稜じたいよりも厄介だという印象だった。

パーティー:T、S(2名)
1975年4月30日〜5月2日

illustration : Shirakawa, Tetsuji
( Design Office CONCEPT HOUSE)

4月30日 晴れのち曇り
 6時10分、北俣側のルンゼより荒沢尾根に取り付く。二峰の登りの急斜面は雪が消えて、ロープは使わず。二峰を越えた残置ハーケンのあるリッジの下でロープを結ぶ。上部で雪稜に出ても、昨日の雨で雪がゆるんでロープが解けず、20m7Pのばして三峰に立つ、正午。東尾根とのギャップへは南俣側を巻き、40mの懸垂下降で北俣左俣へ。ガスにまかれ、頻発するブロック雪崩を警戒しながら右・左俣出合へ下りビバーク、14時半。
5月1日 晴れ
 6時発。北稜は末端を向かって右に回り込み、6時45分取付。第一第二岩峰とも核心部は雪が消えていた。あとは主に雪稜をたどって、天狗尾根着14時半。最低コルから右俣を下り、15時半昨日のBPへ戻る。
5月2日 晴れのち曇り
 6時半発。右俣を詰め、最低コルへ。北壁へは横断ルートをとる。雪が腐って悪く、蝶形岩下からスタカットで10P目にようやく正面ルンゼ下着。主稜其部を右へ巻く部分は、雪が崩れて悪かった。主稜取付正午。正面ルンゼの雪壁を80m登り、草付きを左に横断して主稜上に出る。ハイマツをこぎ、左手の雪壁を100mあまり左斜上し、いったん蝶形右稜へ出てロープを解く。あとは、ブッシュから雪稜をたどると再び主稜へ合す。17時45分終了。北峰着17時55分。北俣本谷を下り、20時大谷原着。