戸台川本谷 '72.1
右又出合  70年代になるとダブルアックスの技術が雑誌などに紹介されはじめた。ステップカットしなくても氷が登れるらしい、なんて、道具への投資もしないで、生半可な情報を都合良く理解して、東京にいたNと戸台川へ向かう。ピッケルの刃先のカーブは縦走用そのまま、アイゼンは鍛造の爪の磨耗したものを義理でヤスリがけしたものだった。今にして思えば何と無謀な....

 というわけだから、今なら一日で抜けるところをまるまる2日かけて登った。急な滝は空身で登り、あとから荷揚げした。上のゴルジュではとうとう音をあげ、左手の岩稜へ逃げてしまった。当時は残念だったが、これは賢明だったわけだ。

駒津沢出合

右又出合 左:F10の登り。怖くてバケツを掘るハメに(どう見てもアイゼンがフロントポイントしていないのだ!)

右:F10の先で本流はゴルジュになるが、これを敬遠して左の支流へ入る。最後は本流との間の岩稜へ出てアプザイレンで六方石ルンゼ出合へ

右又出合 :本流右岸の岩稜から駒本峰を望む。ここから20mの懸垂で本流へ戻る

右:本峰までのガレ場の登りを嫌い、六方石ルンゼを使って稜線へ。背後が登った岩稜。稜線で日が暮れ、フラフラ*になって戸台山荘へ戻ったのは夜の10時ころだった。
*バテバテの時に終了点でウィスキーをなめたので、千鳥足になってしまったのだ。