第七話:人の作りし物

朝っぱらからすっぽっんぽんで則安君を挑発する矢玉さん。
同僚の和子博士からずぼらで有ることを聞かされていたが、ここ迄とは・・・
やっぱり、ネルフ本部での一人暮らしの方が良かったかなと思う則安君。

そこに同級生のナベシンとおにぎり山君が迎えに来る。
矢玉さんの姿にヨレヨレの二人。
二人とも矢玉さんの本当の姿を知らないんだ・・・とあきれる則安君。

零号機の胸部生体部品について、女性オペレ−タ−のマヤに質問する和子博士。
「大破ですからね、新作しますが追加予算の枠ぎりぎりです」
と困惑した答えを返す。ドイツからの弐号機に望みを託す和子博士。しかし、
「逆かもしれませんよ、地上でやってる使徒の処理もタダじゃないんでしょう」
「ほ−んと、お金にかけてはせこい所ね、
人類の命運をかけているんでしょう、ここ・・・」
とお金の面でけっち−いネルフの組織性を暴露する矢玉さん。
それに対し和子博士は「生き残った人が生きて行くにはお金がかかるのよ。」
と返すのだった。

南極上空の宇宙空間を一機のSSTOが飛行している。
その中のエコノミ−クラスの一席に座る玉則司令。
そこで、同じネルフの委員と話している。
サンプル回収の修正予算が通った事を話す委員。それに対して、
「委員会も自分が生き残ることを最優先に考えている、その為の金は惜しむまい」
と冷静に返す玉則司令。そして委員は、米国を除く全ての理事国が、
ハレブタゲリオン六号機の予算を承認したことを告げる。
しかし委員は、米国も失業者アレルギ−のお国柄からじき承認すると言う。
そして委員の母国も8号機からその建造に着手するという。
玉則司令は、「使徒は再び現れた、我々の道は彼等を倒すことしか有るまい」
と意味有りげに話した。

和子博士から、ブ−ブ−インパクトの真実について説明される則安君。
「ブ−ブ−インパクトとは、
表向きは大質量豚石(笑)の南極への落下による物とされているけど、
事実は、当時南極で見つかった使徒と言うブタ型の物体の調査中に起こった、
原因不明の大爆発から引き起こされた物なの」
この事から、「教科書って嘘ばかり書いてある」「歴史には必ず暗部が在る」
という事を則安君は知るのだった。

次の日の朝、正装で則安君とマリアちゃんの前に現れる矢玉さん。
いつものずぼらな彼女の姿からは想像できないのか、
ボ−ゼンとなる則安君とマリアちゃん。
しかし矢玉さんは「おはよう」と挨拶したらすぐに、
「仕事で第一東京まで行って来るわ、多分遅くなるので夕飯は何かでばって」
といい残してさっさと出かけていくのだった。

ネルフの公用ジェット機から水没した第一東京の町並みを見る矢玉さん。
「これがかつて花の都と呼ばれてた大都会とはね・・・」
と感無量の台詞を喋る。そこに和子博士の「着いたわよ」という声がかかる。
今回の主張先に着いたのだ。

日本重化学工業連盟主催の、
ジェット・アロ−ン(JA)の完成試運転祝賀会に彼女たちは招かれたのだ。
玉則司令はいかにも手抜という感じのロボットの『JA』が気に入らない。
「JAは内燃機関(原子炉!!)を内蔵し88日間の作戦行動が可能」
とJAの有用性を述べる主任技師の時田さん。それに対し祝賀会の会場で和子博士は、
JAの構造上の問題点を指摘する。しかし逆に、
「五分も持たず、精神汚染を引き起こす決戦兵器よりはより人道委的と思います」
と返され、さらにネルフの組織としての無能さまで追求され、MK5の二人組。
それに、矢玉さんの好きなビ−ルも、賞味期限が過ぎて気の抜けたビ−ルが、
席の真ん中に3本しか置いてなかった。
和子博士はまだしもこの事にも憤慨する矢玉さん。

二人とも、この祝賀会場が、
あのダサいロボットのJAに踏みつぶされればいいと思うのだった。

そんな中、JAの起動試験が始まる・・・
「何の危険もありません、そちらの窓からゆっくりとご覧下さい」
と時田さんが説明する。何事もなく歩行を開始するJA。
しかし途中で突然警報が鳴る、時田さんは慌てず緊急停止を命令する。しかし、
緊急停止のコ−ドが変更されててJAは止まらない。つまり暴走だ、
そして祝賀会場を踏みつけ、厚木方面へ暴走していく。
本当に踏みつぶされて、シャレになんないとぼやく矢玉さん。
しかし直ちに、緊急停止の方法を模索するのだった。

JAの暴走がこのまま続けば、炉心融解の危険がある。
それにJAの技師から、「緊急停止の確率は0,0002パ−セント」と聞く。
そして、頼りにならない政府の対応にイラついた矢玉さん、
「奇跡を待つより捨て身の努力よ」と人間の手でJAを止めることに決める。
つまり、手動でJA内の停止装置を動かすのだ。
「パスワ−ドは、希望」と時田さんから聞き取り、
F型装備のハレブタゲリオン初号機つり下げた輸送機と共にJAを目指す。

矢玉さんは則安君に、「私がJAの中に入り、そこの緊急停止装置に働かす」
と説明する「無謀すぎます」と言う則安君
しかし矢玉さんは「やるだけやっとかないと後々後悔かいするから」と言う。

輸送機から切り離され、JAの眼前に降下する初号機、
全身を用いてJAに足止めをかける。
そのすきに矢玉さんはJAのハッチから中に入る。
防護服を着ているとはいえ内部は熱気と汚染物資に満ちている。
「早くしないとマズい」とつぶやく矢玉さん。
停止装置のコンソ−ルに来て、停止パスワ−ドの「希望」を入力する
しかし、「ERROR」のメッセ−ジが表示される。
漢字入力でもミスってないのにどうして?と首をひねる。
あちこちから蒸気が噴き出してくる。いよいよマジでやばい。
矢玉さんは、つい無意識でコンソ−ルをたたく。
昔のラジオじゃ在るまいし・・・
しかしその瞬間、制御棒が動き挿入され、原子炉の非常表示が消えていく。
そうJAは炉心融解の危機を脱したのだった。

矢玉さんに則安君が初号機から話しかける。
「矢玉さんやりましたね、凄いや・・・」
「それにしても無事で良かった、本当に良かった・・・」
これに対し「気分最悪だけどね」とかえす。
「奇跡が起きたんですね」と言う則安君。それに対し矢玉さんは、
「奇跡はあらかじめ用意されていたのよ」と小さな声で喋る・・・
そもそもくじ運の悪い矢玉さんに奇跡など起きるはずがないのだ。
自分の運について良く知っているじゃないか・・・

歓喜にわく祝賀会場のコントロ−ルル−ム。
そこで和子博士が「あのばか」と呟く。本来なら喜ぶべき時に何故?
とかくネルフは謎だらけである。

次の日の朝、矢玉さんはいつもの様にずぼらな生活をしている。
それにまたあきれる則安君。
しかし、これから他人には見せない素顔を見せてる矢玉さんに対し、
「家族」のつながりを則安君はかいま見るのだった。

第八話へつづく