光子の日々是好日 金つなぎ

 2月19日(月) 間人(たいざ)へカニツア−  晴れ、暖かし
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天気予報では雨のはずが、予想はうれしく外れ、日差し、やはらか。

a.m.7:30の近鉄特急で京都に向かう。目指すは、山陰カニの宿だ。
今日は、アルバイト先の仲間4人と間人(たいざ)にカニを食べに行くことになっている。
近鉄、地下鉄、JRの特急を乗り継いで、4時間余り。往復8時間余及ぶ長い旅の始まりである。

カニの季節に本場のカニを食べたい!
このところ、他人に迷惑をかけず公序良俗に反しない限り、欲望に忠実に生きている私である。それが、免疫力を下げない生き方であると信じるからだが、そのひそみに習えば、私の2月は何と言っても山陰のカニに止めを指す。

この欲望に火をつけたのは友人のN夫妻だ。
3年前、当時、「遺書のつもりで…」と執筆を急いでいた私の闘病記「きっと良くなる必ず良くなる」の脱稿を祝って、丹後・夕日ケ浦へのカニツアーを企画してくれたものだ。
「うれしい!それを励みに、原稿を急ぐわ」と張り切っていたわたくし。あぁ、それなのに、天は無情にも前日に39度4分もの高熱を私にお与えになり、カニツアーは、一場の夢と消え果てた。(振り返れば、この頃から、ムリを重ねると突然ドーンと熱発のくる体になっている)
翌年、N夫妻たちは同じコースでカニツアーに連れていってくれ、私に、生きて美味にありつく喜びを満喫させてくれたのであるが、以来この時期には、わたくし、いたくカニに執着することとなった。

さて、間人。地名の由来は、聖徳太子のご生母・穴穂部間人皇后(あなほべはしうどのすめらきさき)がこの地に御座所を定められたおり、村人の手厚いもてなしに感じ入られ、数年後ご退出にあたって、自身の御名の2字「間人」をお与えになったことからという。「はしうど」と読むには畏れ多い。ご退座にちなんで「たいざ」と呼び習わしたと聞いた、海べりに張り付いたような静かな村落に、うらうらと日差しがふりそそぐ。

今日の交通費は、近鉄特急、地下鉄、JR特急併せて往復で1万6000円。8時間かけて食べに行ったカニ尽くし昼食は1万円。「初めに交通費と所要時間を聞いたら、多分、行かなかったやろね」と、帰路、友人たちが呆れている。

座卓に満載のカニ料理。しゃぶ鍋にカニ足をそっと入れたら、熱湯にゆらいで、ふるふると花のように姿を変えた。ポン酢にひたして口に運ぶと、とろけて消えた。

丹後のカニ。満足であった。

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