比 奈 知 ダ ム
|
(1998.04.16撮影,61K)
比 奈 知 ダ ム の 概 要
比奈知ダムは、淀川総合開発の一環として、淀川水系木津川支川名張川に建設する多目的ダムです。
淀川本川及び名張川の流域は、これまでしばしば大きな洪水に見舞われ、その度に貴重な人名や財産が奪われてきました。その恐ろしさは人々の脳裏に焼きついています。
一方、淀川沿川諸都市の急激な人口増加に対処する水資源の確保は大きな社会問題となっており、このうち名張市では、大阪のベッドタウンとして大規模住宅団地の開発が急ピッチで進められ、この水需要に対する早急な手当が必要になっています。
比奈知ダムはこのような背景のもとに、治水はもとより利水の必要性に対処するために、水資源開発公団が三重県名張市に建設しています。
■堤体断面図■
■主 要 諸 元■
位 置 | 左岸 三重県名張市上比奈知字熊走り |
右岸 三重県名張市上比奈知字上出 |
型 式 | 重力式コンクリートダム |
堤 高 | 70.5m |
堤 頂 長 | 355.0m |
堤 体 積 | 約410,000m3 |
ダム天端標高 | EL.307.5m |
流 域 面 積 | 75.5km2 |
総貯水容量 | 20,800,000m3 |
有効貯水容量 | 18,400,000m3 |
■貯水池容量配分図■
比 奈 知 ダ ム の 目 的
■ 洪 水 調 節
比奈知ダムの建設される地点における計画高水流量毎秒1,300立方メートルのうち毎秒700立方メートルの洪水調節を行い、名張川下流の洪水被害を軽減します。
■ 流水の正常な機能の維持
名張川の既得用水の補給等、流水の正常な機能の維持と増進を図ります。
■ 新 規 利 水
名張市の水道用水として最大毎秒0.3立方メートル、京都府の水道用水として最大毎秒0.6立方メートル及び奈良市の水道用水として最大毎秒0.6立方メートルの合計最大毎秒1.5立方メートルの取水が可能になります。
なお、比奈知ダムの建設に併せて、三重県が比奈知発電所を新設し、最大出力1,800キロワットの発電を行います。
比奈知ダムの施工
比奈知ダム建設は、コンクリートダムの合理化施工法として、当公団布目ダムではじめて採用された ELCM(Extended Layer Construction Method -拡張レヤー工法-)を採用しています。
ELCMとは、有スランプのコンクリートを使用して、縦継目を設けない連続した複数のブロックを一度に打設し、横継目を埋設型枠、目地切り等により造成する一種の面状工法です。これらにより、面状工法のメリットである横継目型枠の省略、広い施工ヤードを確保することによる施工機械能力の効率化や打設面での作業の安全性の向上等の特徴をあわせ持っています。
人と自然に優しい環境へ
比奈知ダムは三重県名張市の東部に位置し、ダム周辺には室生・赤目・青山国定公園や赤目一志峡県立自然公園に指定されている赤目四十八滝、香落渓、青蓮寺湖といった景勝地があります。
このような緑豊かな山並みの中で工事を進めている比奈知ダムでは、自然環境に調和したダム作りを推進しています。
また、名張市は鉄道の利便性の高さと関西都市圏の拡大によって、近年大規模宅地開発が進められ人口増加と都市化が進展しています。
このような市街地を間近に控え、比奈知ダムでは地域の多くの方々にダムを親しんでいただくために、人と自然にやさしい環境を創出するダム作りを念頭に建設事業を進めています。
** ショートカットボタン **