梅干しの選び方

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 「食べると果肉がジャムみたいにトロッとして、皮が薄い。タネ離れが良くて、果肉の量が多い。」
 
 漬け物博士といわれる元東京都農業試験場長の小川敏男さん(70)はこう良い梅干しを定義する。

小じわが寄った、しっとり肌

 「トロッとした果肉の梅干し」に出会うにはどうしたら良いのでしょうか?選び方のポイントは、
「まず、表面に小じわが寄ったほどのもの。膨れて腫れたのはダメ。シワシワも良くない。そして、照りと、しっとりとした潤いのあるもの」
 ちょっと女性の肌とは違うようですが、見た目はこんな感じなのだそうです。しっかり熟した梅の実を使った梅干しは、糖分がのっていて照りがあります。健康志向に合わせて、塩分を減らすために塩抜きをした梅干しには潤いがありません。表面に黒い「星」があるのは黒斑病にかかったもので、味が良くありません。また、表面に塩が吹き出たようなものは避けます。
 それに、梅干し独特の芳香のするもの、カビ臭いものは避けること。表示をよく見ましょう。信用のあるきちっとしたメーカーりものを選ぶことです。・・・・・・以上が小川さんのアドバイス。

酸っぱーいのが梅干し

 ここ数年の健康志向は、梅干しの減塩化を進めました。
「漬け物の研究は殆ど塩減らしの研究でした。20年くらい前から減塩化が始まって、30年前に比べると、塩の量は今は1/3くらいに減った。」
 いま、ふつうに市販されている梅干しの塩分は12%前後が多いが、常温で保存して腐らないのは、18%以上といわれています。
「できるだけ20%以上は使わないようにと指導しています。家庭で漬ける場合、17%と18%なら失敗なくできます。上手に漬ければ、15%でも漬けあがるでしょう」
 店頭では、10%以下の梅干しも見受けられますが、小川さんは、
「もう、これは梅干しじゃありません。脱塩しているんです。出荷する前に梅干しを水に漬けて塩を抜く。味も抜けるから、調味液に漬けて出荷する。いわゆる調味梅干しというやつです。梅干しが健康に良いというのは、酸があるからなんです。脱塩したら、酸も一緒に抜ける。酸のない梅干しは梅干しの価値はありません」と語気を強める。

木で熟した梅の実

良い梅干し作りは、何よりも生梅の実の良さにかかっています。
「木で熟した梅を使うことです。と言っても、熟し過ぎると果肉が崩れることが多いので、皮が黄ばみ始めるころの梅が良いのです。梅も他の果実と同じです」
 漬け込むときの注意は、なるべく早く水をあげること、そして全体に満遍なく塩をいきわたらせること。これが白カビ(産膜酵母)の発生を防ぐコツです。天日干しも大切なプロセス。太陽の熱で温められ、後熟して肉質がトロッとしてくるし、皮が丈夫になって肉くずれを防ぐ。そして、保存は、ふたの付いた容器に入れて、北側の涼しいところに置くこと。
 2年目、3年目くらいから塩がなれておいしくなる。「5年くらいは大丈夫です。古いのが健康にいいという人がいるけれど、それは信心だと思うな」
とは小川さん。 


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