梅干しの効用

 梅干しが体に良いとされるのは、何よりも、梅は酸を多量に含んでいるからです。生の梅の実はクエン酸やリンゴ酸など、酸を4%も含んでいます。これにはレモンも及びません。
 人は摂取した食物を体内で酸化させてエネルギーをつくりますが、このエネルギー代謝に欠かせないのがクエン酸回路(1940年、イギリスの生化学者H.A.クレプスが解明)です。有機酸はこの回転に弾みをつけ、エネルギー代謝をよりスムーズにします。

効用その1 食欲増進・疲労回復・血液浄化

 梅干しを見ただけで、思わず唾液が出てきます。これは梅のクエン酸を主体とした酸味が消化管を刺激して消化液の分泌を促進させるからです。唾液とともに、胃液の分泌も促しています。
 クエン酸は疲労回復により蓄積された乳酸の分解にも効力を発揮します。乳酸が筋肉内にたまって起きる筋肉硬化などを抑え、また、血液内にたまった乳酸を体外に追い出し、新しい乳酸がつくられるのを抑制します。
 そのほか、不溶性のカルシウムを水溶性にし、吸収率を高めます。

効用その2 抗菌作用で病原菌を抑制

 梅干しのおにぎりや「日の丸弁当」が、ご飯の腐敗を遅らせることは知られていますが、これは、2%以上の酸で腐敗菌はほとんど繁殖できないからです。
 また、有機酸は胃腸内の酸性を保ち、有用な腸内微生物の増殖を促進させるなどの作用があるため、体内に入った多少の細菌に対しても抗菌作用を発揮します。食中毒の原因となる黄色ブドウ球菌や、チフス菌、赤痢菌などの伝染病菌に対しても抑制作用を持ちます。

効用その3 鎮痛・解熱・消炎の民間療法

 その昔、下町などでは、おばあちゃんがこめかみに梅干しを貼り付けていました。頭痛を抑えるためです。また、風邪をひいたときには、焼いた梅干しに熱湯を注いで飲むと良いとも言い伝えられています。
 奈良時代に薬用として、中国から伝えられたといわれる、青梅を薫製にした「烏梅」は、鎮痛効果が高く、現在も漢方薬として使われています。
 ただし、塩分の取り過ぎにはくれぐれもご注意を。


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