AQ秘話97年11月分
タイトル一覧へ  
     
     地球流民表紙へ


1997.11.29 スナメリのこと教えてください (WALLYさん)

こんにちは。HP拝見しました。
突然ですが、伊勢湾や三河湾に、スナメリが居るというのは、
知っているのですが、詳しくどのあたりに居るのかということが知りたいのです。

中部新空港が、できるあたりにも居るのでしょうか?
影響は、ないのでしょうか?
もしご存知なら教えてください。

詳しい分布図などがあったらほしいのですが。
突然のメールで、あつかましいことを言って、ごめんなさい。
よろしくお願いします。
(WALLY)



実はこのメール1ヶ月も前にいただいてたのだけど、詳しいことを飼育研究部のメンバーに聞こうと思ってたら、すっかり忘れてしまっていたのでした。
けっして、男性からだから放って置いたというわけではありません。
ごめんなさいね、WALLYさん。

さてさて、ところが、予想していたとおり、スナメリの生態については、研究者にも未だ明らかになっていないことが多いらしくて、ここで書くことは、私個人の推測が多く、鳥羽水族館のちゃんとした見解ではないことを、いつもながらご確認の上読んで下さいね。

スナメリは伊勢湾・三河湾と太平洋に少し出たあたりまでを、主にエサや水温の関係で自由に行き来しているようです。
ただし、まだ個体追跡の調査に成功していないので、詳しいことは分かっておらず、可能性としては、グループ(家族)単位で一定の狭い海域を根城にしているということも考えられるとか。(結局なんもわかっとらんということか・・・)

ただ、最近では伊勢湾三河湾の湾口付近で見かける率が高いため、湾の奥の方が、エサの減少や船の増加などで住みにくくなってきているのかもしれません。
というわけで、詳しい分布図というものもまだ作成されていません。

> 中部新空港が、できるあたりにも居るのでしょうか?
> 影響は、ないのでしょうか?

あまり広くはない伊勢湾だからとうぜん新空港現場にも出没しているのでしょうが、ごく狭い場所での定住性はあまりないようですから、直接深刻な影響があるとは思えません。
ただし、現場はかなりいい藻場だと聞いています。
藻場はマングローブ林などと同じように、伊勢湾三河湾の多くの動物たちの「揺りかご」ですから、スナメリのエサの確保という点では、漁業に与えるダメージとともに、深刻な影響となる可能性もありますね。

でも、あのあたりの環境アセスって誰がやってるんでしょうね。
行政お抱えのコンサルタントに高いお金出すくらいなら、昔からやってきた我々民間とか、大学とかに、直接お金出してくれればいいのにね。

地球流民

 そもそもスナメリがなにか分からない人はクリック! 



1997.11.24 銅像の正体 (にゃんこさん)

中村さん、おひさしぶりです。
にゃんこです(覚えてますか?)。
最後のメールを送ってからパソコンが壊れて悲惨な目にあいました。
誰にもメールが送れなくて大変でした。
中村さんならこんなことはないですよね。

今月9〜11日三重へ行きました。
最後の日(11日)に主人と一緒に鳥羽水族館に行きました。
ちょうど遠足か何かで子どもがうじゃうじゃいましたがゆっくりじっくりと
見られました。
主人は何故か蝶鮫を気に入ったらしくずっと見てました(キャビアが
食べたかったのかな? (^^;)。
魚を見るのが好きなので東京に行くとき暇があるとサンシャイン60の
水族館に行きますが、そことはけっこう違う魚たちがいたので充分に
満足出来ました。

ところで、銅像に「中村」という名前がありましたが、もしかして
中村さんはその方の息子さんですか?
もしそうなら、お父さんはどうして水族館を始めたのでしょうか?
暇があったらまたメールを下さい!

風邪を引かないように気をつけましょ〜〜!!
From:みゃ〜
(にゃんこさん)



にゃんこさん、ほんとお久しぶりです。
パソコンが壊れるのは悲惨ですね。
私もよくやりました。私の場合は、ノートPCを365日持ち歩いているので壊れると、もうほとんどの仕事ができなくなってしまいます。(今日も新居浜でこれを書いています)

>ところで、銅像に「中村」という名前がありましたが、もしかして
>中村さんはその方の息子さんですか?
>もしそうなら、お父さんはどうして水族館を始めたのでしょうか?

あの銅像は、初代館長故中村楠雄で今の館長の父上です。
私との関係は義祖父、私は今の館長の長女と結婚して婿養子さんとなったのですね。
つまり私が水族館の仕事をしているのは、動物が好きだったわけではなく、女が好きだったからというわけです。

さて、水族館を始めようと考えたのは、銅像の初代館長ではなく、今の館長中村幸昭でした。
家が代々鮮魚問屋で、向かいにあるミキモト真珠島に来る観光客が、生け簀の魚を覗きにきては喜んでいるので、そこから水族館を思い立ったのだそうです。
だから最初のうちは水槽と生け簀の区別が無く、問屋の方で鯛が大量に出荷された次の日には、展示水槽からタイが消えてしまう・・・なんてことがあったそうです。
(地球流民)


初代館長・故中村楠雄



1997.11.21 スナメリの見分け方 (ともちゃん)

元のおじさん げんきですか。
この前はメールをありがとう。
うれしくて きゃあきゃあ言って読みました。

スナメリさんの引っ越しのニュースをテレビで見ました。
スナメリさんがアップになった時に、思わず画面の頭を
なでなでしてしまいました。
手が少しよごれました。?
またスナメリさんに会いに行きたいな。
私の誕生日に連れていってと言ってるけど・・・・・
今ちょっと 「スネメリ」しています。
12月5日が誕生日ですよ、元のおじさん!
スナメリさんの見分け方を教えてください。
窓花ちゃんの特長を教えてください。

(朋ちゃん)



ともちゃん、ひさしぶりだね。

>スナメリさんの見分け方を教えてください。
>窓花ちゃんの特長を教えてください。

スナメリのみわけかたは、とってもむつかしい。
ぼくも、しんまい飼育係のときには、ずいぶんなやまされたよ。
さいしょは、スナメリについている、小さなとくちょうをさがすんだ。
スナメリにもよく見るとホクロやキズがあるし、しっぽを見れば、ちょっとかけていたりするよ。

そういうとくちょうで、なんとかみわけられるようになると、それをてがかりに毎日かんさつするんだ。
そうすると、だんだんホクロやキズを見なくても、なんとなくわかるようになってくる。
スナメリにも性格やクセがあって、泳ぎ方や体の動かし方が、ちょっとづつちがうんだね。

窓花ちゃんは、よくガラスのところにきて、人の顔をのぞきにくるスナメリだ。
そういうスナメリは2頭いるけど、そのうちでしっぽが小さいのが鳥羽水族館で生まれた勇気ちゃん。しっぽがふつうなのが窓花ちゃんだよ。
(勇気ちゃんはサッカーが好きで、よくボールで遊んでいる)

こんど鳥羽水族館に連れてきてもらったら、よくかんさつしてね。

(地球流民)


スナメリの窓花(まどか)
禁転載



1997.11.11 神島に行きました
   
最近、AQ秘話関係のメールあまり届かないので、ちょっとお休みをしていましたが、「読んでるよ、あの変なの・・・」と言う人に続けて会ったので、気を取り直して書き込更新します。
超水族館HPの水族館日記でもちょっと紹介したのですが、最近「三重・鳥羽 海の生涯学習ネットワーク推進協議会」(通称:海NETとば)というものをつくって、文部省からお金をいただきながら事業を行い始めました。

この事業には、デジタルネットワークによる生涯学習や、ビデオCD-ROMの制作など盛りだくさん事業なのですが、その中でも、鳥羽に4つある離島の小中学校の学習機会を増やす、パソコを使ったさまざまな授業がウリです。
先日は、三島由紀夫の「潮騒」の舞台となった神島の小学校に設置したパソコンの画面と、鳥羽水族館のパソコンを繋いで、遠隔授業ってのを開始しました。

要するにテレビ電話授業なのですが、子供も先生も楽しそうでした。
時代の差を感じたのは、私たちが子供の頃だったら、TV電話っていうだけで興奮してしまって授業になんかならないと思うだけど、子供の空想の世界ではもう当たり前なんですね。
パソコン触るのは初めてという子供たちばかりなのに、すぐに違和感無く授業ができました。

ところで、私たちは前日に神島の民宿に泊まって先生たちと宴会したのだけど、これがまた大ごちそう!
天然の大鯛と大グレの活き作り、大カニが1匹づつ入ったみそ汁、握り拳より大きなサザエの造り(種類が違うかと思った!)、小さな鯛ほどもあるメバルの煮付け・・・・。
頭が痛くなるほど食べたけど喰い切れなかった。
これで、宿泊込みの7千円ぽっきりとは!

もうすぐ「海NETとば」のホームページが完成すると、子供たちのそれぞれの島からの発信があります。お楽しみに!
(地球流民)



1997.11.3 NPO法と水族館
   
11.2付けのK美さんからも今後の水族館や飼育員のありかたについてお話がありましたが、水族館に働いている多く人が、それ以上のことを考えながら理想と現実の狭間で苦しんでいます。

よく日本の水族館と欧米の水族館が比較をされますね。
日本は料金が高い。日本はそれぞれの独自性がない。日本は新しいことをしない・・・。
それは確かに事実なのですが、そうならざる得ない理由もあるのです。

日本の水族館の収入を考えると、私立の場合は入場料だけ、公立のものは税金と入場料です。つまり私立の入場料は訪れる人の受益者負担だから高いのは当たり前、公立は来ない人も均等に税金として払っているから安くて平均的なのは当たり前です。
その上、入場料だけで企業を存続しなくてはならない私立は、いきおいウケを狙った展示に走りがちです。(視聴率をかせぐ番組みたいなもの)
また行政という平等平均前例しか考えない役人が責任者となった公立では、あまりにも常識的で旧式の学校教育的な展示しかできません。(教科書を読んでいるようなもの)

ところが欧米では、この二つの制度だけしかないのではなく、博物館や学校がNPO(非営利組織)のように扱われているのです(私立でもです)。
欧米では税金の一部を非営利組織に寄付をしていいことになっています。日本のNPO法案には盛り込まれていない税制優遇だと考えて下さい。
企業など納税者は、自分の納得のいく施設や活動に寄付をすればいのです。だから水族館や学校はさまざまな寄付を得て施設をつくり、その特色は推進者と理解者の力でどんどん出てきます。
もちろん施設の建築費は寄付ですから、入場料を高くすることはありませんし、行政から展示について指導をされることもありません。
研究費だってそうやって寄付をしてもらったり、入場料から捻出するのも簡単です。だからアメリカでは斬新な展示や地道な研究が続けられるのです。

日本では、そんな税制優遇があるどころか、鳥羽水族館のような私立の水族館は法人税をガバッと取られて、その残ったお金で新しい施設を増やしたり調査研究をしたりしているのですから、まるっきり逆ですね。
まあ、そんなわりには日本の水族館(特に古くからの私立水族館)は、よく頑張ってきたし、立派に日本の水族館の歴史をうち立ててきたと思います。

今のところ国会で審議されているのは規制のためのNPO法案(市民活動推進法)だし、それが通過するかどうかもわからないという情けない日本の国会ですが、NPO法案には、市民活動だけでなく今後日本が本物の文化国家になれるかどうかということまでかかっているのです。
(今日はちょっと社会派の地球流民)




1997.11.2 水族館の仕事 (K美さん)
   
=略=
私は、現在****大学に通う3年生で****学科に所属しています。
将来水族館で飼育員として働きたいと思っています。なぜ、飼育員として働きたいと思ったのか。最初は海や海産動物に対する憧れでした。しかし大学で現在の水産界の現状や海の環境、海産動物について学ぶにつれて、憧れだけではなくなりました。今、種の絶滅や地球規模での環境破壊などの問題が新聞でもよく話題になるようになりました。
私は水産学部に所属しているためその話題の中心はやはり海や周りの環境です。これらの問題について、ただ、人間が開発をやめればいいというものでもないと私は思います。大切なのは人間も生態系の一部であり、人間の生活そのものも環境に含まれるという認識をもっと私たちは持つ必要があるということだと私は考えます。けれども、人間は自分の目にはっきりと形としてあらわされないものに対しては、あまり関心を払わないものではないでしょうか。

海や海に生活している生物に関していうならば、海の近くに住んでいない人々にとってはやはり遠い存在になるのではないでしょうか。
私はこれからの水族館には、アミューズメント的な役割よりも、種の保全や、水族館を訪れたことで人々が普段見れない海の生物や海について近い存在として受け止め、そこに起こっている問題についてほんの少しでも関心を払えるようになる、そのような何かを訴える役割を負うことが多くなっていくと思います。私は、将来訪れた人々に対して喜びでもなんでもいい。何か心に訴えられる飼育員になりたいと思うようになりました。

けれども、飼育員という職業には就きにくいという現実や、理想だけではやっていけないという甘くない職業だということを大学の先生方や実際飼育員をしてらっしゃる方など様々な方から聞かされました。それでも私はあきらめたくありませんし、そのつもりもありません。ただ、実際問題としてどのようにすれば就けるのかがわからず、悩んでいます。人員の空き
があるとか募集をしているというのはどこで聞けばいいのですか。また、卒業論文とか水族館で書こうと思えばかけるのでしょうか。アルバイトという募集はあるのでしょうか。来年、私営の水族館で人員を募集しているところはあるのでしょうか、など様々な質問や疑問はその水族館に直接聞くのが一番いいのでしょうか。
=後略=     
(K美さん)



ある種の人々にとって、使命感が行動の基本になります。それはとても大変なことだけど、そんな人たちがいるから、人は取り返しのつかない過ちから救われてきました。
大学での勉強によって、自然や動物への憧れが、新たな使命感に変わっていったということを聞いて、今の学問もまるっきりだめな訳じゃない・・・と思いました。(私は哲学をどこかに忘れてきた学問にはなんの意味もないと感じているのです)

私はこれからの水族館には、アミューズメント的な役割よりも、種の保全や、水族館を訪れたことで人々が普段見れない海の生物や海について近い存在として受け止め、そこに起こっている問題についてほんの少しでも関心を払えるようになる、そのような何かを訴える役割を負うことが多くなっていくと思います。私は、将来訪れた人々に対して喜びでもなんでもいい。何か心に訴えられる飼育員になりたいと思うようになりました。

そんな飼育員が、最近増えています。
私も、水族館をアミューズメントとして捉えるのは好きではありません。水族館は正しく新鮮な情報を発信している博物館であるべきなのです。
しかし、全ての水族館がそう考えているわけでもないし、すべての経営者や行政のトップあるいは飼育の責任者がそれを理解しているということでもありません。
だから、もしかすると、K美さんの考えを実現するには、水族館の仕事よりずっと適当な仕事があるかもしれませんね。
でも、とりあえず、お悩みの件にはお答えしたいと思います。

人員の空きがあるとか募集をしているというのはどこで聞けばいいのですか。また、卒業論文とか水族館で書こうと思えばかけるのでしょうか。アルバイトという募集はあるのでしょうか。
募集状況は、それぞれの館に直接訪ねていただくしかありません。卒論については、鳥羽水族館で仕上げた人はいますが、大学の判断次第ですね。研修度はゼミの先生からの依頼が必要、卒論や研究になると当然仕事の邪魔にも「企業」としての秘密にも触れますから、学長や学部長からの依頼があって、それからこちらで判断するという形になります。(あくまでも鳥羽水族館の場合ですよ)
アルバイトはありますが、たいてい売店とか掃除とか駐車場とかです。

ところで、動物園の飼育係になるためには、という質問にたいへん詳しく説明されているホームページを見つけましたので紹介します。
「動物園で働く」というHPの中の「動物園や水族館で働きたい」というコーナーです。
 
http://www.asahi-net.or.jp/~rn2h-dimr/sigoto.html
少しだけ面識のある、ある動物園の獣医さんが、個人的に作っている(のだと思う)のですが、とっても分かりやすいし、他のページもマニアックで楽しいからお奨めです。
(地球流民)


 10月の秘話へ    12月のAQ秘話へ
AQ秘話タイトル一覧 
  
  地球流民HP表紙