AQ秘話98年1月分
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1998.1.15 ジュゴンプールの掃除  (ジュディーさん)

 しかし、水族館のはなし(ネタ)って多いです。 それも従業員の方には普通でも、我々客から見たらこんな面白いモノ無いってことが結構あって。  これは中村さんのお書きになった『水族館のはなし』にも登場した潜水掃除の話でございます。

 久々に鳥羽水に行った私は、友人がどうしても以前アクアワ−クショプでお会いした若井さんに会いたいというのでジュゴン水槽の前に行きました。 案内所の女性が、「若井はただいまジュゴン水槽の清掃中です」と、教えてくれたからです。
 その場に行くと、「ああ、鳥羽水族館がどこの水族館よりいつも綺麗なのはこの努力のたまもの!」と思わず納得してしまう光景がありました。 4人ほどの方がウエットス−ツを着てセッセとお掃除の真っ最中。

 その中の一人が若井さんなのに間違いはないでしょうが、あの格好では誰が誰だか分かるはずもなく、まして掃除をなさっている人々に向かい踊ってみせる勇気もないままその場を離れようとしたき、後方の扉から立派なお髭の方が出ていらっしゃいました。 たぶんその方は古田正美さんかと思われます。 友達がそんな千載一遇のチャンスを逃すわけもなく、早速「あの若井さんはいらっしゃいますか?」と詰め寄ると、古田さんはニッコリ微笑んで水槽を指さし、「あのブル−の足ヒレがそうですよ−」と教えて下さいました。 「何かご用ですか」と聞く彼に、友人は「実は・・」と説明をはじめる。
 (こいつ今考えたよな・・)と思いつつ私は後方で無害に微笑む。 「じゃ終わったらここに来るよう言ってあげましょう」とバックヤ−ドに消える古田さん。  

 「ああっ、いい人だ−−!」二人して喜んでいると、以前中村さんが本に書いていたとおり、潜水掃除をしている水槽は人気がある、を裏付けるように沢山の人達が水槽の前に集まってきました。  そのお客さん達に向かい、かのブル−の足ヒレの方は、セレナの背中に乗ったり体をなぜたりして「ほぉ−−ら、可愛いだろ-、ほぉ−−ら、いいだろ−」と言わんばかりに人々の視線を釘付けにしておりました。

 ところがその時です、一本の竹竿がまるで命があるモノのごとくスルスルスルとのびてきたのは。  そしてその竹竿は水槽の底の部分を掃除しはじめた若井さんの背中に狙いを定めると、勢いよくツツク・ツツク・ツツク・・・。  固唾をのんで観客が見守る中、かわいそうな若井さんは、ひしゃげた蛙のようになりその後一目散に浮上して行きました。
 事情を知っている私達二人が、心の中で若井さんに「悪ぅございましたぁ−」と手を合わせているとき、他のお客さん達はいったいあの光景とどう見ていたのか、もしや水族館特有のイジメだと思われてはしまいか?そう思うと、又一人静かに反省する今日この頃です。

(ジュディーさん)



Re> ジュゴンプールの掃除 (地球流民)

 潜っているスタッフに連絡をするには、カンカンカンなんて金属を叩くような音を水中でたてれば、たいてい気付くのですが、音に敏感な哺乳動物のプールではとてもできません。
 だから、何かで突っつくしかないのですね。
  でも、そうですか、彼はひしゃげたカエルのようにね・・・お気の毒さま。

 ジュディーさんは、自他共に認める水族館フリーク、中でも鳥羽水族館を特にお気に入りいただいていて、かの有名な「鳥羽水族館アクアワークショップ」にも、参加されてたのですね。
 毎年、毎年、遠いところからお越しいただき、ありがとうございます。
 今年は、時々AQ秘話へもお越し下さい。

 そういや最近、海さん見ないですね。

 (地球流民) 


1998.1.14 ジュンイチとウミガメ (地球流民)

ジュゴンのセレナとアオウミガメの友情物語は、こちらのAQ秘話だけでなくいろんな形で、お便りをいただきましたが、実は、オスのジュンイチには、こんなものではないアオウミガメとの悲哀物語があるのです。

今を遡ることおよそ10年、せっかく交尾確認までされていた、かつての連れ合いジュンコが病死してからのジュンイチは、たいそう気を落としてさみしそうでした。
特に、想いを遂げることの快感を知ってしまっているわけですから、精神的な寂しさだけでなく、性衝動への煩悩もなみたいていのものではなかったでしょう。

そんなとき、ジュンイチの目にとまったのが、一緒に入れられていた50pほどのアオウミガメ「カメ吉」でした。ジュンイチはその若いウミガメを遊び相手というか、動くおもちゃのようにして接近し始めたのです。
カメ吉の方も、あまり嫌がる様子もなく、ジュンイチの周りをうろうろしてましたから、ちょうど、ペットのような感じですね。

ところが、ジュンイチが遊びながら発情してきてから、少しずつ状況が変わってきたのです。カメ吉を両手(ヒレ)で抱きかかえて興奮した泳ぎを見せたり、突進してのし掛かったり、勢い余って空中に放り投げたりするようになってしまいました。
そして、そんなジュンイチの乱暴な愛情の末に、ついにカメ吉は前脚を脱臼してしまったのです。

それっきり、カメ吉は、ジュンイチのプールから隔離されました。
そして再び寂しくなったジュンイチには、ダッチジュゴンと呼ばれる大きなゴム製の水枕が与えられるようになったのです。
この話しは、当時のある女性週刊誌に、「ジュゴンの悲哀」とかいう題で4ページに渡って特集され、ジュンイチはとっても恥ずかしい思いをしたのでした。

*ダッチジュゴンについては、またいずれ詳しくご紹介します。

 (地球流民)


1998.1.11 みたよん (にゃんこさん)

あけましておめでとうございます(15日まではこう言っていいんですよね、確か (^^;)!

一昨日の朝日新聞を見たら最初のページに鳥羽水族館のじゅごんさんとかめさんが載っているではありませんか。
びっくりしました。
けっこうじゅごんのとこではずっと立ち止まって見てたのでかめがいたことも覚えてます。
でもなぜもともとかめを引き離したんですか?

でもじゅごんって動きませんね (^^;

From:みゃ〜



Re>みたよん> ジュゴンとウミガメ (地球流民)

おめでとうございます。にゃんこさん。本年もよろしくお願いしますね。

>でもなぜもともとかめを引き離したんですか?

おお、タイムリーなご質問です。
実は、最近のジュゴンの正確な摂餌量(せつじりょう:エサを食べる量)を調べるために、ウミガメを別のプールに隔離していたのです。
ここに入っているウミガメは、アオウミガメという種類のウミガメで、海草などを好んで食べる雑食性のウミガメだったのですね。
でも、わざわざ離したら、通常でないエサの量になってしまい、この調査はできませんでした。弱ったことです。

ところで、オスのジュンイチも、ウミガメとの間におもしろいエピソードがあるんですよ。
それは明日にでも、書くことにしましょう。

 (地球流民) 


1998.1.10 「もののけ姫」観ました (地球流民)

おくればせながら、「もののけ姫」を観てきました。
映画としての見応えはともかくとして、投げかけてくるメッセージは、壮大で重い問いかけでした。
「自然とヒト」、さらに深めれば「地球と人間社会」あるいは「生命の価値観と経済の価値観」といった、安易に答えをだせない問題が、問いかけられていたように感じました。

私たちは、今までそれらの問題を、あまりにも安易に短絡的に考えすぎていたのかもしれません。
土俵の違うものを、同じ土俵で論じ合うことの難しさと、それを行っていかねばならないヒトの宿命は、今後の私たちが地球で生きていく上で、永遠に答え無き問題として横たわり続けることでしょうね。
私たちにとって、真の豊かさとは、いったいどこにあるのでしょう?

 (地球流民)


1998.1.3 動物のお正月 (地球流民)

いくら日本の水族館に住んでいるからといっても、お正月を祝っているような動物はいません。カメ語や魚語を知らないので絶対とは言い切れないのですが、まあきっといないでしょう。

でも一時期、ラッコだけはあきらかに喜んでいました。
というのは、超人気で入館者を倍増してくれたラッコたちには、特別に大の好物であるイセエビなどをごちそうするという、バブリーなことをしていたのです。
ところがラッコってけっこうグルメでして、イセエビの角がバケツからちょろっと見えていたりすると、いつものウチムラサキ(大アサリ)を受け取ろうとしないのです。
しかも、腕力の強い奴は、他のラッコにあげるイセエビまで奪い取って、いくつもお腹の上にため込むなんてことまでします。
本来動物は、いつも食べているエサや、手に入りやすいエサが最も好物になるものなのですが、ラッコはちょっと変わっていますね。

あんなに堅くて、トゲの多いイセエビですが、ラッコたちは甲羅を残すこともなく、すべてたいらげてしまいます。
そして最後に、長い2本の角を手にして、いつまでもながめているのです。「ああ、旨かったなあ、こんどはいつ食べられるのかなあ・・・」なんて思っているのでしょうか。

 (地球流民)


1998.1.1 おめでとうございます (地球流民)

ついに1998年になりました。
みなさんよいお年を迎えられたでしょうか?
昨日まで仕事だった私は、昨日午後から仕事机まわりの年末大掃除を始めて、結局途中で放り出してしまったので、向かう机がなく困り果てています。
とはいうものの、元旦から大掃除の続きをするのも嫌で、年賀状が届くまでは、お隣のミキモト真珠島に年始に伺って、お餅とお酒をごちそうしてもらっていました。
ミキモトに行くのは最近私の恒例行事になっているのですが、さすが宝石を扱っているミキモト真珠島、お酒も金箔が豪勢に入っている上等のものなのですよ。

もちろん、お正月でも、動物たちにはまるで関係ありません。
そして、飼育係にもお正月は関係ありません。彼氏や彼女が普通の仕事をしていると、暮れからお正月にかけては、ちょっと辛いものがありますね。

午後からはあいにくの雨でしたが、明日からはからっと晴れそうです。
お伊勢参りと、鳥羽水族館、両方行かねば片参りです。(笑)
ぜひお越し下さい。お待ちしています。

 (地球流民)


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