2003年12月
●12月1日(月)

 早朝から急ぎの仕事に精を出しておりましたので、本日は「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき事業紹介」のページをちょこっと更新するだけで時間がなくなりました。二〇〇四伊賀びと委員会はどこまで私に世話を焼かせれば気が済むというのでしょうか。


●12月2日(火)

 乱歩の関連記事が掲載されているらしい「小説宝石」最新号を買いにゆくいとまもありません。

 本日も「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき事業紹介」のページを更新するだけで失礼いたします。

 こんなことじゃ伊賀県民局四階へ週一のペースで嫌がらせに参上するのはとても無理かもしれません。

 いよいよ鬱々としてきました。


●12月3日(水)

 鬱々としているうえにいよいよ寒々としてきました。またあした、ということで。


●12月4日(木)

 あまりにも寒々としてまいりましたので、本日ストーブの使用を開始いたしました。暖かくて快適な朝となっております。鬱々としていたのは寒々しさのせいだったのかもしれません。なんとも単純な。

 江戸川乱歩著書目録発送開始

 さて、サンデー先生の過去の悪行にいろいろな意味でまとめて天罰がくだされたのでしょう、トラブルに継ぐトラブルに見舞われた江戸川乱歩リファレンスブック3『江戸川乱歩著書目録』ですが、おかげさまで昨日ようやく、名張市立図書館から関係各位への発送を開始するに至りました。つまりお役所の内部で、発送してもよしという決済が下りたということです。

 それなら堂々発売開始なのかと申しますと、てやんでえこちとらお役所だい、発売してもよしという決済はまだ下りていないとのことで、来週火曜の9日あたりから発売できる見込みとなっております。首を長くしてお待ちくださっているみなさんにはほんとに申し訳ないことですが、もうしばらくお待ちいただきますようお願いいたします。

 決済が下りたらこのページをアップロードして正式なPRを開始いたしますので、どちらさまもよろしくお願い申しあげます。しかしこんなページをつくる作業に嬉々として没頭した自分を省みますと、これはあるいは鬱々とした気分を紛らわせる行為であったかとも思われる次第です。

 これからしばらくは発送作業に時間を取られることになりますので、三重県伊賀県民局の「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業事務局および三重県庁知事室へは、当分のあいだ嫌がらせに参上することができないかもしれません。なんとも残念な。


●12月5日(金)

 天下無双の名張市立図書館が遅れに遅れてお届けする江戸川乱歩リファレンスブック3『江戸川乱歩著書目録』、きのうも図書館に出たり入ったりして発送作業を継続いたしましたが、そうそう捗るものではありません。送付先の数で申しますと、二日でようよう百三十に届こうかといったところです。

 一昨日発送分のなかにはすでに届け先に到着したものもあるようで、その旨のメールや掲示板「人外境だより」への投稿もいただいておりますが、すべてを送り終えるにはもう少し時間を要する見込みです。手許のリストに従って順次発送を進め、あ、講談社の江戸川乱歩シリーズを全冊ご寄贈くださった長野県のあの方にお送りするのを忘れているではないか、みたいなケースもいちいち決済とやらを受けてリストに追加しながら、最終的には全国の都道府県立図書館に二部ずつ発送してようやく作業終了となります。

 ではここで突然ながら名張市の財政状況について。

 まだ残ってるかなと思って見てみたら中日新聞オフィシャルサイトに11月27日付伊賀版の記事が掲載されておりましたので、一部引用して名張市の深刻な財政硬直化についてお伝えしておく次第です。伊東浩一記者の記事です。

実質単年度収支は13億円超の赤字

名張市02年度一般会計決算

 名張市は26日、2002年度の各会計の決算の概要を発表した。一般会計では、累年の収支を表す実質収支は約4億7500万円の黒字を保ったが、実質単年度収支は約13億1500万円の赤字となった。

 また、一般会計に4特別会計を加えた普通会計の公債費比率は19・5%で、県内13市の中で最も悪い数値となった。経常収支比率も96・1%で、悪い方から2番目の率を示し、財政の硬直化が深刻度を増していることが浮き彫りとなった。

 普通会計の公債費比率は前年度より1・7ポイント上昇。皇学館大学や市立病院、市道など近年相次いで実施した整備事業の地方債(借入金)の償還がピーク期を迎えたのが要因。財政構造の健全性を確保するのに望ましいとされる10%を2倍近く上回る値を示した。

 普通会計では、経常収支比率も前年度より6・6ポイント上昇した。公債費や人件費などの経常的経費が前年度より約5億9000万円増えた一方、市税などの収入が約4億8000万円落ち込んだため。全国類似都市の平均値83・9%を大きく上回った。

http://www.chunichi.co.jp/00/mie/20031127/lcl_____mie_____009.shtml

 近日公開予定の「江戸川乱歩著書目録 NOW ON SALE」というページには、『江戸川乱歩著書目録』に関して「江戸川乱歩の生誕地にして深刻な財政硬直化に直面する三重県名張市が乱歩を愛するすべての人のために血税を注ぎ込みました」と記してあるのですが、名張市はこの分では赤字再建団体に転落することにもなりかねず、もしかしたら『江戸川乱歩著書目録』は乱歩を愛するすべてのみなさんに対する名張市最後のご奉公ということになってしまうかもしれません。

 むろん赤字再建団体に転落したって乱歩のことに血税を注ぎ込むなら注ぎ込むと、名張市がどーんと構えて腹をくくりさえすればご奉公はいくらだって可能なわけなのですが、そのあたりのことはほんとにどうもよくわかりませんので、やはり名張市教育委員会のお偉いさんを徹底的にいたぶる「じゃーん。名張市は乱歩から手を引けキャンペーン」で白黒をはっきりしてやらねばならんなと私は手ぐすねを引いているわけですが、現在のところはとてものことに手が廻らず、キャンペーンの本格実施はどうやら年明けのことになりそうです。

 さてこうなりますと三重県の「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業をめぐる「じゃーん。しょうもないことに税金つかうのはやめましょうキャンペーン」はいったいどうなってしまうのか、相手がみんな莫迦だということもあってとんと見当もつかぬありさまなのですが、まあなるようになるでしょう。三重県庁知事室へのカチコミを狙ってる人間は、別に私ひとりと限ったわけでもありますまいし。


●12月6日(土)

 毎日同じネタで恐縮なのですが、『江戸川乱歩著書目録』の昨日発送分は四十あまりでした。ぼちぼち進めております。

 江戸川乱歩著書目録発送中

 送付先リストは一応分野別ということになっておりまして、筆頭には「著書目録関係者」として平井隆太郎先生、装幀の戸田勝久さん、巻頭エッセイの新保博久さん、中島河太郎先生のご令息、と四人の方のお名前が並び、そのあといやになるほどずらずらずらずら送付先名が列記されております。

 「著書目録協力者」や「慶應義塾大学推理小説同好会OB会」などを経て、現在はようやく「作家・評論家・研究者」の中盤あたりまで届いたところ。あとには「日本推理作家協会」とか「出版社」とか「新聞・雑誌社」とか「豊島区」とか「立教大学」とかいろいろ控えておりますので、最後の「都道府県立図書館」にたどりつくまでには当分かかるぞ実際、と思っております。

 しかしつらつら振り返りますに、1997年に『乱歩文献データブック』を刊行したころには名張市立図書館にもまだ余裕というものがありました。

 出入りの印刷屋さんに頼んで送付用の封筒をつくってもらったり、本を一冊ずつ入れられるA5サイズ書籍用封筒状エアクッションを購入したり、結構バブルなこともやっていたのですが、いまやそんな余裕はどこを探しても見当たりません。ありあわせのエアクッションを適当な大きさに切って本を包み、ごく普通の封筒に入れて発送することで用を済ませております。赤字再建団体転落前の悪あがきと思し召して、多少お見苦しい点はなにとぞお見逃しいただきますよう関係各位にお願いを申しあげる次第です。

 いやー、昔はよかったなあ。

 などといいながら、律儀な私は一週間ぶりで例の掲示板に下記の投稿を行いました。

投稿者:中 相作
投稿日:2003/12/06(Sat) 07:38 No.88
[53.2.215.220.ap.yournet.ne.jp]

タイトル:無免許はいけません

 一週間のご無沙汰でした。伊賀SGGクラブの方のリンク依頼のご投稿を拝見し、ああこの掲示板もまだ完全に見捨てられたわけではないのだなと安堵いたしました。ご閲覧のみなさん、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 ●三重県伊賀県民局の皆様

 昨5日付で行われた懲戒処分についてはよくご存じのはずですから仔細を記すことはいたしませんが、やはり無免許運転はよくありません。そのうえ無車検無保険で事故まで起こしたと来た日には、公務員なんてそれでなくても世間様から白い目で見られているんですからいよいよ立つ瀬がなくなります。

 お役所ではいくら無能力であってもいっさい咎めだてされることがありませんし、無責任でいることはむしろ奨励されさえする次第ですが、それはあくまでもお役所内部の話です。無能力無責任でまったく問題ないんだから無免許でもさしたる差し支えはないだろう、みたいななあなあ感覚はお役所の外では通用しないのだと肝に銘じるべきでしょう。

 ところで今週はとうとう貴県民局へ参上することができませんでした。来週はなんとか時間をつくりたいと思っているのですが、いろいろ忙しくしておりますのでどうなることですか。信田さん首を洗って待っててね。

 おーい、三重県のぼんくら職員のみなさんやー、しっかり働けほーやれほー。


●12月7日(日)

 『江戸川乱歩著書目録』、昨日は一部も発送できませんでした。どうも相済みません。こんな日もあります。

 したがいまして発送はリストのなかの「作家・評論家・研究者」のなかば、厳密に申しますと五十音順の「た」の途中でストップしたままで、作業はこのあと谷沢永一さんあての宛名書きから始まることになります。

 谷沢永一さんといえば、『日本近代書誌学細見』(2003年11月25日、和泉書院、本体二八〇〇円)という新刊がきのう立ち寄った大阪の本屋さんに並んでおりました。私は書誌学にはまったく興味のない人間なのですが、たぶん出てくるだろうな、と思ってページをくってみると案の定乱歩に関する記述が出てきましたので致し方なく購入した次第です。

 そのほか乱歩がらみで昨日購いました書籍は、掲示板「人外境だより」でこまさんから教えていただいた三善里沙子さんの『東京魔界案内』(2003年1月15日、光文社/知恵の森文庫、本体八〇〇円)、それからこれは萩原葉子さんが目にされたらいったい何とおっしゃるかと気にならぬでもない鯨統一郎さんの『月に吠えろ! 萩原朔太郎の事件簿』(2003年9月30日、徳間書店/トクマノベルス、本体八一九円)の二冊でした。


●12月8日(月)

 「小説宝石」12月号(光文社、九〇〇円)に「拝啓、江戸川乱歩様」が掲載されています。リード全文は次のとおり。

さまざまな資料・文献が眠っていた「乱歩の蔵」。そこにひっそりと置かれていた茶箱には、同時代の作家たちから乱歩宛に書かれた手紙が、多数納められていた。乱歩の身辺はもちろん、当時の探偵小説界に新たな地図を描く第一級の資料である。

 山前譲さんの「探偵作家の素顔を伝える江戸川乱歩宛書簡」と新保博久さんの「横溝正史より愛をこめて」の二篇を掲載し、最後にちゃっかり光文社文庫版江戸川乱歩全集の広告を収めた内容。山前さんの文章から一段落だけ引用します。ルビは省略。

 さまざまな資料が所蔵されていた池袋にある乱歩邸の蔵は、立教大学に移管され、現在、修復工事が行われている。いずれは公開されるだろうが、その蔵から最後の最後になって発見されたのが、夥しい数の書簡であった。茶箱にふたつ、デビュー前のさまざまな職業に就いていたころから、昭和二十年の終戦直後のものまで、数百通も残されていたのである。

 「第一級の資料」であるこれらの書簡を本にして出してくれるのはいったいどこの出版社であろうか、とついつい思ってしまう次第です。現在ただいまは乱歩全集の校訂その他でとてもそんな余裕はないでしょうけれど、ここはやはり新保さんと山前さんのご尽力に期待するべきでしょう。

 ちなみにわれらが三重県は乱歩と不木の往復書簡集を刊行する事業の準備を進めており、ただ事業の内実はずいぶんとあれなわけなのですが、幸いなことにこの書簡集刊行事業には私がからんでおりますので、私がからんでいるから準備がすいすいとは進まないという難点もあるのですけれど、ともあれ期待していただければと思います。

 しかしいい加減で三重県庁知事室にお邪魔しなければなりません。あいにくと県議会開会中ですからそれを理由に知事との面会は断られてしまうはずなのですが、そんなこといってると「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業推進委員会が開会されてしまいますからさあ大変。年末を迎えてなんか困ったことになってきております。


●12月9日(火)

 いよいよ12月9日、中井英夫の命日前日を期して、名張市立図書館は『江戸川乱歩著書目録』購入申し込みの受付を開始いたします。どちらさまもあちらこちら処々方々でPRしていただければ幸甚です。

 江戸川乱歩著書目録発売開始

 私のPR第一弾は、やっぱりあの掲示板となりました。

投稿者:中 相作
投稿日:2003/12/09(Tue) 07:03 No.94
[53.2.215.220.ap.yournet.ne.jp]

タイトル:宣伝にお邪魔しました

 聞きました聞きました。

 三重県庁知事室にカチコミかけた伊賀びとがいるって話じゃありませんか。小耳に挟んだだけなんですが、さる伊賀びとの面々が先週金曜日、野呂昭彦知事と非公式に面会して「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業と二〇〇四伊賀びと委員会の驚くべき実態を何から何までぶちまけてしまったと洩れ承りました。いやくわばらくわばら。

 念のために申し添えておきますと、私はこの件にはいっさい関係しておりません。私の漫才を掲載した地域雑誌「四季どんぶらこ」が獲物として使用されたとも仄聞いたしますが、私の漫才はごくまっとうな市民感覚に基づいて事業を正当に批判したものですから、共感を示してくれる地域住民は少なからずいらっしゃるはずですし、また私以外に公然と事業を批判している人間は存在しないようですから、私の漫才が事業批判の具とされるのはむしろ当然のことでしょう。

 私も今月下旬の事業推進委員会開催までに知事とお会いしたいものだと考えていたのですが、ごみ大爆発のご心労もおありだろうし定例会開会中でもあることだからなどと躊躇していて後れを取ってしまいました。それにしても勇敢な伊賀びとがいらっしゃったものです。事業事務局はいまごろどんなありさまなんでしょうか。

 いやいや、きょうはこんなことを書きつけるためにお邪魔したわけではありません。お知らせを一件、投稿いたします。

 私がカリスマ嘱託として在籍している名張市立図書館が、江戸川乱歩リファレンスブック3『江戸川乱歩著書目録』を刊行いたしました。本日から購入のお申し込みを承ります。私のサインを添えてお届けするサービスも行っております。詳細は下記のページでご覧ください。

http://www.e-net.or.jp/user/stako/ED1/E01-pr1.html

 それにしても「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業事務局のみなさんは元気にしていらっしゃるのでしょうか。名張饅頭ぶらさげてお見舞いに参上したいところなのですが、ここしばらくは時間に余裕がないせいでお邪魔できません。達者で暮らせよ公務員諸君。


●12月10日(水)

 気分はもう戦争だと申しますのにデモのひとつも起こらない、なんだか不思議な国になってしまったもんだな日本もという気がいたします。身捨つるほどの祖国かこれが、などと訝りつつ、そろそろ自分が何をやっているのかよくわからなくなってきた私はさきほど三重県のオフィシャルサイトに掲載された知事室のアドレスに下記のごときメールを送信してしまいました。

三重県庁知事室チーム御中

 どうもお世話さまです。以前、「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業のことでメールをさしあげた者です。同事業のことでぜひ知事にお目にかかりたく、ご手配をお願い申しあげる次第です。知事は先週、同じくこの事業のことで伊賀地域住民とお会いになられたと仄聞いたします。折悪しく定例会開会中で、ほかにもご多用のこととは拝察いたしますが、十分か十五分ほどお時間を頂戴することは可能ではないでしょうか。

 用件は、本来であれば「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業に関して疑問点を質したいところなのですが、知事はこの事業のことを何ひとつご存じないようですから、事業に関する質問などという無意味なことに時間は割きません。知事に同事業推進委員会の会長を退任されるよう勧告し、会長権限で私が新会長に就任できるよう差配していただくことをお願いしたいと考えております。

 この件に関する私の見解は下記の掲示板に投稿しておりますので、知事にもぜひご一読いただきたく存じます。

http://www.iga2004.jp/bbs/bbs.php

 むろん知事に直接お会いできなくても、上記の件に関してメールでご回答を頂戴できればそれで用は済むのですが、これまでの経験から申しあげて、メールではまともなお答えがいただけないであろうと思われる次第です。

 とりあえず、事業推進委員会が開催される今月下旬までにお会いいただけるのかいただけないのか、その点についてメールでご回答を頂戴できれば幸甚です。なお、ご回答は当方のホームページ(http://www.e-net.or.jp/user/stako/)で公開させていただきますので、あらかじめご了解いただきますようお願いいたします。

 まことに勝手なお願いで知事にも貴チーム各位にも申し訳なく思う次第ですが、なにとぞご高配をたまわりますようよろしくお願い申しあげます。

2003/12/10

 まこと気分はもう戦争。


●12月11日(木)

 こんなことしてる暇はないのではないかと思いつつ、PRの一環としてこんなページを新設いたしました。

 『江戸川乱歩著書目録』に関して掲示板「人外境だより」に頂戴したご投稿は、当初予定していた「人外境主人伝言」ではなくこのページにまとめることといたしました。諸兄姉これを諒せよ。

 つづきまして大宴会のお知らせ一件。

『江戸川乱歩著書目録』刊行記念大宴会
第二陣東京篇

   日程12月13日(土)
 集合時間
午後5時
 集合場所
芳林堂書店池袋店一階
大宴会会場
蔵之助(池袋西口センタービル五階)の予定
   会費
時価

 本日はこれにて失礼いたします。


●12月12日(金)

 あすのことですのでしつこくお知らせしておきます。

『江戸川乱歩著書目録』刊行記念大宴会
第二陣東京篇

   日程12月13日(土)
 集合時間
午後5時
 集合場所
芳林堂書店池袋店一階
大宴会会場
蔵之助(池袋西口センタービル五階)の予定
   会費
時価

 「江戸川乱歩著書目録 SPECIAL THANKS」には、私宛に頂戴したおたよりやメールの抜粋も、ご本人のOKをいただいて掲載することにいたしました。

 名張市立図書館へもいろんな方からの封書や葉書が到着しておりますので(念のために申しあげておきますが、私は礼状を催促しているわけではありません)、『江戸川乱歩著書目録』刊行事業の記録として広く閲覧に供し、あわせて市民生活に何の関係もないことに血税つかわせてくれた名張市民への報告とするべきかとも考える次第なのですが、現在ただいまはそれぞれの方に公開の承諾をお願いしている時間が取れないようにも思われます。

 とりあえず本日は、「じちろう」に掲載された小西昌幸さんの紹介記事、長谷川泰久さんのおたより、本多良隆さんのメールを追加で掲載いたしましたので、どうぞご一読ください。

 江戸川乱歩著書目録宣伝中

 しかし私は三重県のことも忘れていません。混迷する三重県政を正しく導くのが神から与えられた私の使命なのですでから、例の掲示板は本日こんな塩梅になっております。

投稿者:中 相作
投稿日:2003/12/12(Fri) 07:27 No.97
[53.2.215.220.ap.yournet.ne.jp]

タイトル:またしても宣伝にお邪魔しました

 ご投稿がぼちぼち寄せられているようで、まずはご同慶の至りです。とはいいますものの、二〇〇四伊賀びと委員会のみなさんからは相変わらずうんともすんとも反応のないことが、他人ごとながらいささか気になる次第です。とくにひなたぼっこさんは事業に関するご提案を投稿していらっしゃるんですから、伊賀びとのみなさんはそれぞれのお考えを自由に投稿なさってはいかがなものかと、ほんとに他人ごとながら気を揉んでしまいます。人の呼びかけにまともに応えることもできぬ連中がよくも「全国発信」などとほざけたものだ。おまえらには血税三億をどぶに捨てる資格なんてまったくないのだということをいい加減で思い知れ伊賀の山猿ども。

 さて私儀、以前からお約束しておりますとおり「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業推進委員会の会長に就任いたすべく、近く三重県庁知事室にお邪魔して野呂昭彦知事に直談判させていただくことになっております。この10日に知事室へメールを送信し、知事との面会の時間を設定していただくようお願いいたしましたので、おっつけご返事がいただけるものと心待ちにしているところです。知事がお忙しいことは重々承知しているのですが、今月5日にも伊賀びとが知事室を訪問しているのですから、私にも同じ機会が与えられて当然であると信じております。知事室チームのみなさん、なにとぞよろしくお願いいたします。

 ところで本日はまたしても宣伝にお邪魔したのですが、過日お知らせいたしました名張市立図書館の『江戸川乱歩著書目録』はおかげさまで大好評発売中です。ただ不思議なことに、伊賀びとの方からはいまだ一冊のご注文もいただいておりません。「全国発信」の名のもとにご町内の親睦行事をだらだらとくりひろげ、身内だけのひとりよがりな自己満足に血税三億つかってしまう結果をお招きになるのであろう二〇〇四伊賀びと委員会のみなさんには、この本を手に取って本当の「全国発信」とはいったい何であるのかを一度真剣に考えてみていただきたいものだと思っております。下記のページをご覧のうえ、代金三千百五十円を握りしめて名張市立図書館へ馳せ参じなさいお猿さんたち。

http://www.e-net.or.jp/user/stako/ED1/E01-pr2.html

 あ。三重県知事にも『江戸川乱歩著書目録』をお送りしておかなければ。


●12月15日(月)

 名張市民のみなさん。みなさんの血税で上京してまいりました。乱歩のご遺族にお目にかかり、『江戸川乱歩著書目録』に関するお礼を申しあげてまいりました。仔細はまたあした。


●12月16日(火)

 名張市民のみなさん。いやその前に三重県民のみなさん。もしかしたら三重県庁ってのは腐りきってるんでしょうか。あそこに巣くってる税金泥棒どもはいったい何を考えているんでしょうか。本日のメール攻撃は下記のとおりです。

三重県庁知事室チーム御中

 お世話さまです。「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業に関して知事から拝眉の機を頂戴したいと12月10日付メールでお願いした者です。いつまで待ってもお答えがいただけないようですから近く知事室にお邪魔することにいたしました。残念ながら何日の何時になるのか現時点では確約できないのですが確定したらまたお知らせいたします。用件は知事にお会いできるのかできないのかをお聞かせいただきたいということです。たったそれだけのことです。メール一本で済む用件のためにわざわざ名張から津まで足を運ばねばならんのはほんとに困ったことだと思いますがおまえら莫迦どもはいったいどのようにお考えでしょうか。ともあれご多用中恐縮ですがよろしくお願いいたします。みなさんにお会いできる日を楽しみにしております。

2003/12/16

 読点をひとつも使用しないことで文面にそこはかとない不気味さを漂わせてみました。あんまり漂ってませんけど。

 ついでですから例の掲示板にはかようなご挨拶を。

投稿者:中 相作
投稿日:2003/12/16(Tue) 07:47 No.98
[53.2.215.220.ap.yournet.ne.jp]

タイトル:本日は宣伝ではありません

 ●信田様

 首を洗って待っててね。

 とお願いいたしましたのにいまだに参上できていないことをはなはだ心苦しく思っておりますが、やはり伊賀県民局より先に三重県庁知事室にお邪魔することにいたしました。12日付投稿にも記しましたとおり、知事にお会いしたいというお願いのメールを知事室あてお送りしたのですが、うんともすんとも反応がありませんので、知事室に足を運んでお答えを頂戴することにした次第です。とはいえ、私は信田さんのことを忘れたわけではありません。いつかお会いしたいと念じております。

 首を洗って待っててね。

 さて名張市民のみなさん。みなさんの血税で上京し、乱歩のご遺族に『江戸川乱歩著書目録』を無事刊行できたことのお礼を申しあげてまいりました。

 そんなことに血税つかっていいのか、お礼なら電話か郵便で済むではないか、とお思いの方もおありかもしれません。じつは私もそう思います。むろんお目にかかってお礼を申しあげなければ私の気は済まないわけですが、そんなのはあくまでも私個人の問題にしか過ぎません。自分のお金で上京すればことは足ります。

 しかし市立図書館長がなんとか往復の旅費を工面してくれましたので、ありがたくも公費による出張、しかも手土産の二銭銅貨煎餅まで血税でまかなうという、たいへん贅沢な上京となりました。すまんな名張市民諸君。しかし私の出張は、名張市議会議員の先生たちの視察旅行とやらよりは税金の使途としてはるかに有意義なものなのであると、ここに明言しておきたいと思います。

 名張市議会議員の先生たちといえば、『江戸川乱歩著書目録』は総勢二十人の議員先生に一部ずつお贈りすることにしております。出張時の宴席でたまたまその話をいたしましたところ、いあわせた人のなかから「そんなもったいない」という声が洩れました。じつは私もそう思います。しかし市議会議員の先生にも、市立図書館が乱歩に関してどんなことやってるのかということをご認識いただかねばなりません。よって『江戸川乱歩著書目録』二十部、敢えてどぶに捨てる次第です。すまんな名張市民諸君。

 乱歩原作ドラマ聞き書き

 さて名張市民のみなさん。これは納税者に対する公費出張の報告のようなものだとお考えいただきたいのですが、ご遺族から乱歩をめぐる最新情報をお聞きしてまいりましたので、以下に記しましょう。

 まずはドラマの話題。掲示板「人外境だより」でも先日お知らせいただいたのですが、来年1月12日から乱歩原作の連続ドラマ「乱歩R」が放送されます。左の告知板に関連ページのリンクを設けましたので、詳細はそちらでご覧ください。

 このドラマには角川書店が一枚噛んでいるそうで、角川ホラー文庫には来年、「黒蜥蜴」と「怪人二十面相」が加わるとのことです。

 乱歩の文庫本といえば、光文社文庫版の乱歩全集は売れ行きがかなり好調のようで、乱歩人気は不滅であると再認識した次第です。しかしあの全集、新保博久さんと山前譲さんが担当していらっしゃる本文校訂はきわめて大変な作業のはずで、ご遺族も「あの二人、校訂にかかりっきりで収入が激減しちゃったんじゃないかなあ」と心配していらっしゃいました。

 あすは土蔵の話でも。


●12月17日(水)

 土蔵の話の前にお知らせ一件。

 三重県庁知事室のみなさんには本日、下記のごときメールをお送りいたしました。

三重県庁知事室チーム御中

 お世話さまです。名張市立図書館の中と申します。

 さて昨日、名張市立図書館が発行いたしました江戸川乱歩リファレンスブック3『江戸川乱歩著書目録』、野呂昭彦知事宛に一部お送り申しあげました。ご高覧のうえご高評をたまわれれば幸甚です。

 そのほか、生活部や教育委員会、あるいは伊賀県民局など、江戸川乱歩に関連のある部署にもお送りしてご活用いただきたく思っております。つきましては、指図がましいことを申しあげてまことに恐縮ではありますが、送付先とそれぞれの必要部数のリストを当方宛メールでお送りいただきたく、なにとぞよろしくお願い申しあげます。ご多用中お手数をおかけいたしますこと、心からお詫び申しあげる次第です。

 また三重県内では、まだ発送できていないのですが、県立図書館とすべての市立図書館に『江戸川乱歩著書目録』をお送りする手筈となっております。ほかにも寄贈すべき公共機関などがあれば、あわせてご指示をいただきますようお願いいたします。

 ちなみにお知らせしておきますと、江戸川乱歩の旧宅がある東京都豊島区では、区長、教育長、教育委員会生涯学習課長、政策経営部長、同部企画課長、区民部文化デザイン課長、区立郷土資料館学芸員、区コミュニティ振興公社事務局長のみなさんにお送りし、八つの区立図書館にも一部ずつ『江戸川乱歩著書目録』をご架蔵いただくことにしております。

 なお、『江戸川乱歩著書目録』の購入をご希望の方は、恐れ入りますが現金書留または郵便為替で名張市立図書館へお申し込みください。一部ご購入の場合の料金は三千四百九十円(本体+税+送料)となっております。ご要望に応じて私のサイン(カリスマ、大権威、人間豹、サンデー先生、酔っ払い、中相作──のいずれか)を添えてお届けしておりますが、おかげさまでこのサービスも大好評です。

名張市立図書館 〒518-0712 三重県名張市桜ケ丘3088-156

 『江戸川乱歩著書目録』の詳細は下記のページでご覧ください。

NOW ON SALE http://www.e-net.or.jp/user/stako/ED1/E01-pr1.html

SPECIAL THANKS http://www.e-net.or.jp/user/stako/ED1/E01-pr2.html

 師走の風が身にしみる時節となりました。どちらさまもご健勝にて職務にご精励くださいますことをお祈りしております。取り急ぎお知らせまで。

2003/12/17

 なんてメールをたらたら記し、そのあと「江戸川乱歩著書目録 SPECIAL THANKS」を増補してたら時間がなくなってしまいました。増補分は、「人外境だより」への投稿(12月12日−15日)、小西昌幸さんの「創世ホール通信/文化ジャーナル」記事(12月1日)、新巻鮭さんのまことに楽しいメール(12月12日)、以上となっております。

 土蔵の話はまたあした、ということにしてください。


●12月18日(木)

 いやどうもおはようございます。完全に寝過ごしてしまいました。土蔵の話はまたあした、ということでご勘弁ください。じつは本日午後、三重県庁知事室にカチコミかけてやろうと手ぐすね引いていたのですが、早朝に片づけておくべき用事が全然片づけられませんでしたので、カチコミも延期といたします。三重県の12月定例会はあす19日が閉会で、議会開会中は野呂昭彦知事もずっと県庁に貼りついていらっしゃるはずですから、ぜひとも今週中にカチコミかましてやろうと考えていた次第なのですが、いったいどうなることですか。しかしまあ三重県庁の知事室と、それからついでに県議会事務局のみなさんには、いずれお邪魔してたっぷりお話をお聞かせいただきたく思っておりますので、税金泥棒のみなさんは首を長くしてお待ちいただきたいと思います。むろん私は伊賀県民局のことも忘れたわけではありません。伊賀県民局の莫迦どものみなさん、もうしばらくお待ちください。それからまた最近は上野市の市立小学校の改築や新築をめぐるスキャンダルに関して上野市役所のあほたれを叩くようにとの声もお寄せいただいているのですが、あいにくなことに私はそんなことにまでとても手が廻りません。何度も申しておりますが、上野の莫迦を叩くのは上野市民の役目です。その役目を私という名張市民に押しつけるような真似ばかりしているから、上野市民は上野市以外の伊賀地域住民からここまで徹底的に嫌われているんです。そんなこともわからんのか上野の莫迦ども。とにかく市長や議員や職員のみならず、上野市民という名の大莫迦者どもまでひとつにまとめていつか必ず上野市を叩いてさしあげますから、上野市民のみなさんはどうぞどうぞお待ちください。嘘ではありません。先月8日に二〇〇四伊賀びと委員会主催で開催された「伊賀学講座」において、僭越ながら講師を相務めました私は、上野市民が大半を占めているであろうと思われる受講生のみなさんの前で、「上野ゆうのは大学なんか誘致せんかてほんまにええまちなんです。名張から見たらうらやましいほどええまちなんです。ただまあ強いていいますと、住んでる人間にはかなり問題があります」と申しあげた次第なのですが、こうしたことを広く全国発信してゆきたいと念じている次第です。上野市民という名の大莫迦どものみなさん、どうぞ待っててちょうだいね。


●12月19日(金)

 名張市民のみなさん。いよいよ土蔵の話です。

 旧乱歩邸土蔵聞き書き

 乱歩邸の土蔵は立教大学の所有するところとなり、今年3月26日に豊島区の有形文化財に指定されました。立教大学は学校法人立教学院の創立百三十年にあたる来年、その記念事業のメインイベントとして乱歩資料館(仮称)の開設を予定している、みたいなことは立教大学オフィシャルサイトのこのページでもアナウンスされていますが、資料館開設のための土蔵の補修工事は年内いっぱいで終了するようです。

 補修といっても、屋根を葺き替え、漆喰を塗り直し、とかなり大がかりなもので、補修工事後四か月は漆喰を乾燥させ、そのあと土蔵内にあった乱歩の蔵書を元の位置に戻す作業が進められます。

 土蔵はもともと独立した建物だったのですが、母屋とのあいだに床と屋根が設けられ、壁で区切られたひとつの部屋を形成しています。このスペースにも書棚が据えられ、見返しに乱歩の書き込みがある『幻の女』だとか、塔晶夫の乱歩宛献呈署名が入った『虚無への供物』だとか、手にするだけで顫えが来るような本がさりげなく並べられていたのですが、ここにあった蔵書をどこで保管すればいいのかという問題が大学側をやや悩ませているそうで、結局は応接間あたりに移動書庫を設置して納めることになるのではないかとのことでした。

 あすにつづきます。


●12月20日(土)

 本日はまず例の掲示板への投稿をご覧いただきます。

投稿者:中 相作
投稿日:2003/12/20(Sat) 07:47 No.99
[53.2.215.220.ap.yournet.ne.jp]

タイトル:大忘年会のお知らせです

 ●三重県庁知事室チームの皆様

 昨日は突然お電話をさしあげて失礼いたしました。しかし私はごくまっとうな人間なんですから、まるで狂人から電話が入ったみたいにあたふたしていただく必要はまったくないように思います。あのあと、夕刻になって貴チームの松田さんからわざわざお電話をいただき、メールでお願いしていたことを生活部で検討していただいている由、ありがたく承りました。とはいえ、「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業推進委員会は今月25日に開かれるそうですから、これ以上検討に時間をかけていただいてはすべてが手遅れになってしまいます。たらたらしとったらしまいにしばきあげるぞこら、と生活部のみなさんにお伝えいただければ幸甚です。今後ともよろしくお願い申しあげます。

 ●名和健治様

 昨日は名張市立図書館までお運びくださいましたそうで、留守にしていて失礼いたしました。22日の乱歩蔵びらき事業実行委員会会議へのお招きをいただきましたが、私は25日の事業推進委員会までに野呂知事にお会いして引導を渡してさしあげることにしており、それまでは事業の余事に関わるつもりがありませんので、勝手ながら欠席させていただきます。委員のみなさんにくれぐれもよろしくお伝えください。信田さんにもよしなにご伝声ください。

 ■大忘年会のお知らせ

 あと十日ほどで2004年がスタートします。「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業の年が開幕します。始まってもいないうちからここまでけちのついた事業も珍しいかもしれませんが、とにかく税金三億をどぶに捨てる年がとうとう始まってしまうわけです。2004年よ呪われてあれ。

 そんなような次第ですから、「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業の準備でいいだけすったもんだした2003年を振り返り、事業関係者のなかで結局誰が一番莫迦なのかを徹底的に語り合う大忘年会を開催することにいたしました。伊賀県民局から知事室チームに転勤し、ハードワークのせいですっかりおやつれだと伝えられる松田さんをお招きして、伊賀のお酒とご馳走で英気を養っていただく場も兼ねております。ついでですから名張市立図書館の『江戸川乱歩著書目録』の刊行も記念して、盛大に盛りあがりたいと思います。

 期日は12月29日の月曜。会場その他は二〇〇四伊賀びと委員会の池澤さんに手配をお願いしておりますので、決まり次第この掲示板でお知らせいたします。年末もいよいよ押し詰まった忙しい時期ではありますが、みなさんふるってご参加ください。

 つづいて土蔵の話ですが、勝手ながらまたあしたということでご勘弁ください。


●12月21日(日)

 さすがにあわただしくなってきました。急ぎ足で土蔵の話題。

 補修を終えた土蔵はどうなるのかと申しますと、とりあえず学校法人立教学院の創立百三十年を記念して公開される手筈になっておりまして、立教大学オフィシャルサイトのこのページには下記のとおり記されている次第です。

  今回、江戸川乱歩が終の棲家とした面影がもっとも想起される土蔵が、本学の歴史的文化所産として加わったことで、歴史的な趣のあるキャンパスはさらに広がりました。現在、資料の研究・整理を進めて進めていますが、今後は土蔵の保存修復工事をはじめ、母屋も含めた乱歩関連資料の研究・教育施設として(仮称)乱歩資料館の建設計画を策定・実施していきたいと考えています。

 特に、2004年は学校法人立教学院の創立130周年にあたることから、この記念事業のメインイベントとして、乱歩資料館(仮称)の開設をぜひ実現化させていきたいと思います。

 ただし公開といっても、誰でもいつでも土蔵に入れる、といったことにはならず、人数を限り時間を区切って旧乱歩邸土蔵内部見学会を一定の期間開催する、みたいな形になるようです。

 いやはや、立教大学側から正式にアナウンスがあったわけではありませんからどうしても歯切れが悪くなってしまうのですが、とにかく来年、立教大学が乱歩にちなんだイベントを催すことは確実ですから(豊島区もそれに協力すると伝えられます)、乱歩ファンのみなさんはどうぞお楽しみに。

 といった次第で2004年も乱歩の話題が引きも切らない見通しなのですが、その前に2003年極月のあわただしさを無事に乗り切れるのかどうか、個人的にはやや心配です。さあお仕事お仕事。


●12月23日(火)

 なんだか気忙しくていけません。きのうはとうとう伝言をお休みしてしまいました。きょうは例の掲示板へ投稿しただけでおしまいです。

投稿者:中 相作
投稿日:2003/12/23(Tue) 08:02 No.100
[53.2.215.220.ap.yournet.ne.jp]

タイトル:押し詰まってまいりました

 世間は本日お休みのようですが、私は三重県をこの目も当てられぬ混迷から救うため年中無休で努めております。

 しかしもう12月も23日だというのにいったいどうなっているのでしょうか。「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業推進委員会はあさって25日に開催されると仄聞いたしますが、事業のキーパーソンたる私に対して事業事務局からは何の連絡もありません。

 私はこの委員会が開かれるまでに野呂昭彦知事にお会いし、委員会の会長を退任して私を新会長にご推挙いただくようお願いしたいと思っておりますので、知事との面談の機を頂戴したいと知事室宛メールでお願いいたしましたところ、私の申し入れは知事室から生活部に丸投げされたらしく、それはそれでまあいいのですが、どうしたことか生活部からはいまだに何の返答もありません。

 いやー、困った困った。

 ●「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業事務局の皆様

 やあみなさんお元気ですか。ここへ来て私に会いたいなどと抜かしてらっしゃる方がおいでだそうですけど、何日の何時に事務局へ来いとご連絡をいただければ、三重県をこの度しがたい混迷から救うべく私はいつでも参上いたします。お気軽にお申しつけください。

 ところで「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業推進委員会が25日に開催されるそうですが、どうして私にはその旨のご連絡をいただけないのでしょうか。私は以前から委員会に出席して意見を申し述べたいとお願いしていたのですが、委員会が開かれる前に一度知事にお会いするべきだと考えるに至り、その旨を知事室に申し入れましたもののいまだにお答えをいただけていないのは上にも記したとおりです。

 もしかしたら知事にお目にかかれないまま25日を迎えてしまうかもしれないのですが、それならばやはり事業推進委員会に地域住民の一人として出席し、「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」の事業と組織の欺瞞性を徹底的に糾弾するのが自分の務めだろうと考えております。その機会は与えていただけるのでしょうか。

 この掲示板への投稿、あるいは私宛のメールまたは電話で、よろしくご回答をたまわりますようお願い申しあげます。

 それではまたあした。

 いやもうひとつ、中日新聞オフィシャルサイトに『江戸川乱歩著書目録』の記事が掲載されました。といっても伊賀版の記事ですが。このページでご覧ください。

 それではほんとにまたあした。


●12月24日(水)

 さて名張市民のみなさん。乱歩のご遺族からは「鳥羽がいま頑張ってるんです」とのお話もうかがいました。昨年、三重県鳥羽市に残る岩田準一の旧宅を利用して開設された鳥羽みなとまち文学館に、乱歩関連の展示スペースが増設されるという話です。

 この件に関しては岩田準一のご遺族からもお知らせをいただいているのですが、鳥羽商工会議所が中心になって整備を進め、来年3月に正式名称「乱歩館・鳥羽文学ギャラリー」としてオープンするとのことです。ベレー帽や「槐多『二少年図』」原稿など、乱歩の遺品六点が常設展示されます。

 いっぽう、わが名張市に関しましては、名張商工会議所が「乱歩生誕記念館」を建設したいなどと莫迦なことを申しましたのできっちり叩きつぶしておきました、と私からご遺族にご報告申しあげた次第です。


●12月25日(木)

 親愛なる名張市民のみなさん。

 私の報告は以上のようなところですが、これとは別に先日、立教大学から名張市に対し、来年8月に学校法人立教学院創立百三十年記念事業のひとつとして東武百貨店池袋店で開催される乱歩展への後援要請がありましたので、あわせてお知らせしておきます。むろんありがたくお受けすることになるはずです。

 しかし名張市もえらいもので、豊島区や立教大学が乱歩展を開くとなると後援を依頼されるまでになりあがりました。後援ったって実質的には何のお手伝いもできないのですが、それにしてもたいしたものだと思います。

 といったところで例の掲示板、本日はこんな感じでまとめてみました。

投稿者:中 相作
投稿日:2003/12/25(Thu) 07:54 No.102
[53.2.215.220.ap.yournet.ne.jp]

タイトル:ほんとに押し詰まってしまいました

 ●安藝政比古様

 昨日はわざわざ名張市立図書館までおいでいただき、ありがとうございました。同館のカリスマとの異名を恣にして早八年余、私はいまや公務員の顔を見ているだけでむらむらと腹が立ってくる体質となり果てておりますので、無用な衝突を避けるべくできるだけ名張市立図書館には顔を出さぬことにしております。お待たせして申し訳ありませんでした。またレストランでコーヒーまでご馳走になり、恐縮しております。重ねてお礼を申しあげます。29日の忘年会にはぜひご参加ください。

 ●池澤基善様

 えー、何かと多忙な年末にほんとに申し訳ありませんが、29日の忘年会のご手配、なにとぞよろしくお願い申しあげます。きのう安藝さんもお誘いしておきました。

 ●伊賀地域住民の皆様

 いよいよ12月25日を迎えました。

 メリークリスマス。

 いやそんなことはどうだっていいのですが、「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業推進委員会は本日午後5時から伊賀県民局七階大会議室で開かれるそうです。

 私はとうとう野呂昭彦知事にお会いすることができず、というか生活部からは結局何の連絡もいただけず、きょうの委員会のこともきのうになってようやく名張市立図書館で安藝政比古さんから教えていただいたような次第で、しかも委員会の席上で私が発言することは不可能であるとのことでした。

 以前から申しあげておりましたとおり、私はこの事業推進委員会という、単なる形骸でしかない、どこにも存在意義の認められぬ、三重県知事だの伊賀地域七市町村長だのお世辞にも優秀とはいえぬ連中がただ名前を並べただけの、事業への支援など微塵もできるはずがない、要するに存在そのものが税金の無駄づかいである無用の長物、どうしてこんな組織が必要なんだと関係者に質問しても誰もまともに答えられないような委員会の会長に就任して、事業に関する情報をすべて公開したうえで委員会を解散させたいと考え、だからきょうの委員会までに知事にお会いしたいとお願いしていたのですが、三重県庁というのはじつに腐りきったお役所で、いやまあお役所なんてどこも腐りきっているだろうとは思うのですが、だんまり決め込んでればそのうちなんとかなるだろうみたいな感じでほったらかしにされて本日を迎えた次第です。

 勢いよく啖呵を切ったわりには何もできなかったのはじつに恥ずかしく、それ以上に心苦しいことではあるのですが、三重県職員諸君も県民から寄せられた正当な批判にはちゃんと応えていただかなければ困ります。二〇〇四伊賀びと委員会のみなさんもご同様。私の質問や提案に応えることができぬというのであれば、みなさんとっとと委員をお辞めになるべきでしょう。

 さて、これまでの経験からこの掲示板に何を投稿したところで事務局をはじめとした事業関係者のみなさんには蛙の面に小便であることが判明いたしましたので、来年はいよいよ活字メディアに舞台を移して事業批判を展開したいと考えております。

 手始めとしては上野市で発行されている「伊賀百筆」という雑誌に寄稿したいなと思っているのですが、あの雑誌は掲載料を支払えばどんな原稿でも載せてくれるはずですし、それに最新号では伊賀市をめぐる合併協議の驚くべき内幕を地域社会に広く知らしめる記事を掲載していたくらいですから、「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業の笑うべき内幕を批判する記事ならむしろ拍手で迎えられるかもしれません。とりあえず編集人の北出楯夫さんに、おりを見てお願いしてみることにいたします。

 「伊賀百筆」がこの次いつ発行されるのかはよくわかりませんが、「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」の開幕に間に合えば、各種イベントの会場で販売して売り上げにも貢献できるのではないかと愚考する次第です。呵々。

 おかげさまで年末の繁多もようやくピークが過ぎましたが、飽きもしないでお仕事お仕事。


●12月26日(金)

 本日は手前味噌を一席。

 江戸川乱歩著書目録大評判

 名張市立図書館の江戸川乱歩リファレンスブック3『江戸川乱歩著書目録』は、おかげさまでぼちぼちとお引き立てをいただいております。

 インターネット上では「アトリエ OCTA」の「須永朝彦情報」で、須永朝彦さんからご紹介の栄をたまわりました。「明石町便り」の最新記事をご覧ください。まことにありがたいことで、名張人外境のことまで記していただいてありますから、なんだか顔から火の出るような思いをしながら大喜びしております。

 須永さんからは『江戸川乱歩著書目録』をお送りした直後にお礼のメールを頂戴し、まさかそんなことがあろうとは夢にも思っていなかった私はパソコンの前で跳びあがるほどびっくりしました。じつは私は西澤書店の『就眠儀式』以来のファンでして、みたいないまから思うとなんとも間の抜けたことを書きつけた返信のメールをお出ししたあと、しばらく茫然としていたことを記憶しております。

 つい半月あまり前のことなのですから記憶していて当然なのですが、それにしても記憶がどこか曖昧な夢のようなできごとだったという印象が強く、「明石町便り」を拝読してまだ夢がつづいているような気分になった次第です。

 ところで昨日、私は三重県伊賀県民局で開かれた「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業推進委員会を傍聴してまいりました。野呂昭彦知事へのご挨拶も叶い、いろいろ面白いこともあったのですが、そんな地上的な話題はまたあした、ということにいたします。


●12月27日(土)

 師走の27日を迎えてもまだ年賀状の用意ができておりません。紙の手配もまだなら年賀切手の購入もまだ。うかうかしてるうちに印刷屋さんはお休みに入ってしまうでしょう。これは困った。

 お役所はきょうから年末年始のお休みで、きのうが御用納めでした。その前日の12月25日という、どこから見てもどさくさまぎれだとしか思えない日程で「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業推進委員会が開催されました。会場は三重県伊賀県民局の大会議室。私は傍聴者として潜り込みました。

 蔵びらき推進委員会に乱入す

 本日付の朝日新聞伊賀版には「芭蕉生誕360年記念事業推進委/計画や要求額承認/総額3億3千万円/知事ら委員、PR不足指摘も」といった見出しが躍り、委員会の模様が報じられておりますので、それを引用しながら報告を進めることにいたします。

 私の報告は、タイトルをつけるとすれば「いやー、野呂昭彦知事に一本取られてしまいましたー」みたいなことになるのですが、まずは朝日の記事のリード全文。

 来年5月から始まる松尾芭蕉生誕360周年記念事業の推進委員会(会長・野呂昭彦知事)が25日夕、上野市四十九町の県上野庁舎で開かれた。県や市町村などが実施する事業の計画案や総額3億3千万円の要求額案が承認されたが、野呂知事ら委員からは同事業のPR不足を指摘する意見なども出された。

 委員会で配付された事項書は次のとおり。

第2回「生誕360年 芭蕉さんがゆく 秘蔵のくに
伊賀の蔵びらき」事業推進委員会 事項書

日時:平成15年12月25日午後5時〜
場所:三重県上野庁舎 7階 大会議室

1 あいさつ
2 報告事項
(1)「生誕360年 芭蕉さんがゆく 秘蔵のくに 伊賀の蔵びらき」事業の経過──資料1
(2)平成15年度の主な事業の実施概要──資料2
3 議事

第1号議案 平成16年度事業計画(案)について
第2号議案 平成16年度事業要求額(案)について

4 その他
04事業 事業所サポーター(仮称)の考え方(案)──資料3
※ その他配付資料

○ 伊賀びと通信 vol. 6. 7
○ 「生誕360年 芭蕉さんがゆく 秘蔵のくに 伊賀の蔵びらき」事業における現在募集中の事業チラシ

 この伝言板を継続して閲覧していただいている方にはいまさら紹介の要もないことですが、事業推進委員会は三重県知事、伊賀地域七市町村長、学識経験者、関連企業関係者ら十七人で組織され、二〇〇四伊賀びと委員会がまとめた「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業の計画と予算を審議して承認する組織です。

 こんな委員会はまったく必要のないものだということを私はくりかえし主張してきましたが、実際に委員会を傍聴してみて自分の主張に間違いのなかったことが確認された次第です。みたいなことはあらためて記すとして、ふたたび朝日の記事から今度は最後の段落を引きましょう。

 野呂知事は官民が一緒に進める同事業が今後のモデルケースになることを期待する一方で、「この事業が県民に十分理解を得られていないように感じる」などと述べ、広報態勢を中心とした今後の進め方への課題を指摘。委員からも同様の意見が出され、木戸博事務局長は「来年3月までが勝負と考えており、厚みのあるPRをしていきたい」などと答えていた。

 この伝言板ではすっかりおなじみになった木戸博事務局長のお名前も登場しました。木戸さんといえば、この日の委員会が始まる前にご挨拶を申しあげる機会がありましたので、29日の伊賀びと大忘年会にお誘いしましたところ、ご快諾をいただけました。

 委員会終了後には伊賀県民局の高杉勲局長も大忘年会にお誘いしたのですが、高杉さんは、

 「いや、29日はちょっとこれで」

 と両手で鍬をふるう仕種をなさいました。ああ、年末なのに野良仕事か、と思ってそれ以上はお誘いしなかったのですが、もしかしたらあれは鍬をふるう仕種ではなくてゴルフのスイングであったのかもしれません。

 大荒れ必至かもしれない伊賀びと大忘年会の詳細は(詳細でもありませんけど)、左の人外告知板に記してあります。お近くの方はお誘い合わせてご参加ください。

 いやー、野呂昭彦知事に一本取られてしまいましたー、の報告はあすにつづきます。


●12月28日(日)

 まずお知らせです。

 名張市立図書館はきょう28日から1月5日まで休館となります。『江戸川乱歩著書目録』の郵便によるお申し込みは、昨日到着分はきのうのうちに発送いたしましたが、休館中の到着分は1月6日以降にお送りすることになります。あしからずご了承ください。

 それでは、いやー、野呂昭彦知事に一本取られてしまいましたー、の報告をつづけましょう。

 12月25日、「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業推進委員会が始まりました。最初に野呂昭彦知事が挨拶をなさいました。

 知事はまず、三重県が策定を進めている「県民しあわせプラン」という総合計画に触れ、このプランでは多様な主体性をもった人たちが協働して市町村や県を担ってゆく「新しい公」という考え方を示しているが、「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業はそうした「新しい公」のモデルケースになるものと期待している、とおっしゃいました。

 「県民しあわせプラン」か、安物の生命保険会社が考えつきそうなプランだな、とかなんとか不謹慎なことを考えながら聞いていた私は、つづく知事の言葉に耳をそばだてました。知事は、

 「最近、私の耳に雑音が入ってくるのですが」

 と前置きして、事業推進委員会の存在が地域住民から充分な理解を得ていないとの認識を示されました。ぶっちゃけて申しますと、事業推進委員会に関していろいろ文句いってくるやつがおるが、それはこの委員会のことを正しく理解していない人間である、といったことになるでしょう。

 あ、俺のことだ、と私は思い、その場で知事の事実誤認を訂正してさしあげたい気分になりました。充分な理解も何も、事業推進委員会の存在を知っている伊賀地域住民などほとんど存在していないはずですし、「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業そのものさえ、そんなものよく知らねーよ、という地域住民が大半であろうと判断される次第です。実際には伊賀の山猿どもが身内だけできゃっきゃきゃっきゃいってるばかりで、伊賀地域住民の多くはこの事業に無関心でありつづけているというのが実状でしょう。

 知事はつづいて、事業推進委員会に関して「組織のあるべき姿としてこれがいいと判断している」との見解をお示しになり、事業に関しては「どのような『新しい公』の担い方があるのかを探るモデルケースとして、市民の主体性を活かし、力を充分に活かしていただくことを期待している。いろいろな考え方があるなかで、このイベントを通じて『伊賀はひとつ』という全体としての姿を見せていただきたい」と述べられました。

 「新しい公」とおっしゃるのであれば、官民合同組織であるはずの二〇〇四伊賀びと委員会における旧態依然とした官僚的体質をいったいどのようにお考えなのか。市民の主体性がどうのこうのとおっしゃるのであれば、事業推進委員会の存在が二〇〇四伊賀びと委員会の自立性や主体性を抑圧している事実をどのようにお考えなのか。伊賀はひとつとおっしゃるのであれば、上野や伊賀なんて大嫌いさといって名張市が市町村合併に加わらぬ事態をどのようにお考えなのか。いったい何を根拠に伊賀はひとつなどという世迷い言を口にされるのか。

 えーい、事業のことも伊賀のこともあまりよく理解できておらぬくせに何をきれいごと抜かしておるのかこの知事は、と思っているところへ庁内放送が入り、午後5時30分になりました、時間外勤務以外の人は帰りましょう、みたいなアナウンスが流れました。これではまるで下校をうながす小学校の校内放送です。いちいち放送してもらわないことには、伊賀県民局の職員諸君にはこんなことさえわからんのでしょうか。

 そんなことはともかく、「雑音」に関する言及があったせいか単なる挨拶にしてはやや長かった野呂昭彦知事の挨拶は、「素晴らしい自然と文化をもち、誇るべき先人たちを生み出してきた伊賀から、いまの伊賀の人たちの生きざまを全方位に発信していただきたい」との希望でしめくくられました。生きざまなどという恥知らずな言葉をつかう人間が最近すっかり地を払ったのはいいことだな、と私は思っていたのですが、三重県にはいまだ使用者が生存しているようです。

 つづいて議事。事業の計画と要求額が審議されました。

 事業計画の審議では、事務局職員が計画案を読みあげたあと、委員が意見を述べました。委員会副会長で中部大学教授の岡本勝さんからは、「事業が伊賀だけで盛りあがって伊賀だけで終わってしまう危険性がある。伊賀から外へ向けての働きかけが不足している」との指摘がありました。

 これは当然の危惧というべきで、と申しますか、さあ全国発信だと力み返ってみたところで事業の実質はご町内の親睦行事の寄せ集めなんですから、伊賀だけで盛りあがって伊賀だけで終わってしまうのはむしろ当然の帰結だと思われます。

 ほかの俳句関連事業との連携を深めるようにとのアドバイスなども出て、採決に入った結果、第一号議案は原案どおり可決されました。

 つづく第二号議案は要求額。事業の予算は三重県が三分の二、伊賀地域七市町村が三分の一を負担することになっているのですが、県と市町村に総額でいくら要求するかが審議されました。

 要求額の案は次のとおり。

単位:千円
区分
内  訳
要求額
総務費
委員報酬・旅費、事務局経費
24,625
広報費
広報・宣伝・記録費
100,823
事業費
共同(大規模)事業 A オープニング
29,500
B 伊賀体験・夏イベント
16,000
C 芭蕉さん事業
19,640
D フィナーレ
28,100
市町村域事業
81,350
伊賀一円事業
11,390
県域・全国的事業
12,600
その他しくみづくり等
7,700
合計
 
331,728
*広報費には「広報事業」費を含む

 総額三億三千百七十二万八千円の要求額も原案どおり可決されました。

 いやー、野呂昭彦知事に一本取られてしまいましたー、という報告はさらにつづきます。


●12月29日(月)

 12月25日、三重県伊賀県民局七階大会議室、第二回「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業推進委員会。私が野呂昭彦知事から一本取られる時間が刻一刻と近づいています。

 事業の計画と要求額を決定した議事のあと、事務局が「その他」として「04事業 事業所サポーター(仮称)の考え方」という案を示しました。

 簡単にいえば企業や法人などから事業への協賛を募ろうかという案で、一口五千円の協賛金を出す「広報協賛」と、施設や商品の提供などを行う「事業協賛」のふたつがあるとのことでしたが、このプランに対して委員から厳しい批判が飛び出しました。

 事業関連企業の近鉄ステーションサービスから委員として出席された方の意見でしたが、「もう少し真剣に考えていただきたい」とのっけからかなり手厳しく、たとえば近鉄の駅にポスターを掲示した場合のコストは二日で九十万円、それを無料にするのも立派な協力であって、ことほどさように企業によってさまざまな協力の方法があるにもかかわらず、どんな企業からも一律に一口五千円で協賛金を募るというのではあまりにも姿勢が安易であり、「企業が苦しんでいるときにこんな形で協力を要請するのは企業側のモラールを低下させる要因になる」とのことでした。ビジネスの第一線で切った張ったに明け暮れる企業戦士の発言にはさすがに説得力というものがありましたが、平たく申しあげてしまえばこの委員の方は、おまえらもう少し頭をつかわんか、ということをおっしゃりたかったのだろうと推測されます。

 しかしまあ、何度も申しておりますが、「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業は要するにご町内の親睦行事の寄せ集めであり、すべてはご町内感覚で発想されておりますから、夏祭りが近づいたからご町内の商店から寄付金を集めてまわろうか、みたいな話が出てくるのは当然のことでしょう。

 私はむしろ、一口五千円の協賛金を集めていったい何をしようというのか、それがいっさい明らかにされていないことが気になりました。本来であれば協賛金もまた予算に組み入れられているべきなのですが、いまごろ何を思いついてこんな不得要領なプランを出してきたのか、伊賀の山猿の考えていることはどうもよくわかりません。

 「04事業 事業所サポーター(仮称)の考え方」に関する協議が終わったあと、このプランの決議に関して、議長をお務めだった知事と事務局とのあいだに面白いやりとりがありました。

 「これも『案』となっているからここで決議するわけだね」

 「いえ」

 「しかしどこかで決議しなければならないわけだから」

 「本日頂戴したご意見を踏まえて伊賀びと委員会のほうで決議いたします」

 「あそう」

 「はい」

 「それなら事業推進委員会なんかまったく必要ないじゃないか」

 いやうっかり筆が滑りました。知事は「それなら事業推進委員会なんかまったく必要ないじゃないか」とはおっしゃっていません。これは私がいま思いついて書き加えたものです。どちらさまもお間違えのないようにお願いいたします。

 とはいえ、「それなら事業推進委員会なんかまったく必要ないじゃないか」という言葉がつづいてもちっともおかしくない話の流れではありました。このやりとりには、事業推進委員会と二〇〇四伊賀びと委員会の関係性がきわめて曖昧なものであり、事業推進委員会の存在は形骸に過ぎないということが端的に示されています。

 むろんこんなやりとりがなくたって、事業推進委員会が無用の長物であり屋上屋を架すものに過ぎぬということは発足当初から私がくどくどくどくどと指摘してきたところなのですが、一時間あまりの会議を傍聴しただけで、私には自分の指摘の正当性をあらためて確認することができた次第です。

 知事は事業推進委員会の存在が地域住民から充分な理解を得ていないとご認識のようですが、たとえ伊賀地域住民にその存在があまねく知れわたるに至ったとしても、委員会の存在意義なんか百年たったって誰からも理解なんかされるものかと私は思います。

 私の批判が「雑音」にしか聞こえないというのは権力者として当然の反応であるにせよ、あの知事にはあとでちょこっとかましておいてやらねばならんなと、私は傍聴席で腕を撫でました。


●12月30日(火)

 いやー、伊賀ってのはずいぶん騒がしい土地だなー、と野呂昭彦三重県知事はお思いなのでしょう。日本書紀ふうにいえば、

 「遂に皇孫天津彦彦火瓊瓊杵尊を立てて、葦原中国の主とせむと欲す。然も彼の地に、多に蛍火の光く神、及び蝿声す邪しき神有り。復草木咸に能く言語有り」

 なんて感じでしょうか。まつろわぬ民は雑音を発して騒がしい、というのが権力の座にあるものの共通認識であると思われる次第です。

 われ雑音の魔とならん

 しかしそれは当然のことで、大丈夫かこいつらと思わざるを得ないほど無教養きわまりない十八万伊賀地域住民のみなさんはご存じないことかもしれませんが、われらが伊賀は古来、反王権の土地であったと申しあげてもさしたる差し支えはありません。権力者にとって、さばえなすあしき神の土地であり、また草木ことごとくによくものいう土地であったということです。

 したがいまして、野呂昭彦三重県知事が12月25日に開かれた「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業推進委員会冒頭の挨拶で、私がこれまでに重ねてきた批判を「雑音」として一蹴されたのは権力者としてごく当たり前の反応であったと申しあげるべきでしょう。正当な批判を雑音としか受け取れぬのは、権力者として致命的な欠点ではあるわけですが。

 そんなこんなで「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業推進委員会は午後6時20分ごろに終了しました。私は机にひろげた資料とノートを鞄に収め、立ちあがってコートを着用したあと、つかつかと野呂昭彦知事のもとに向かいました。

 知事のもとに向かいながら私が考えていたのは、せっかく知事から雑音と認定していただいたのだから、これを通り名に利用しない手はないな、ということでした。サンデー先生に代わる新しい名前はないものか。

 とりあえず考えつくのは、雑音魔。いやこれではなんだか海野十三みたいではないか。

 乱歩ふうなネーミングを考えるならば、いわゆる通俗長篇にちなんで、蜘蛛雑音、黄金雑音、魔術雑音。さっぱりわやですがな。

 それなら短篇で行くことにして、二銭雑音、屋根裏の雑音者、雑音椅子、押絵と旅する雑音。どうもいけません。

 少年ものに範を求めるとすれば、雑音人ZZZ。これではいびきかいて寝ているだけではありませんか。

 なんてこと考えながら知事の席に歩み寄っていたときのことです。ふと知事のほうを見やった瞬間、知事もまたこちらをお向きになりました。知事と私の視線が交錯しました。そのまま視線をそらさずに歩いていると、知事の顔には完爾とした笑みが浮かびました。

 「中さん、どうもありがとう」

 「え……」

 いっぽぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉんッ。

 私が野呂昭彦知事から一本取られたと感じたのは、まさにこのときのことでした。機先を制されました。虚を衝かれました。知事とお会いするのはこの日が初めてですから、まさか知事が私のことをご存じであろうとは、しかも知事からお礼の言葉をいただこうとは、これはいったいどうなっておるのか、いやまいったな、いまだ戦闘態勢に入っていないうちに一本取られてしまったではないか、などと思っていると知事はさらに、

 「二銭銅貨煎餅、おいしかったよ」

 と追い打ちをかけるようにおっしゃいました。

 ああ、二銭銅貨煎餅。名張市中町にある山本松寿堂謹製の名張名物二銭銅貨煎餅。

 そういえば私はこの日、事業推進委員会への手みやげとして二銭銅貨煎餅を持参していたのでした。委員会開会前の会場で、その場にいあわせた伊賀県民局職員の可愛いお姉さんたちに頼んで委員の席に一袋ずつ二銭銅貨煎餅を置いてもらったのでした。委員会では知事の両隣に上野市長と名張市長が着席し、知事と名張市長が肩を寄せ合うようにして何やら話し合っているシーンも見られましたから、二銭銅貨煎餅のことや傍聴席にいる私のことが知事の耳に入っていても不思議ではないのですが、それはいま振り返ればそう思えるというだけの話で、知事から声をかけていただいたときの私はただびっくりするばかり。知事のそばまで近づいて一礼し、『江戸川乱歩著書目録』をお送りいたしましたところご丁重な礼状をたまわりありがとうございます、とまずお礼を申しあげ、そのあと、

 「えー、来年もまた思いきり雑音を立ててやろうと思っておりますのでよろしくお願いいたします」

 と申しあげるのが精一杯でした。

 知事はさすがに複雑な顔つきになられましたが、周囲にいらっしゃった伊賀七市町村長ら委員のみなさんは大爆笑。私から見て正面の席にお坐りだった大山田村村長などじつに愉快そうに呵々大笑していらっしゃいました。

 おかしいな、どうしてこんなに受けるのだろう、知事の挨拶にあった「雑音」の張本人が私であるということが委員各位に認識されていなければこれほどの食いつきは見られぬはずなのだが、と私は不審を抱いたのですが、翌日になって聞き及んだところでは、委員会開会前の控え室において知事をはじめとした委員各位のあいだで私のことがひとしきり話題になっていたそうです。

 そうでしょうそうでしょう。そうでなければ私の言葉にあれほどの反応は見られなかったはずです。それにしても私はいまや伊賀地域一番の人気者となっているようで、いっそ来年11月に伊賀市が発足したら伊賀市長の選挙に出馬してやろうかとも思われる次第です。

 いやー、野呂昭彦知事に一本取られてしまいましたー、という報告は以上のとおりです。


●12月31日(水)

 とうとう大晦日になってしまいました。

 年賀状が間に合いません

 私の心残りはただひとつ、年賀状の準備がまったくできていないということで、年賀切手も購入できておりませんし、紙の手配をする前に印刷屋さんはお休みに入ってしまいました。

 どうしてこんなことになったんだろうと首を傾げながら、例の掲示板ではこんなご挨拶を申しあげてきた次第です。

投稿者:中 相作
投稿日:2003/12/31(Wed) 08:20 No.104
[53.2.215.220.ap.yournet.ne.jp]

タイトル:よいお年をお迎えください

 ●伊賀地域住民の皆様

 12月25日、伊賀県民局で第二回「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業推進委員会が開催され、議案として提出された事業の計画と要求額(つまり事業のために三重県と伊賀七市町村からふんだくる予算の総額です)が承認されました。朝日新聞の伊賀版など日刊紙地方版でも一部報道されましたが、私は委員会を傍聴し、その報告を自分のサイトに掲載しておりますので、私が野呂昭彦知事から一本取られてしまった話その他、じっくりご閲覧いただければと思います。下記のページで、「人外境主人伝言」というロゴをクリックして、12月27日付の伝言からお読みください。

http://www.e-net.or.jp/user/stako/main.html

 以下、報告の補足を少々。

 事業推進委員会を傍聴して感じたのは、ああ、この人たちはしょせんオブザーバーないしはアドバイザーだな、ということでした。たとえばこれは朝日の記事でも触れられていたことですが、ある委員から事業のPRが不足しているという指摘がなされました。それはそのとおりだがおまえらはいったい何なんだ、と私は思いました。もしもおまえらが事業に対して助言するだけの第三者ならどこにも問題はないのだが、おまえらは事業推進委員ではないか。事業を推進し、二〇〇四伊賀びと委員会を支援する立場の人間ではないか。それが何なんだその他人ごとみたいな口の利きようは。PRに関していうならば、おまえら推進委員の役目はそれぞれの立場で事業をPRすることではないのか。それが推進ではないか。支援ではないか。それができないおまえらのどこが推進委員だ。おのれの立場も弁えず当事者意識皆無でおめでたいことばかり並べてるような推進委員なんかもう要らない。最初から要らなかったんだけどほんとに要らないということがよくわかった。しかしまあ、よくわかったからといってどうにもなりません。何の意味もなく役にも立たぬ事業推進委員会、次回は3月末の開催だそうです。

 それから要求額の予算書、これがじつにひどいものでした。たった一枚の紙に総額三億三千百七十二万八千円の予算がごく大雑把に記されているだけで(内訳は私のサイトでご覧ください)、いったいこれは何なんだこら二〇〇四伊賀びと委員会の莫迦ども。山猿ども。とくに民間委員の莫迦ども。間抜け面してへらへらしとるんやないぞこら。おまえらいったいどこまで莫迦だったら気が済むんだ。透明性や公開性をここまでないがしろにしておいて、こんな事業のどこが官民合同だというんだ。お役所の予算書だってもう少し詳しいはずだ。こら二〇〇四伊賀びと委員会の莫迦ども。おまえら血税三億をどぶに捨てるなら捨てるでその予算の詳細を公開しろ、それが血税三億を無駄づかいされる地域住民への最低限の礼儀ではないかと俺のいったことが理解できんのか莫迦。なんていってみたところで、たぶん理解できてはおらんのでしょうな。なにしろ莫迦なんですから。

 ほかにも批判すべき点は多々あるのですが、本日のところはここまでとしておきましょう。ともあれ、東紀州から伊賀へと架け渡されたばらまきの連鎖は、どうやら断ち切ることが不可能のようです。

 ●伊賀びと大忘年会ご出席の皆様

 忙しい時期の開催であったにもかかわらずお集まりいただき、ありがとうございました。おかげで楽しい酒宴となりました。とくに面白かったのはやはりNさんのお話で、三重県や伊賀のトリビアが続出し、へーえ、三重県のぼんくら職員がたかが監査ごときにびびって六百五十万円よこせといってまいりましたか、そんなもんしばきあげたったらええねん、へーえ、S先生は勲章ほしさに架空保護司詐欺なさってましたか、そんなもんしばきあげたったらええねん、へーえ、T先生のお孫さんは学校の体育館裏でそんなことをなさいましたか、そんなもんしばきあげたったらええねん、みたいな感じでいろいろ勉強になった次第です。伊賀地域を代表する知性と呼ばれ、最近では三重県最後の良心と呼ばれることも多いこの私、来年も莫迦を莫迦と申してどこが悪いとの心意気で勇往邁進したい所存ですので、かわらぬご支援をお願い申しあげる次第です。

 ●金様

 いきなり金様と記しながらいったいどこの金さんなんだか私にもよくわからぬのですが、とにかく金さんが私に会いたいとおっしゃっている由を承りました。しかし金さん、人を介して私に会おうなどと、そんなまあ何ですか日本の田舎の、たとえば二〇〇四伊賀びと委員会の莫迦が考えそうなことはなさらぬのが賢明でしょう。私に用事がおありでしたら、私のサイトからメールを送信していただくか、それとも電話帳で調べて私にお電話をいただくか、とにかく直接ご連絡ください。いくらでもお会いいたします。

 ●二〇〇四伊賀びと委員会の皆様

 どんな莫迦にもお正月は訪れます。よいお年をお迎えください。来年がみなさんにとって最良の一年となることをお祈りしております。もしかしたら最悪の一年になってしまうかもしれませんが、それはけっして私のせいではなく、たぶん自業自得ってやつでしょう。あしからずご了承ください。

 どうぞよいお年をお迎えください。