昭和4・1929年 |
1月 |
1月1日 火曜日 | |||
「朝日」創刊号(第一巻第一号)の発行日。「孤島の鬼」第一回が掲載された。連載は翌年二月まで。 「新青年」新春増大号(第十巻第一号)の発行日。「悪夢」が掲載された。[■新青年「戸崎町だより」Fragment] |
1月8日 火曜日 | |||
名古屋の寸楽で開かれた耽綺社の会合に出席。[■子不語の夢「一五一 不木書簡 一月二日」/■子不語の夢「一五二 不木書簡 一月十六日」] |
2月 |
2月10日 日曜日 | |||
「新青年」新春増刊号(第十巻第三号)の発行日。予告された「空気男」が掲載されなかった。[■新青年「戸崎町だより」Fragment] |
3月 |
3月30日 土曜日 | |||
小酒井不木が乱歩に手紙、病臥中であることを告げ、「空中紳士」の印説について知らせた。乱歩への最後の書簡となった。[■子不語の夢「一五三 不木書簡 三月三十日」] |
4月 |
4月1日 月曜日 | |||
小酒井不木が午前二時三十分、急性肺炎で死去した。三月二十七日夜に風邪を引き、自宅で病床に就いていた。 午後から夜にかけて新聞社の記者が押しかけてきて、不木の死を知らされたが、信じられなかったので名古屋の不木宅に電話で確認した。「読売新聞」と「万朝報」に不木の追悼文を書いた。[■探偵小説四十年「小酒井不木」] 「新青年」四月号(第十巻第五号)の発行日。三月号で予告された「空気男」が掲載されなかった。[■新青年「戸崎町だより」Fragment] |
4月2日 火曜日 | |||
汽車で東京を出発、夜、名古屋に着いた。不木邸を訪れ、通夜に列席。別棟の医学研究室で「大阪朝日新聞」に不木の追悼文を書いた。[■探偵小説四十年「小酒井不木」] |
4月3日 水曜日 | |||
午後四時から名古屋市中区矢場町の勝曼寺で営まれた小酒井不木の葬儀に参列。[■探偵小説四十年「小酒井不木」] 勝曼寺の一室で永井潜、古畑種基ら不木の先輩や知己による座談会が開かれ、長谷川伸、森下雨村、水谷準とともに臨席した。[■新青年「追悼座談会」/■岡戸武平「不木・乱歩・私」Fragment] 改造社の世界大衆文学全集第三十巻『ポー、ホフマン集』発行日。翻訳を担当した。 翻訳は渡辺温による代訳だった。[■探偵小説四十年「探偵小説出版最盛の年」] |
4月24日 水曜日 | |||
小酒井不木未亡人の久枝に手紙、前日、上京した岡戸武平と相談し、不木全集の出版社として改造社を選んだことを伝えた。[■子不語の夢「一五四 乱歩書簡 四月二十四日」] 小酒井不木全集は春陽堂と改造社から出版の申し込みを受け、改造社から大部数を発行することに考えが傾いたが、春陽堂も引かなかったため、板挟みになって感情的に参ってしまった。名古屋の岡戸武平に電話をし、不木の遺族の意向を確認してもらったところ、遺族も改造社を希望した。改造社から出版することを決め、春陽堂を訪ねて事情を説明すると、島源四郎が涙ぐんで残念がった。全集は全八巻の予定だったが、売れ行きが落ちないため増巻を重ね、最終的に全十七巻になった。[■探偵小説四十年「小酒井不木」] |
5月 |
5月21日 火曜日 | |||
改造社の小酒井不木全集第三巻『探偵小説短篇集』発行日。第一回配本。完結は翌年十月。 |
6月 |
6月1日 土曜日 | |||
「改造」六月号(第十一巻第六号)の発行日。「虫」第一回が掲載された。連載は七月まで。 「新青年」六月増大号(第十巻第七号)の発行日。「押絵と旅する男」が掲載された。 |
6月18日 火曜日 | |||
春陽堂の探偵小説全集第一巻『江戸川乱歩集』発行日。 |
6月21日 金曜日 | |||
博文館の新青年叢書四『悪人志願』発行日。 |
7月 |
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7月1日 月曜日 | |||
「改造」七月号(第十一巻第七号)の発行日。「虫」第二回が掲載され、完結。 |
7月27日 土曜日 | |||
博文館の世界探偵小説全集第二十三巻『乱歩集』発行日。 |
7月28日 日曜日 | |||
改造社の日本探偵小説全集第三篇『江戸川乱歩集』発行日。 |
7月 | |||
緑館の増築に着手。十室を増設して三十一室の下宿屋とした。費用は雑誌連載による講談社からの原稿料と同社からの前借りによった。[■探偵小説四十年「第二の下宿屋開業」] 七月から八月にかけて鎌倉の大仏のあたりに家を借り、家族と避暑した。[■探偵小説四十年「昭和四年の主な出来事」] この年の後半から同性愛文献の収集を始めた。[■探偵小説四十年「昭和四年の主な出来事」] |
8月 |
8月1日 木曜日 | |||
「講談倶楽部」八月号(第十九巻第八号)の発行日。「蜘蛛男」第一回が掲載された。連載は翌年六月まで。 |
9月 |
9月5日 木曜日 | |||
平凡社の世界探偵小説全集第二巻『シャーロック・ホームズの冒険』発行日。翻訳を担当した。 全集の企画は直木三十五が平凡社に持ち込んだ。直木から第一、二巻の翻訳を依頼されたので、友人に翻訳させることの了解を得たうえで、大阪から探偵小説好きの旧友を呼び寄せて代訳させた。[■探偵小説四十年「探偵小説出版最盛の年」] |
11月 |
11月28日 木曜日 | |||
「時事新報」夕刊に「何者」第一回が掲載された。連載は十二月まで。 |
12月 |
12月29日 日曜日 | |||
「時事新報」夕刊に「何者」第二十八回が掲載され、完結。 |
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