RAMPO Entry 2009
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2009年6月12日(金)

雑誌
探偵随想 第102号
5月25日 秋田稔
B5判 12ページ
とりとめのない話 秋田稔
エッセイ p1−12
関連箇所
サソリ(p3)/丸形ポスト(p7)/装幀(p8−9)/白鳥(p9)/ポー(p10)

 秋田稔さんの個人誌「探偵随想」。昨年9月に淡々と百号を迎えたあとも、着々と発行が重ねられています。
 
 
 「とりとめのない話」というタイトルのもとに、短いエッセイ二十篇がまとめられています。なかの一篇「白鳥」は、スワンではなく正宗白鳥のこと。結びを引用しておきます。
 
とりとめのない話

秋田稔  

 白鳥

 白鳥にポーを称揚した随筆「ポーについて」「探偵小説雑感」がある。後者で、乱歩から寄贈された創作集にふれ、「心理試験」はポーのような芸術味人生味が胸に迫って来ない、「赤い部屋」には芸術的きらめきもある、と寸感を述べたあと、自分は探偵的興味は持っているが、いわゆる探偵小説というものは書こうとは思わない、といっている。
 探偵小説はともかくとして、「罪と罰」に匹敵する犯罪小説が日本で書けるのは白鳥ではないか、かつてぼくはそう思ったことがある。「人を殺したが……」に、ラスコルニコフが影を投げていたからかもしれない。

 
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