RAMPO Entry 2009
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2009年10月25日(日)

雑誌
大衆文化 第2号
9月30日 立教大学江戸川乱歩記念大衆文化研究センター
A5判 111ページ 500円(税込)
作家専業へ/「D坂の殺人事件」(大正十三年)
口絵 2ページ
翻刻 「D坂の殺人事件」草稿 落合教幸
翻刻 p2−36
「依頼型」から「巻き込まれ型」へ ──江戸川乱歩「D坂の殺人事件」草稿覚書── 落合教幸
評論 p37−43

 
  翻刻 「D坂の殺人事件」草稿

落合教幸  

 
「依頼型」から「巻き込まれ型」へ
   ──江戸川乱歩「D坂の殺人事件」草稿覚書──

落合教幸  

 〈前半…発見者の変更〉

 こよりでまとめられた原稿の一枚目には、本文に使用されているブルーブラックとはことなり、欄外に黒のインクで「D坂の殺人事件」の文字が書かれている。おそらく、原稿を整理する際に書き加えられたものであろう。原稿の枠内にそのタイトルがあらわれるのは四十枚を超えてからになる。
 この草稿の前半は、「増野」「菱田」という二人の学生風の男たちが、いきつけの喫茶店から、向かいの古本屋で起こった殺人事件の発見者となるまでが描かれている。
 冒頭が失われている可能性もあるが、この原稿束は「若し出来れば、ほんとうだ。若しできればね。僕はきつと君をあつと云はせて見せますよ」という台詞で始まっている。そして早々に、「君一寸御覧 あすこへ一人の男が出来て来るだらう。あれは本泥棒だよ。」と向かいに見える古本屋の異常が告げられる。
 決定稿では、「私」と「明智」にその役割が当てられることになる。二人が犯罪についての会話を交わしながら、古本屋の異常に気付き、「君もきづいている様ですね」という私に、明智が「本泥棒でしょう。どうも変ですね。僕も此処へ入って来た時から、見ていたんですよ。これで四人目ですね」と答えるのである。


雑誌
大衆文化 第2号
9月30日 立教大学江戸川乱歩記念大衆文化研究センター
A5判 111ページ 500円(税込)
作家専業へ/「D坂の殺人事件」(大正十三年)
翻刻 「D坂の殺人事件」草稿

「依頼型」から「巻き込まれ型」へ ──江戸川乱歩「D坂の殺人事件」草稿覚書── 落合教幸
投稿規定
校門の外をめざした学校唱歌 ──卒業式による広報戦略── 有本真紀
「月の沙漠」の系譜学 ──流行歌とアラビア表象── 舌津智之
貸本屋と読書サークルの時代 ──吉川英治『宮本武蔵』と大衆読者── 藤井淑禎
オバマ報道を考える 黄盛彬
戦後台湾における日本大衆文化の受容 ──アイデンティティの構築と脱構築── 林鴻亦
「九州演劇」総目次 石川巧
編集後記

 立教大学:旧江戸川乱歩邸
 ジュンク堂書店:大衆文化 第二号 2009. 9
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