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太平記の主題に基づくプレリュード

資料篇

番犬敬白 2001年1月26日

 左の地図をご覧いただきましょうか。
 中心から右下方寄りの位置にブラックホールめいて黒く塗りつぶされた円形は、伊賀と伊勢との国境近い名賀郡青山町の山中を示しております。これすなわち鬼伝説の地でございます。『太平記』巻第十六に記された藤原千方と四鬼にまつわる伝説が、この地に密かに語り継がれている次第でございます。
 左の地図をクリックして、拡大された地図をご覧いただきましょうか。
 京を中心にして鬼伝説の地が四つ、不規則な四辺形を形成しているのをご覧いただけたことと存じます。京の北西には酒呑童子の大江山、東北には伊吹童子の伊吹山、南西には茨木童子の茨木と、いわずと知れた鬼伝説の故地に加え、京の東南に位置する青山町高尾にもひとつの鬼伝説が伝え残されて、あたかも四方から帝の都を鬼のまなざしで射竦めようとでもいう按配。
 この千方と四鬼の伝説につきまして、主人は「いずれ鉄ないし金属にゆかりをもつ伝承にちがいない。発生には四神相応という方位の観念が与っていた可能性も考えられる」と申しておりますが、たしかなところはいまだ解明に至っていないようでございます。
 さて、ここに「鬼の消息 おにのしょうそく」と題してご披露いたしますのは、千方と四鬼の伝説に関する資料その他のあれこれ。暇を見てぽつりぽつりと収集を進めてゆく所存でございますので、よろしくおつきあいをいただきますようお願い申しあげます。


掲載 2001年1月26日  最終更新 2002年 9月 19日 (木)