曽爾・見通山・鷲の巣あたりのこと

'04、年の瀬にホームで遊ぶ

倉骨林道から見る見通山(左)、鷲の巣(右)南面。この右手、尾高山にも岩場がある
 年末、雪待ちの季節に見通山の周辺でうろうろ遊んだ。10月に南西尾根を登ってから、薮だらけの南面の壁を見上げて、できるだけロープなしで上まで登れないものだろうかと、いくつかのコースを考える。見通山には西と南東に明瞭な稜があり、隣の鷲の巣ピークにも南に稜が派生している。岩場を薮が覆っているので、行き詰まるかもしれないが、そこは出たとこ勝負と考えるしかないだろう。何はともあれ、自宅から30分のところで遊べるのだから、薮だらけだとかあれこれ文句言っていたら、バチが当たるってものだ。一緒におもしろがってくれたTYさん、Sさんはじめ、みなさま方に感謝。
見通山周辺概念図
見通山西稜を登るSさん
展望絶佳の西稜だが、ペンキマークはいただけん
(1) 見通山南西尾根('04.10.22、既報

(2) 見通山西稜('04.11.29、TYさんと登る)
 11月29日、TYさんと対面の倉骨林道からルートをあれこれ観察する。で、手始めに西の長い稜を登ることにした。上部は太い松の木が生えているのではっきりしているが、下部は植林の斜面に消えているのでアプローチがわからない。猿子の集落を過ぎたところにある大きな砂防堰堤下、右手の尾根を辿る。しばらくで尾根の形状は消え、急な薮の斜面を這い上がると、広いスラブ状の薮つきの岩場に行く手を遮られる。初手から壁登りはかなわん、とばかり壁の下を左手へ懸垂もまじえて下降気味に横断し、ようやく稜らしきところへ出る。所どころに露岩のある稜には踏みあとがあり、あまつさえいくつかのペンキのマークまである。ペンキのマークをつけて、いったい何をするって言うんだろう? 他人の持ち山の木に、勝手にペンキを塗りたくらないで欲しいもんだ。右手は名張川の谷間が一望できる稜をブッシュをつかんで汗だくで登る。稜の傾斜が落ち、しばらく笹薮をこぐと見なれた見通山のピークに着く。所要時間は1時間以内。下りは南西尾根を取り、猿子へ30分ほど。
(12.4にも奈良のSさんと登る。この時は猿子峠林道経由(略図上(1)の起点から)問題なく取りつけた)

西稜上部から見通南壁
猿子集落から見る見通南西面
2:西稜、3:南稜、中央:南壁
(3) 見通山南稜('04.12.16、TYさんと登る)
 大谷の倉骨林道分岐点の橋から眺めると、見通山南面の傾斜は、なんで薮だらけなのか分からないほど、ものすごく急に見える。しかし、岩が露出している部分には何本かの松の木が生えていて、なんとかルートが開けそうな気がする。
 橋のたもと近くから、荒れた植林帯の中を行くと、だんだん右手へ振ってしまうので、適当な所で左の稜に乗る。ここもなんとなく踏みあとらしいものがあるが、西稜のようにハイカーは来ていないようだ。稜の左手(南壁側)と稜上を縫うようにたどって行くと、最後の50mほどが急になるが、露岩をブッシュを頼りに左右に捲くことができる。ここも南側は尼ヶ岳から大洞山にかけて眺めがたいへん良い。笹薮に突入すると、西稜ルートに出る。所要、1時間。
尼ヶ岳登山道から見る見通山南東面
南稜で遊ぶTY氏、落ちると痛いよ!
見通山南稜テラスで一服
(4) 鷲の巣南西稜('04.12.10)
 倉骨林道分岐から大谷の林道を300mほど行くと左手に涸れた谷がある。この左岸の植林帯を、鷲の巣下の林道まで 登って尾根に取付く。見通山の稜ほど明瞭でなく、丸い形状の斜面になっているが、右手のルンゼ側が切れ落ちているので、これを目当てにケモノ道を伝う。2ケ所ほど薮の覆われた露岩があるが、ジグザグブッシュ伝いに乗り越えると、急な斜面になり、ケモノ道が縦横に走っている。シカの糞だらけで、座る場所もないほど。この稜はシカの遊び場だから、なるべくならそっとしておきたい。天気がよく、汗だくになって鷲の巣ピーク着。(所要、1時間ほど)
 下りは北のコルまで尾根を行き、西側の沢へ降りる。
鷲の巣へはケモノ臭い薮漕ぎ
時々、こんな薮の岩場がある
見通南壁下降終了!えれえ目に逢ったぜ
(5) 見通山南壁下降('04.12.26、K、TY、THさんと)
 冬のアイゼン訓練とばかり、いくつかの稜を登降する、最後にTYさんが、ここなら早いと、見通山南稜の終了点近くから西稜へ向かって横断しはじめる。みんな何も考えずにゾロゾロついて行くが、当然大きな壁に出くわし、面倒だとばかり懸垂下降することにした。急なのは30mほどだと皆が思っていたが、薮の中から次々壁が現れ、結局4ピッチの複雑な下降をさせられた。岩の部分は外傾しており、トップのKさんが見通しのきかない、苦しいルート探しを強いられる。南壁の高距はロープで120mばかりあると考えてよい。とんでもない下降におびき寄せていただいたTYさん、心からありがとう。8環を持っていなかった私はおかげで首筋擦りむきました(><)/(南壁の岩を登るなら、西稜側の方が短いが比較的スッキリしているようだ)