坂本谷一般登山道

●林業宿舎手前の車止めからのコース

起点の作業宿舎  坂本谷(三重側)本流から中又、主稜線を経て三峰へ達する最短ルート。上部は二次林主体の天然林で、いかにも台高北部の雰囲気があふれていて、秋から春先にかけては、野生の鹿の群れに出合うこともある。一般ルートからの三峰とは違った気分の山歩きが楽しめるだろう。
 ルートは谷の奥なので、アプローチにたいへん時間がかかる。日帰りの場合は、マイカー利用か松阪経由3セク鉄道、名松線終点の伊勢奥津からタクシーになる。渓流魚料理の坂本小屋をすぎ、林道が私有になる林業小屋前の車止めが出発地点。車止脇には駐車場もあるが、私有施設のようなので無断駐車は避けたい。

坂本谷道の終点、作業小屋手前が起点。ここから車は先へは入れない

林道から三峰頂上  私有林道になる、車止めの駐車場からしばらく谷沿いの舗装路の林道をたどる。ほどなく地道になり、崩壊したガレ場で行く手が遮られる。ここからガレに付けられた踏み跡をたどって谷へ下る。

右岸沿いの道を行くと、三峰の頂上が見える。この地点やや下手で弓木谷からのルートが出合う。(登山道からはわからない)

坂本谷下降地点 魚止滝手前 150mも飛び石で河原を進むと右手に支沢が出合い、その先に高さにしては、釜の立派な魚止滝が見える。ここは右岸手前の捲き道をとって、再び旧林道跡へ出る(表示あり)。
滝上の荒れた林道跡を行く 坂本谷本流を見下ろす 林道から谷の様子は雑木に隠れて見えない。沢歩きの足ごしらえなら、魚止滝のすぐ上へ下って、沢筋を行くこともできる。
 右岸を行く旧林道は崩壊部分がいくつかあり、右下に滝音が聞こえると、間もなく右又出合いになる。道は左又側へカーブし、しばらくで林道終点となる。
 林道終点の正面には「直進」と書かれた札が懸けられていて順路を示してくれる。要所に付けられたマークを頼りに、踏み跡を外れないように右岸を捲き気味に沢に沿って行く。
林道終点から山道に  谷はやや開けて、ルートは谷の岩の上を行くようになる。要所には小さな看板や赤ペンキなどが付けられているので、不安な時はよく探してみることだ。左又の滝場が樹林をとおして見え出すと、道は中又側に折れ、中又左岸をたどるが、道ははっきりしない。谷が狭まる所で谷の中に降り(中の左股出合付近)、岩の上を辿ると左上手に、登山道を示す看板が見える。この看板を見つけるとホッとする。コース中、一番不安になる部分だ。

 行く手の中の右又はゴルジュ状となって、急角度でかけ登っている。一見、とうてい進めそうにないので、この地点を行き過ぎても、すぐに気付くだろう。登攀装備がないかぎり、無理に中の右又を突き進むことは禁物だ。下るに下れなくなる。
 この先道はしっかり付けられていて安心できる。整備された方々の努力に感謝を忘れないようにしよう。

右岸沿いに行く  展望のない樹林のなかの大きな岩を捲き、急な尾根の腹をジグザグに高度を上げる。秋には見事な紅葉を見せるところだ。その先で、いったん中の左又側山腹をトラバース気味に進み、最後にやや不明瞭な水流のない窪地の笹藪を抜けると、ブナ林の稜線に出る。台高主稜である。ここから三峰へは、よく踏まれた道を右へとると、半時間もかからない。下りも坂本谷をとる場合はこのポイントをしっかりマークしておこう。

 三峰頂上までは登山者の姿も稀で、静かに歩けば野生のシカの群れに出会えるかもしれない。
*注意:はじめて入る場合は必ず登りに使うこと。稜線からの下り口付近は最近かなり道が不明瞭になっているので途中で中の左又へ入ってしまう可能性が高い。

所要時間:駐車地点より三峰頂上まで2時間半(迷わなければ)