2006年12月上旬
1日 名張にとって乱歩とは何か 「ウルトラマン」演出、実相寺昭雄さん死去
2日 名張にとって乱歩とは何か(続) ぐっとくる題名
3日 名張にとって乱歩とは何か(続々) 第9章 正方形を2等分した三角屋敷
4日 名張にとって乱歩とは何か(続々々) 江戸川乱歩全集 1
 ■12月1日(金)
名張にとって乱歩とは何か 

 なーんか吉本隆明さんばりのタイトルになってしまいましたけど、名張にとって乱歩とは何か。名張まちなか再生プランがらみで少考してみたいと思います。

 いまさら少考したって何になるのか、とお思いの方もいらっしゃることでしょう。それはたしかにそのとおり。昔をいまになすよしはなく、名張まちなか再生プランはもうぐだぐだの状態で実施に移されてしまうのであろうなと予測される次第ではあるのですが、それはそれとしてしかし二度とこんなことがあってはならない。税金の具体的なつかいみちがこんないい加減に決められていいわけがない。官民双方のうすらばかが密談によって名張のまちに重大な改変を加える、なんてことが容認されていいわけがないではないか。それをこうしてしつこく指摘しておけば名張市の今後に何かしら裨益するところがあるのではないかしらと、私はそれを信じて疑いません。しかしまあ、いつまでたってもおなじようなことがくり返されるだけかもしれませんけど。

 さてお立ち会い。名張まちなか再生プラン関係者のみなさんや。私のパブリックコメントに眼を通していただけましたでしょうか。

 私だってパブリックコメントを提出するなどという面倒なことはしたくなかった。プランをまとめた名張地区既成市街地再生計画策定委員会が策定の過程で名張市立図書館に足を運び、歴史資料ならびに乱歩資料のプロパーたる図書館の意見に素直に耳を傾けていさえすれば、私のパブリックコメントなんておそらくは必要なかったはずなのである。

 しかしプランをまとめるにあたって当然要求されるであろうそんな作業も放棄して、ごく適当に歴史資料館がどうのこうのとうわっつらのことだけでプランが策定されてしまったから私は怒った。激怒した。何なんだこのブランは、と思った。地域への愛着が感じられない。愛着の前提となる深い理解が存在していない。地域住民の生活という重要な要素が欠落している。歴史資料もないのに歴史資料館をつくるのはおかしい。桝田医院第二病棟のことが盛り込まれていないのはおかしい。名張のまちの再生がせいぜいコミュニティイベントのレベルでしか考えられていない。何なんだこのプランは。

 私は激怒しながら歴史資料館と桝田医院第二病棟、この二点の問題を具体的に指摘し、批判し、対案を提示するパブリックコメントを提出したわけです。しかしいまから考えると、具体的なことと同時にもう少し本質的な問題にもふれておけばよかったのかもしれません。要するに、

 ──名張にとって乱歩とは何か。

 という問題です。もう少し意味を限定していえば、

 ──名張のまちのアイデンティティの拠りどころとして、はたして乱歩は有効なのか。

 ということです。

 みなさん結局その点で苦労していらっしゃるのではないかしら。からくりのまちがどうのこうのと大騒ぎしてみたり、藪から棒にじつは名張は初瀬街道の宿場なのであってなどと口走ってみたり、それは要するにアイデンティティの拠りどころを手探りしているということなわけです。しかしからくりのまちなんてのはまったく根拠のないインチキにしかすぎず、初瀬街道などという珍しくもないものをとってつけたみたいにいきなりもちだしてみたところでさしたる意味はあるまいて。そしてこういった点にこそ、名張のまちのアイデンティティの揺らぎってやつが如実に示されているわけです。この揺らぎが尋常ならざるレベルにまで達すると、

 「名張はエジプトでーす」

 などと気のふれたようなことほざいてくれる市民が登場してくることにもなるわけなのですが、ことほどさように名張のまちをアイデンティファイするのは難しい。難事である。

 名張まちなか再生プランの本質的な問題はまさしく、名張のまちのアイデンティティの拠りどころが明示されていないという点にあります。しかしそれも無理からぬ話なのであって、名張のまちにはこれといった特徴はありません。江戸期には陣屋町でもあり宿場町でもあり、つまりはまちの性格が曖昧で何から何まで中途半端。ですから名張のまちの再生を考えるにあたっては、新しい価値観にもとづいてアイデンティティの拠りどころを見つけることが必要になるでしょう。

 その場合、乱歩という作家ははたして有効なのか。私は有効だと考えてそれをパブリックコメントに盛り込みました。たとえば、

 ──名張はからくりのまちです。

 といってみる。あるいは、これはパブリックコメントを提出した時点ではまだ語られていなかったことですけれど、

 ──名張は初瀬街道の宿場町でした。

 といってみる。しかしどっちもぱっとしません。からくりなんざいわずもがな、街道や宿場にしたって日本全国にごろごろしているではないか。

 しかしこれが、

 ──名張は江戸川乱歩の生誕地です。

 といってみるとどうなるか。少なくともアイデンティファイは完璧でしょう。乱歩が生まれたまちは世界中を探したって名張だけです。しかもありがたいことに乱歩という作家の圧倒的なポピュラリティはどうよ。たとえば三重県のおとなり滋賀県出身の探偵作家を例にとり、

 ──日野は甲賀三郎の生誕地です。

 といってみたって多くの人に甲賀三郎って誰? と首をかしげられるのが落ちでしょうけれど、乱歩の場合はそうではあるまい。私は乱歩の名前を利用して名張のまちを有名にしたい、などと考えているわけではありませんが、それでも名張のまちのアイデンティティの拠りどころとして考えた場合、乱歩という作家のポピュラリティは何より得がたくありがたいものだと思わざるをえません。

 げんに、と身近なところで例を探してみましょうか。まちBBSには「○名張市について書き込んでみましょう PART5○」というスレッドがあります。

 スレ立ての第一声はごらんのとおり、

 ──江戸川乱歩生誕の地名張。

 いわゆる市民レベルにおいて、乱歩の名前が名張のアイデンティティの拠りどころとして使用されているわけです。商業レベルではどうでしょう。名張市観光協会の例のページを見てみましょう。

 あいかわらず明治27年は西暦1895年のままなのですが、このページには名張市内で製造販売されているオリジナル商品の紹介があります。商品名と取扱店の名前をあげておきましょう。

乱歩のゆかりの品々
乱歩ぱい 御菓子司さわ田
幻影だんご 幻影城 御菓子司星安
乱歩煎餅二銭銅貨 山本松寿堂
幻影城 木屋正酒造

 このページは情報がやや古いようで、ここには載せられていませんが現在はこんな商品も登場しています。

乱歩誕生 すみた酒店

 そういえば、御菓子司星安はもう「幻影だんご」はつくってないのではないのかな。この星安は毎月7日と8日の二日だけ、名張のまちにある空き家を利用して菓子販売の店舗を開いているのですが、私は先月高校の授業で教え子たちをひきつれてその店に行きました。名張のまちにおける商業の盛衰消長や自分はどうして名張まちなかで月二日だけ店をオープンしているのかといったことをテーマに、星安の社長が鯛焼きを焼きながら生徒にいろいろとおはなしをしてくれたのですが、そのとき聞いたかぎりでは星安の乱歩関連商品は酒ゼリー「幻影城」だけであったと記憶します。

 ところでこの星安の社長というのは誰なのかというと、忘れもしません昨年10月1日のこと、上京して立教大学で「乱歩地獄」という映画の試写に立ち会い、そのあと新宿ゴールデン街の幻影城というお店で夜を明かして10月2日、山手線の始発に乗ってうっかり居眠りしてしまったすきにバッグを置き引きされてしまい、一円のお金もなくなって新橋駅前交番で千円札を一枚だけ貸してもらってふらふらとたどりついたのが池袋西口広場。ずらりと並んだテントのひとつで背中に「名張」と染め抜いたはっぴを着てお菓子を売っていたのがこの星安の社長でした。いやあのときは世話になったな。

 話題がそれてしまいました。あすにつづきます。

  本日のアップデート

 ▼2006年11月

 「ウルトラマン」演出、実相寺昭雄さん死去

 きょうもまた読売新聞の記事。訃報です。

「ウルトラマン」演出、実相寺昭雄さん死去
 88年には、9年ぶりに監督した「帝都物語」で、日本映画初のハイビジョンを導入。「屋根裏の散歩者」「D坂の殺人事件」で、江戸川乱歩の耽美(たんび)的な世界を映像化した。また、99年の「狂ってゆくレンツ」など、オペラの演出も手がけている。

 10月初めまで、自らの特撮番組をリメークした新作映画「シルバー假面(かめん)」を撮影し、今月20日には完成試写会に姿を見せていた。東京芸大名誉教授を務め、「星の林に月の舟」などの著書もある。

 遺作となった「シルバー假面」は12月23日土曜日から特別先行上映されます。オフィシャルサイトはこちらです。

 この「シルバー假面」にはなんと乱歩が出てきます。オフィシャルサイトの「Story」から引いておきましょう。

 時は1920年(大正9年)。

 スペイン風邪、シベリア出兵、過熱する労働争議、米騒動などで、帝都・東京は騒然としていた。

 そこに次々と起こる、不可思議な美女連続殺人事件。

 若きエリート軍人・本郷大尉は諜報機関からの密命を受け、探偵小説家志望の友人・平井太郎(のちの江戸川乱歩)と共に浅草のダンテ劇場を調査中に、ザビーネという日独ハーフの美女と出会う。

 謎の怪人・カリガリ博士にあやつられた邪悪なクモ型宇宙人が本郷に襲いかかったとき、ザビーネは銀色の超人・シルバー假面に変身し、宇宙人を撃退した。ドイツ人の母と文豪・森鴎外の間に生まれたザビーネは、まだ見ぬ父を探して、はるばるドイツからやってきたのだった。

 カリガリ博士にあやつられた邪悪なクモ型宇宙人、か。観るのがこわいような気もいたしますが、平井太郎は結構重要な役どころで登場しているみたいです。こわいもの見たさで観ておけば、話のたねにはなるでしょう。

 こういう映画が完成したらしいということはつい先日ある方から電話で教えていただき、しかしあの「乱歩地獄」の「鏡地獄」はなあ、みたいなことを話した記憶もあるのですが、ともあれ実相寺昭雄さんのご冥福をお祈りしたいと思います。


 ■12月2日(土)
名張にとって乱歩とは何か(続) 

 きのうのつづきです。

 名張市観光協会オフィシャルサイトの情報にいささかの訂正を加えて再掲いたしますが、名張のまちでは乱歩にちなんでこんなお菓子とお酒が販売されております。

乱歩のゆかりの品々
乱歩ぱい 御菓子司さわ田
幻影城 御菓子司星安
乱歩煎餅二銭銅貨 山本松寿堂
幻影城 木屋正酒造
乱歩誕生 すみた酒店

 ビジネスの話です。ややおおげさにいいますと、お菓子屋さんや酒屋さんの浮沈がかかった話です。洒落や冗談でこんな商品が開発されたわけではありません。地域にちなんだ新商品をさまざまに手探りした結果、これらの商業者はそれぞれ乱歩にたどりついたということでしょう。行政サイドあるいは商工会議所サイドからアドバイスがあったとも思えません。つまりこれらの商品は、乱歩という作家が名張のまちのアイデンティティの拠りどころとして機能していることを証明しているわけです。商業者の主体的な判断によって、それが証明されているわけです。

 ほかに何もない、という事情もあるでしょう。名張には乱歩のほかに全国に名を知られた表象のようなものが何もありません。先月30日に弁護団側から最終意見書が提出され、あとはいよいよ異議審の決定を待つばかりとなった名張毒ぶどう酒事件がいくら全国に名を馳せているからといって、純米吟醸ニッカリンTだの名張冤罪饅頭だのを製造販売できる道理がありません。何を不謹慎なこといってるんだか。

 もっと大きな都市ならこんなこともないでしょう。たとえば探偵作家を例にあげてみることにして、

 ──神戸は横溝正史の生誕地です。

 といってみたところでさしたる意味はないでしょう。神戸に縁の深い文学者なんてごろごろしております。横溝などという探偵作家風情をいちいちもちだすな、という人だって出てくるでしょう。げんに今月4日にオープンすると聞き及ぶ神戸文学館では秋田県出身の石川達三が、なんてったって第一回芥川賞受賞者であらせられるのだからな、ということなのか神戸ゆかりの作家としてなぜか優遇されているらしく、ほかにもなにしろ神戸なんですから稲垣足穂を筆頭に、いやしかし足穂も生まれは大阪か、ならば西東三鬼がいるではないか、いやあれも出身は岡山県であったか、とにかく神戸ゆかりの文学者なんて目白押しの目黒引き、生粋の神戸っ子であった横溝正史なんてかえって影が薄いくらいだとも伝えられる次第です。

 しかし名張には乱歩しかいません。乱歩ひとすじ、乱歩一直線、乱歩まっしぐらでいいわけです。しかもその乱歩が、きのうも記しましたとおり圧倒的なポピュラリティをば有している。石川達三の芥川賞受賞作品「蒼氓」はいま文庫本で手軽に読むことはできませんが、乱歩作品なら文庫本の全集が新刊でいとも簡単に手に入ります。

 つまりはきのうのつづきなのですが、乱歩は名張のまちにおけるアイデンティティの拠りどころとして有効かどうかという問題。それを身近な例から少考してみますと、まず市民レベルでは──

 それから商業レベルでは──

 わずかこれだけの例ではありますけれど、乱歩の名前の有効性を認識し、それを利用し証明している市民や商業者が存在しているということになります。

 私のパブリックコメントもまた、乱歩が名張のまちのアイデンティティの拠りどころになるであろうとの判断に立ったものでした。ただし念のために記しておくならば、私はパブリックコメントに書いたことをどうあっても実現してほしいなどとは考えておりません。私のコメントは乱歩を手がかりにして名張のまちの再生を考えるシミュレーションであり、いやいやそれ以前にあの名張まちなか再生プランがどうにも出来の悪いしろものだったものですから、プランを策定するのならもう少し真面目にやってくれ、真剣にやれというのだ、うわっつらだけでなくもっと本質的な問題に眼を向けぬか、といういわば見本のようなものとして提出したものですから実現性はあくまでも副次的な問題です。

 それで結局あの名張まちなか再生プランはどうなるのか。プランに勝手に変更が加えられたあげく、細川邸の整備と桝田医院第二病棟の活用がいったいどうなるのか、いまもって市民にはいっさい知らされることがない。どころか、名張まちなか再生委員会の事務局で尋ねてみてもはっきりしたことはわからない。ひどいというしかない状況である。だから住民説明会のひとつも開いて正直なところを打ち明けてみろと私はいうのだ。そうでもしないと関係者は安んじて新年を迎えることもできぬのではないか。いやまあ、そこまで主体的に責任をもってプランに携わっている関係者はおらんのかもしれぬが。

 それにしたって細川邸はともかく、桝田医院第二病棟の活用策は難問であろうな。暗礁に乗りあげているのであろうな。わしゃ知らん、と何度もいっておるようにわしゃもう知らん。しかしこれも何度もいってるとおり、よほど思案にあまることがあるのであれば話くらいは聞いてやらぬでもないのだぞ。名張市立図書館のどの蔵書をミステリー文庫にまわせばいいのか、みたいなうわっつらのことで眼を白黒させてなんかいないで、考えなければならないことを考えなさい。もっと頭をつかいなさい。名張のまちの再生と乱歩をどう関係づけるのか、関係づけないのか、いやいや、桝田医院第二病棟は乱歩に関連させて活用するのが前提なのであるから名張のまちの再生と乱歩とはぜひとも関係させなければならぬのであろうが、とにかくそういった本質的なテーマについて、関係者からいくらでも話を聞いてやろうと私はいっておるのだ。ありがたいとは思わんのか。

 ですからもう誰でもいいからちっとは胸襟を開いてみませんか。名張まちなか再生プラン関係者のみなさんやーい。いつまでも私からうすらばか呼ばわりされてるのも大変なんじゃないんですかー。それはそれとして、プラン関係各位におかれましてはどうぞよいお年をお迎えくださいますよう。

  本日のアップデート

 ▼2006年9月

 ぐっとくる題名 ブルボン小林

 中公新書ラクレの一冊。横溝正史生誕地碑建立二周年記念イベントでお目にかかった方から教えていただきました。ていうか、関連箇所と表紙ならびに奥付のコピーを頂戴いたしました。まことにありがたいことです。

 現物を入手しておこうと思って当地の本屋さんに取り寄せを依頼しておいたところ、出版社品切れで取り寄せできません、とのメールが届きました。9月に出たばかりの本なのに、えらく売れ行きがいいようです。

 しかたありませんから手許のコピーにもとづいてご紹介いたしますと、帯にはこうあります。

 ──心に残る題名のテクニックとは?

 ──気鋭のコラムニストによる〈タイトル発想法〉

 乱歩作品はふたつとりあげられているのですが、ここには「D坂の殺人事件」のほうを。

「D坂の殺人事件」江戸川乱歩の短編の題名
 我々はアルファベット一字の表記が「なにかの省略である」ことを知っている。だから文中にアルファベットをみると、省略されたもとの意味にほどこうとしてみる。T市、S君、Rビルと書いてあると、それぞれにもとがあるように思えるはず。だが特定は出来ない。

 Dにしたということは、単に団子坂であることをぼかしたというだけに留まらない。Dにすることで道玄坂とか別の坂を思わせる余地も生み出した。

 アルファベット化は「匂わせる」と「隠す」を同時に行うのだ。

 たしかに「団子坂の殺人事件」といってしまってはユーモアミステリにしかならぬでしょう。乱歩というのは一見ごく無造作で単純な、まんまやないかというしかないのだけれどじつはとても印象的でパワーを秘めているとでもいえばいいのか、そんなようなタイトルを思いつくことのできた稀有な作家で、団子坂をD坂としたのもタイトル作法としてはじつに巧みな操作であったと思われます。

 このDはDではじまるほかの言葉をも連想させる、という説があって、D坂のDは Death のD、Detective のD、Destiny のDでもあるのだ、みたいなことをどこかで読んだ記憶があるのですが、いったいどこで見かけたのか、さっぱり思い出せません。うーん、ばか。


 ■12月3日(日)
名張にとって乱歩とは何か(続々) 

 続々、となりました。

 名張にとって乱歩とは何か。

 やや本質的な話をさらにつづけることにいたしますが、名張にとって乱歩とは何かという設問に対していま、まさしくいま、明快な回答が求められているわけです。これまでずーっとほったらかしだったこの設問に、名張市はとうとう答えを出さなければならなくなった。

 もちろん、名張にとって乱歩とは自己宣伝の素材なのである、みたいな程度のことは名張市もやってこなかったわけではない。しかしそんなのはろくに乱歩作品も読んでない連中が例によって例のごとく、

 「わはははははは明智君。わはははははは明智君。わはははははは明智君。わはははははは明智君。わはははははは明智君」

 と白痴のごとく浮かれ騒ぐ以上のものではなかった。こーのお調子者がまたあー、とツッコミを入れる気さえ失せてしまうものでしかなかった。

 私はいつもいつももうばかみたいにおなじことをいってるわけなのですが、乱歩を名張市の自己宣伝に利用するのは全然OKである。好きなだけ利用活用すればよろしい。ただしそのためには乱歩というのがどんな作家であったのか、どんな作品を書いたのか、そのあたりをよく理解しなければ話はいっこうにはじまらない。げんに結果として何もはじまってはおりません。せっかくの素材なのにそれをうまく利用活用することができない。自己宣伝としてまったく有効ではないわけね。つねにうわっつらのことだけで終わってしまう。

 「わはははははは明智君。わはははははは明智君。わはははははは明智君。わはははははは明智君。わはははははは明智君」

 こんなことばっかいってるわけです。つまりは──

 こんなことばっかだったわけなのであり、その実態はというと──

 こんなことであるわけなのであって(しかしいまでもこの写真を見ると笑えてくるというのがなんとも凄い)、結局どういうことなのかというと──

怪人19面相   2005年 8月 4日(木) 20時 6分  [220.215.61.171]

勘違い馬鹿のお方、いずれ近いうちに会うたるで。
連絡したるからまっとれ。
県民の血税を搾取なさったごとき事業をなさったオマエ、図書館嘱託のいんちきおっさん。
いろいろ返事を書いて頂いて有難う。
そもそも江戸川乱歩みたいなものどうでもええねん。20面相のキャラで又スフインクスのナンチャッテ写真で公益活動を実践しているのだから貴様につべこべ言われる筋合いとちがうねん!
回りくどい難しい言い回しでわかりにくいことくどくどゆうな、ボケ!

以上。

尚私は♂です。
商工会議所で会う理由もありません。
割と回りくどいのが嫌いな性格の人間です。
だいぶ我慢をしてメールを書いています。

推理作家の大家よくお考えあれ!!

 こんなようなことなのであるというしかなく、端的な結論としてはこんな感じになってしまうわけです。

そもそも江戸川乱歩みたいなものどうでもええねん。

 ばかかこらうすらばかども。しまいにゃはったおすぞこのくるくるぱーども。そのうちバルサンで退治してやろうかというのだこの官民双方における地域社会の害虫どもめが。

 あーやだやだ、うすらばかだのくるくるぱーだの害虫だののお相手はほんともうやだ、とか思いながらもつづけますけど、言葉をかえていえばこれが最後のチャンスでしょう。名張にとって乱歩とは何か。英知を結集していまそれを考えなければ、二度と機会はないでしょう。これは天が与えたもうた千載一遇の好機であるに相違ない。この機を逸することなく今度こそ本気で真剣に乱歩のことを考えなければ、ほんっともうだめよ名張市。

 名張にとって乱歩とは何か。名張のまちのアイデンティティの拠りどころになる可能性を秘めた素材である。おとといきのうと見たとおり、そうした認識に立つ市民や商業者はげんに存在している。いくらからくりだ街道だといいつのってみたところで、大吟醸からくりのまちをつくってる酒屋さんもなければ初瀬街道ワッフルをつくってるお菓子屋さんもない。そんなものはアイデンティティの拠りどころとして機能しないというのが商業者のシビアな判断なのである。

 そしてまさしく千載一遇なわけなのね。名張市は乱歩生誕地碑のある桝田医院第二病棟を所有者の方から寄贈していただきました。乱歩に関連して活用してくれというたいへんありがたいおはなしだったわけです。うわっつらだけのイベントや絵を描いた看板一枚の話ならともかく、寄贈された土地と建物を利用して何かしら形のあるものをつくるわけなんですから、こうなったら四の五のいわず乱歩という作家に正面から向き合わなければならない。乱歩がどんな作家であり、どんな作品を書いたのか、それをよく知ったうえで名張にとって乱歩とは何か、それをじっくり考えなければならない。そのための千載一遇の好機が訪れたわけなのよ。

 それがどうなったか。

 名張地区既成市街地再生計画策定委員会のうすらばかどもは何もしなかった。名張まちなか再生プランを策定している最中に土地の寄贈を受けたにもかかわらず、連中はそれをいっさい無視してプランに盛り込もうとしなかった。ばかかこら名張地区既成市街地再生計画策定委員会のうすらばかども。

 つづいてどうなったか。

 名張まちなか再生委員会のうすらばかどもはプランに盛り込まれていない桝田医院第二病棟の活用策を勝手に検討し、乱歩文学館がどうのミステリー文庫がこうのとない知恵をしぼったあげくどちらの構想もどうやら暗礁に乗りあげたとおぼしい。ばかかこら名張まちなか再生委員会のうすらばかども。おまえら乱歩のらの字もミステリーのみの字も知らぬくせしてよくも検討などというごたいそうなことがはじめられたものだな。うっかり感心してしまいます。

 それにしてもどいつもこいつもいったい何をやっておるのか。情けなさのあまり涙が出そうになる私。

 だからいまさらいうのもあれなのですが、名張まちなか再生プランに対して提出したパブリックコメントでもう少し本質的なことにもふれておけばよかった。名張にとって乱歩とは何か。長くほったらかしにしてきたそのテーマに名張市は桝田医院第二病棟の寄贈を契機としてがっぷり四つに組まねばならない。名張まちなか再生プランの枠を超えて名張にとって乱歩とは何か、それをしっかり考えなければならない。いまを逃すとこんな好機は二度と訪れないのである。

 そういったことを明確に指摘しておくべきであったかなといまになって私は思っているわけなのですが、あるいは手遅れなのかしら。ならばどうなるのか。どうもなりはしない。何もできない。先日の伝言にも記したことなれど、桝田医院第二病棟の「幻影城」と刻まれた乱歩生誕地碑の横にもうひとつ碑を建てておくしかないであろう。碑文は先日の文面を無償でそのままつかわせてやるから心配するな。こんな感じである。

 名張にとって乱歩とは何か。

 まさしくいま、名張市はこの設問に対する明快な回答を求められている状態です。はっきりとした答えを出さなければなりません。もしかしたらそれを考える好機はすでに失われてしまっているのかもしれず、どうもそんなようなっぽい感じもいたしますけれど、実際のところはさてどうなんでしょうか。

 名張にとって乱歩とは何か。

 さあどうよ名張市。名張まちなか再生プランの枠を超えてどうよ。

  本日のアップデート

 ▼2006年12月

 第9章 正方形を2等分した三角屋敷──『三角館の恐怖』江戸川乱歩 安井俊夫

 出たばかりの本です。

 一級建築士の視点からミステリ小説にアプローチする一冊。小説に登場する建築物を記述にもとづいて解析し、建物の全体像を実際の建築図面に落とし込む。長篇十作品を対象に、専門知識を活かしたユニークな試みがなされています。

 乱歩作品では「三角館の恐怖」がとりあげられ、三角館が建てられた時代と建っていた場所をまず特定。そして外観、間取り、部屋の広さ、といったぐあいに細部の検証が進められます。

 三角館にはトイレも風呂も洗面所もなかった、という驚くべき事実が判明し、もしもいま三角館を建築しようとすれば土地代を含めて最低でも十四億八千万円は必要であろう、といった試算も示されます。

 結びのあたりから二段落だけ。

 明治時代に新築し、大正時代に改築と、なかなかイメージすることの難しい建物でしたが、いかがだったでしょうか。私自身は、乱歩独特の暗さと湿り気を感じさせるこの屋敷の雰囲気がとても気に入りました。

 しかし繰り返しになりますが、この建物はどこから見ても「三角」には見えないですよね。それぞれの住居を指すにしても、これは「台形」でしょう。ちなみに原作の『エンジェル家の殺人』では、この建物は三角館とは呼ばれていません。でも、そんな表現も含めて「乱歩ワールド」に仕立て上げてしまう、江戸川乱歩氏の世界観と雰囲気作りは、やはり読んでいてワクワクするものでした。

 私はとりたててミステリ小説が好きだというわけではないのですが、手に取ったミステリ作品の見返しのあたりに建物の平面図が収められているのを発見するとなぜか嬉しくなります。ミステリファンにはそういった平面図を見るだけでそれこそわくわくしてしまう図面フェチ、みたいな人が多いのではないかとも愚考される次第なのですが、そんな方には一読をお勧めしておきましょう。

 そういえば、笠井潔さんの『哲学者の密室』に収録された平面図にやはり(やはり、というのは乱歩の三角館がそうであったことを受けての言葉なのですが)トイレが存在していない、という事実を筒井康隆さんがどこかで指摘していらっしゃったと記憶いたします。ミステリ作家というのはもしかしたら便所のことを失念しがちな人種なのかもしれません。そんなあほな。

 とりあげられている十作品はこれこのとおり。

犯行現場の作り方
第1章 十角館の殺人 綾辻行人
第2章 8の殺人 我孫子武丸
第3章 長い家の殺人 歌野晶午
第4章 玄い女神 篠田真由美
第5章 十字屋敷のピエロ 東野圭吾
第6章 笑わない数学者 森博嗣
第7章 誰彼 法月綸太郎
第8章 本陣殺人事件 横溝正史
第9章 三角館の恐怖 江戸川乱歩
第10章 斜め屋敷の犯罪 島田荘司

 興味をおぼえたとおっしゃる方はぜひどうぞ。気になるお値段は本体千と二百円。


 ■12月4日(月)
名張にとって乱歩とは何か(続々々) 

 続々々、となってしまいました。本日でひとまず完、ということにいたします。

 名張にとって乱歩とは何か。

 さあどうよ、といってみたってどうにもならぬか。

 いくらどうよと働きかけてもうんともすんとも反応がない。死人のように反応がない。たとえば私は本年6月の26日、名張まちなか再生委員会の事務局にお邪魔してもうみなさんの委員会とはお別れなのであるが、と宣言してきました。そのときのことを6月29日付伝言から引いておきます。

 いやもういい。もういいもういい。もういいんだ。月は晴れても心は暗闇だ(この「暗闇」は「やみ」とお読みください)。ええ、そりゃ、世間も暗闇でも構いませんわ。どうせ日蔭の身体ですもの。お蔦。あい。済まないな、今更ながら。水臭い、貴方は……。いやいや、こんなとこでひとり婦系図湯島の境内をやってる場合じゃありません。しかしまあ早瀬主税ではなけれども、おれもそろそろ別れを切りだすべきころおいではあるだろう、これからはもう名張まちなか再生プランに対して助言やアドバイスを行うこともないであろうなと私は思い、これは名張まちなか再生委員会の事務局に伝えても意味のないことではあったのですが、結局何が悪いのかというもっとも本質的な問題をいわば置きみやげとして厳しく指摘してまいりました。

 何が悪いのか。名張市が悪いのである。私は名張市立図書館の嘱託を拝命して十年あまりになるのであるが、その間ずっと名張市は悪かった。てまえども名張市は乱歩にかんしてこのように考えております、このようなことをしたいと思っておりますと、明確なビジョンを示すことがついになかった。乱歩にかんしてはあくまでもその場その場の思いつき、それもろくに乱歩作品を読んだこともない人間の思いつきでことを進めてきただけなのである。だから私は、

 ──名張市は乱歩から手を引け。

 と以前から主張しているわけなのであって、名張まちなか再生プランの場合も本来であれば、つまり名張市に乱歩にかんする明確なビジョンがあったのであれば、まちがってもこんなことにはならなかった。そのビジョンに照らしてプランを策定すればいいだけの話だったのである。しかし現実はまったく逆であった。名張市にはビジョンが存在しない。名張地区既成市街地再生計画策定委員会はプランのなかに桝田医院第二病棟のことをまったく盛りこまない。その結果どうなったのか。乱歩のことを考える知識も見識もない、そしてそれ以前にそんな資格も権限も与えられてはいないはずの名張まちなか再生委員会にすべてが押しつけられ、おまえらそんなことでいいのか実際、というしかないような委員によって桝田医院第二病棟の整備計画が検討され、見事なまでにうわっつらだけを飾った文学館構想が決定されてしまったのである。いい加減にしなさい。おれはほんとにもう知らん。とにかく私は以前から、

 ──名張市は乱歩から手を引け。

 と主張してきたのであるけれど、名張市がこのうえまーだ乱歩をどうこういうのであれば、文学館のことなんかよりいったい乱歩をどうしたいのか、それを明確にすることが必要である。庁舎内の乱歩関連セクションに密接な横のつながりをつくって、そのうえでじっくり考えてみなさい。考えるったって名張市役所のみなさんにはそもそも乱歩にかんする知識がないのだから困ったものではあるのだが、私は乱歩のことならいくらだっておはなししてさしあげることができるのである。むろん私は、

 ──名張市は乱歩から手を引け。

 と本気で考えているのであるけれど、これはあくまでも個人的な考えなのであって、名張市が悔い改めて乱歩のことを本気で考えたいというのであれば、そのための助言やアドバイスを惜しむつもりは毛頭ない。いつでも訪ねてこられよ。あらあらかしこ。

 まあそんなようなことをお伝えしてまいりました。結局のところ、いくら調査費がついたからといって乱歩文学館などという愚劣なプランがおいそれと実現するとは思えませんし、名張市にはそんなことより先に乱歩にかんしてしなければならないことがある。それはたしかなことなのですが、しかしそうした私の訴えを名張市役所のみなさんにご理解いただけるのかどうか。その点はまったくの五里霧中であるというしかありません。

 私はもう十年以上もこんなことばっかいってるわけです。機会があれば名張市はどうよと働きかけておりますものの、反応というやつがかすかな谺ほどにも返ってこない。おーい。呼べど答えず。いとけない幼稚園児のようにおなじ場所でぐるぐるぐるぐる堂々めぐりをしている観が自分でも否めないのではあるけれど、上の引用のポイントはここである。

むろん私は、

 ──名張市は乱歩から手を引け。

 と本気で考えているのであるけれど、これはあくまでも個人的な考えなのであって、名張市が悔い改めて乱歩のことを本気で考えたいというのであれば、そのための助言やアドバイスを惜しむつもりは毛頭ない。いつでも訪ねてこられよ。あらあらかしこ。

 名張市が誕生してからもう五十年以上が経過する。その間ずっと、ずっとずーっと名張市は乱歩にかんして無策無能でありつづけた。それどころか、乱歩生誕地碑の周辺に狸が出没し、土地所有者が碑の周囲に緑色のネットを張りめぐらすという事態にいたってもいっこうに知らん顔であった。ネットというのはこれですけど(2003年9月撮影)。

 ネットに貼られた紙には何が書かれてあったのか。

   江戸川乱歩の石碑 探訪の方へのお詫び

最近、石碑後方部に、たぬきが出没し、排便する様になり頭を悩ませ

この様な、防御ネットを張り、お見苦しい状況にしています。

探訪されました皆様には、大変ご迷惑をお掛けしています事をご了承下さい。

石碑後方に お入りになられます際には、右端の紐を解きになり

お入り下さい。

 2003年9月4日付伝言から引いておきましょう。

 貼り紙の文面から案じますに、このネットはたぶん乱歩生誕地碑の土地所有者の方にお貼りいただいたものでしょう。毎度お手数をおかけしております。名張市立図書館のカリスマ改め癒し系としてもお礼を申しあげたいと思いますが、生誕地碑への「探訪の方」というのは、別の角度から見れば生誕地碑の建つ私有地へ無断で侵入している人たちなわけです。どうして土地所有者が侵入者に「お詫び」なんぞをしなければならぬのか。むろん土地所有者の方には乱歩の生誕地碑がいわば公有の財産であるとのご認識があり、だからこそその管理者として「大変ご迷惑をお掛けして」いることを心苦しく思っていらっしゃるのだと思われますが、それにしたってどっかおかしい話ではあります。

 私が何を申しあげたいのか、察しのいい方はすでにお気づきかもしれません。ここに明らかに窺えるのは行政の怠慢です。やれ乱歩の生誕地がどうのミステリーのふるさとがこうのと乱歩の名前をさんざっぱら名張市の自己宣伝に利用しておきながら、名張に残る数少ない乱歩ゆかりの地のまず筆頭にあげられるべき生誕地碑は長きにわたってほったらかし……

 そろそろつけを払わなければならぬ。長きにわたる過去の怠慢と無策無能とを名張市はいまこそきれいに清算しなければならぬ。桝田医院第二病棟の寄贈を契機として、それはもうどうあっても乱歩のことを真剣に考えなければならぬのである。名張のまちに生まれた乱歩という作家とどう向き合ってゆくのか。名張のまちの再生に乱歩をどう関連づけるのか。乱歩のことにどんなふうに税金をつかってゆくのか。その方向性をくっきりと明示しなければならぬ。

 それが現実にはどうであるのか。ご町内感覚となあなあ体質をフルスロットルにしたみなさんがろくに乱歩のことも知らないくせして乱歩文学館をつくろうと口走り、それが無理っぽくなったら今度はミステリー文庫でどうだとうそぶきやがる。何なんだこのざまは。うわっつらのことすらすんなりとは進んでおらぬではないか。むろんできまい。できまいて。不勉強無教養不見識無責任なみなさんにいったい何ができようものか。

 だからもうこれしかありません。

 うわっつらだけの妙なものはつくるな。その場しのぎの弥縫策に走るな。乱歩文学館であれミステリー文庫であれ、そんなものつくっていったいどうしたいの、何がしたいというの、と訊いてみたって関係者のおつむのなかではそんなことはかけらも考えられておらぬのであろう。乱歩に関係のあるハコモノつくったらそれでおしまいという頭しかないのであろう。要するにそこらのうすらばかどもが悪あがきして体裁をとりつくろうだけの話ではないか。そういうのが一番いけない。愚の骨頂というしかない。このうわっつらばかのその場しのぎばかの弥縫策ばかの悪あがきばかの体裁ばかのとりつくろいばかの愚の骨頂ばか。おまえらばかはそろそろ冬眠に入れ。寝言は寝てからいうものだ。

 そんなわけにはまいりませんというのであれば、

 ──名張にとって乱歩とは何か。

 それを考えることからはじめてみろ。上の引用にもあるとおり、

 ──名張市が悔い改めて乱歩のことを本気で考えたいというのであれば、そのための助言やアドバイスを惜しむつもりは毛頭ない。いつでも訪ねてこられよ。あらあらかしこ。

 と私は高らかに宣言してある。名張まちなか再生委員会のことなんかどうだっていいのだが、自分が生まれ育った名張のまちや乱歩ならびに乱歩を愛するすべての人のためには微力を尽くしたいと思っていないわけでもない私である。げんにこれを見なさい。

 三重県立名張高等学校謹製の「名張まちなかナビ」、サブタイトルは、

 「ナビゲーターは江戸川乱歩 o(^∇^)o」

 というしろものなのであるけれど、高校生をだしにして、いやそんなことは全然ないのですけれど、名張のまちを舞台にした校外学習の鬼と化しながら自分の能力と立場に応じて私は私なりに名張のまちと乱歩のために本分を尽くしているのである。偉そうなことをいうようではあるけれど、こうした人間のいうことは素直に聴いてみるものである。

 それができぬか。できぬのならばほんとにこれだぞ。

 あらあらかしこ。

  本日のアップデート

 ▼2006年11月

 江戸川乱歩全集 1

 出ました。それほど出てほしいわけではなかったのだけれど、出てしまいました。

 桃源社版全集をまんま復刻した沖積舎の江戸川乱歩全集全十八巻。本屋さんに取り寄せてもらった第一回配本が届きました。第二回配本は今月上旬、そのあとは少し配本のあいだがあくそうです、と時節柄サンタクロースの帽子をかぶった本屋さんのお姉さんが教えてくれました。

 桃源社版にはなかった函とカバーが附されておりますので、おなぐさみまでにそのカバーの画像をどうぞ。

 ここでお知らせです。三重県立名張高等学校は後期中間考査(名張高校は二学期制となっておりますのでこの時期にこんな試験があるわけです)に入っておりますので、私のあしたの授業はお休みです。

 そんなことはどうだっていいのですが、この名張人外境もあす5日から一週間、アップデートをお休みいたします。この次の更新は12月12日の予定です。

 それからなんだかひどいことになっている掲示板「人外境だより」の件ですが、プロバイダに問い合わせたところ、

 「掲示板のファイル名を変更するしか今のところ解決策がありません」

 との助言が届きました。ちょっといじくってはみたのですが、結局のところ「掲示板のファイル名を変更する」というのがどういうことなのか私にはもうひとつよくわからなかった。うーん、ばか。恥をしのんでプロバイダに再度問い合わせておりますので、そのうちなんとかなるでしょう。

 それからもうひとつ。名張まちなか再生プランといいますか、乱歩文学館といいますか、ミステリー文庫といいますか、細川邸といいますか、あるいはもう名張市といってしまいますか、そこらの関係者の方にはあしたから一週間のお休み中もひろく門戸を開放いたします。お気軽にご連絡ください。