昭和7・1932年
38歳

1月
1月8日 金曜日
『江戸川乱歩全集第三巻』の発行日。
1月
ハンス・リヒト『古代希臘風俗史』の英訳を読み、古代ギリシアへの興味が生じた。岩田準一と旅することが多かった。このころ、ローブの希英対訳本を大量に注文した。探偵小説四十年「昭和七年度の主な出来事」]

2月
2月5日 金曜日
「新青年」新春増刊号(第十三巻第三号)の発行日。「私の読者へ」の一篇として「トリックを超越して」が掲載された。新青年「編輯だより」Fragment
2月6日 土曜日
三越本店前の三共ビルにあったエンプレス食堂で午後五時から開かれた「森下雨村氏の会」に出席。発起人にも加わった。博文館を退社した雨村の門出を祝福した。探偵小説四十年「森下雨村の博文館退社」][新青年「編輯だより」Fragment
2月8日 月曜日
『江戸川乱歩全集第十二巻』の発行日。

3月
3月1日 火曜日
「朝日」三月号(第四巻第三号)の発行日。「盲獣」第十一回が掲載され、完結。
「新青年」三月号(第十三巻第四号)の発行日。新青年「編輯だより」Fragment
3月5日 土曜日
平凡社の現代大衆文学全集続第二十巻『江戸川乱歩集』発行日。
3月7日 月曜日
玉の井のお歯黒どぶで、三つのハトロン紙に包まれた男性の切断死体が発見された。翌日の新聞で報じられ、玉の井八つ切り事件などとして喧伝された。犯人は十月二十日に逮捕された。龍田恵子『日本のバラバラ殺人』]
3月10日 木曜日
『江戸川乱歩全集第九巻』の発行日。
3月16日 水曜日
前年からつづいていた連載小説がすべて終わったのを機に休筆することとし、それを通知する葉書を出した。貼雑年譜「二度目ノ休筆時代」]
3月21日 月曜日
「読売新聞」に玉の井八つ切り事件の続報として、乱歩が犯人だとする投書が二十日、捜査本部に寄せられたとの記事が掲載された。探偵小説四十年「大犯罪事件の年」]
3月
家族を連れて京都、奈良、近江などを旅行した。探偵小説四十年「昭和七年度の主な出来事」]

4月
4月1日 金曜日
「富士」四月号(第五巻第四号)の発行日。「白髪鬼」第十回が掲載され、完結。
4月10日 日曜日
『江戸川乱歩全集第十一巻』の発行日。
4月
新潮社が書き下ろしによる探偵小説全集の刊行を発表した。探偵小説四十年「昭和七年度の主な出来事」]

5月
5月1日 日曜日
「講談倶楽部」五月号(第二十二巻第五号)の発行日。「恐怖王」第九回が掲載され、完結。
5月10日 火曜日
『江戸川乱歩全集第十三巻』の発行日。

6月
6月1日 水曜日
「新青年」六月号(第十三巻第七号)の発行日。新青年「編輯だより」Fragment
6月7日 火曜日
玉子が死去した。探偵小説四十年「昭和七年度の主な出来事」]
6月10日 金曜日
午後三時から自宅で玉子の告別式を営んだ。貼雑年譜「玉子死ス」]
6月12日 日曜日
午後二時から津市の浄明院で玉子の埋葬式を営み、夜、東京に帰った。貼雑年譜「玉子死ス」]

7月
7月
七月から八月にかけ、ひとりで東北を旅行した。十和田湖をはじめとした東日本の湖水をすべて見てまわり、南部の恐山で引き返した。探偵小説四十年「昭和七年度の主な出来事」]

11月
11月12日 土曜日
赤坂の幸楽で開かれた横溝正史の首途を励ます会に出席。探偵小説四十年「横溝正史の首途を励ます会」][新青年「編輯だより」Fragment

12月
12月11日 日曜日
新橋演舞場で新興座公演が開幕、上演四作品のひとつとして「陰獣」がとりあげられた。脚色は小納戸容、演出は早瀬亘。市川小太夫が寒川、藤間林太郎が本田、石山健二郎が小山田、特別加入の梅野井秀男が静子を演じた。探偵小説四十年「小太夫の「陰獣」劇」][貼雑年譜「市川小太夫ノ脚色ニヨリ「陰獣」上演サル」]

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