神末川上流 不動谷 
 奈良県側の一般路、不動滝コースのつけられた不動谷は、一般路が滝下からは尾根道に上がってしまうので、その先の谷の様子を知る人はきわめて少ないだろう。上流へは秋、冬に何度か通っているが、いまだかって登山者に出合った経験は皆無だ。鋪装された林道から分岐して登山コースになる、大きな標識が設置された地点からを不動谷とすると、谷の大半(頂上までの標高差700mのうち500mちかく)は、植林の盛んな山となっていて、野生を期待して入谷すると面食らってしまう。仕事道が果てると、谷筋は一見荒れ放題になっているので、ここまでであきらめて帰ってしまう人もいるかもしれない。ここからは、もう少しの辛抱で頂上へ達する事ができるのだ。(仕事道がある間は、古い赤テープのコース表示も探せば見付かる。)
 このコースは何より、奈良県側から三峰頂上へ達する最短コースだということに価値がある。そして、最後に思いがけない滝場(涸れ滝)が突然現れ、驚かされる。さすが中央構造線上の山なのである。(ただし、上の理由以外では、誰にでもお勧めできる谷とは言いがたいことも事実である。)
左又出合 左又出合滝  不動谷(オオタイ谷)林道から不動滝コースに入り5分も行くと、左手へ植林用の仕事道が別れている。不動滝コースとはここで別れ、この仕事道をとる。直接不動滝左岸を捲くことも可能だが、滝付近は神域なので遠慮すべきだ。
左又ゴーロ 屈曲部の涸れた滝  右下に不動滝を捲き、しばらく先で仕事道は右岸小沢の方へ別れる。ここは右手の本流沿いの道をとる。この先、仕事道はだんだん不明瞭となってくる。
 谷が2つに分岐する地点は、左右の谷の中間尾根をとり、荒れた植林帯をたどる。
中間部の階段滝 見通しは全くきかないので赤テープと地図、それにカンだけが頼りだ。ひたすら本流とおぼしき谷筋を行くと、明るい自然林の斜面から、左手の沢へ自然に入ってゆく。ここらあたりまで休まず歩いても、1時間はかかるだろう。
 ここからは谷沿いに行くのだが、杉の倒木が幾重にも谷を塞いでいるので、気が重くなる。赤いテープもまったく見当たらない。倒木をかわしながら、サッパリしない谷を100mほど登ると、行く手は急に岩が増えて、植林帯を脱する。ここは、すでに頂上直下の滝場の下部に達している。
 最初の3m滝を右から越え、二股に出る。左の谷も上部は崩壊壁を覗かせている。

左:最後の滝場、入り口の滝。右端を直登できる。12月初旬。

右:同氷結前に積雪した滝。12月中旬

下左:氷結が始まった状態。12月下旬

 最初の3m滝を右から越え、二股に出る。左の谷も上部は崩壊壁を覗かせている。

右:入り口滝の上。階段状に80mほど続く脆いルンゼとなっている。

 最初の3m滝を右から越え、二股に出る。左の谷も上部は崩壊壁を覗かせている。次に右の支流左岸のブッシュの急斜面へ逃げる。ブッシュをつかんで50mほど登り、元の谷へ戻ると、すでに水流はなくなっている。

左:階段ルンゼ中間部を登る。雪の中に氷が隠れているので注意が必要

右:階段ルンゼ最上部から不動谷を見下ろす

   ルンゼ状の岩場を30mほど登ると源流帯となり、急斜面10分ほどの薮こぎで、頂上すぐ西側の一般路に飛び出す。

左:最後の岩壁帯に食い込んだ小ルンゼ

左又終了点 注意:坂本谷上流と同じく、雨後の立ち入りは危険だと思われる。

不動滝ハイキングコースから見た不動谷と三峰頂上

所要時間:不動滝コース入口から稜線まで1時間50分
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