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2006年11月下旬
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21日 ▼そういうものに私はなりたくない ▼“へんな本” 初版はあるのか?
22日 ▼名張市役所のみなさん失礼しました ▼装釘考 23日 ▼駐車場のがっくりと来館者のがっかり ▼9 秘密を盗み見る快楽 24日 ▼書誌系サイトの国枝史郎 ▼「怪人二十面相」解説 25日 ▼おきつもの名張市役所へ行ってきた ▼解説 26日 ▼横溝正史がらみの乱歩トピックス二件 ▼土蔵で練った推理小説 27日 ▼あまり出来のよろしくないみなさんや ▼私が選ぶベスト乱歩 28日 ▼あれも委員会これも委員会 ▼五代の黒蜥蜴 29日 ▼乱歩生誕地碑の横に新しい碑を ▼著作権の保護期間 30日 ▼締切の朝を迎えて結論を出す ▼巨匠の挿絵故郷に残そう |
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きのうはご心配をおかけしました。おかげさまでメールを無事送信することができました。 問題は名張市役所オフィシャルサイトのこのページなのであって── このページには市街地整備推進室のメールアドレスが「shigaichi@city.nabari.mie.jp」と記されております。それをクリックするとメールソフトが開かれるのですが、その送信先のアドレスはきのう朝の時点ではなぜか「city-plan@city.nabari.mie.jp」となっておりました。それはほらこれこのとおり。
ところがきょうは「shigaichi@city.nabari.mie.jp」をクリックするとメールソフトには「shigaichi@city.nabari.mie.jp</A,」というアドレスが表示され、これでもまだおかしいですから「</A,」を削除して「shigaichi@city.nabari.mie.jp」に送信いたしましたところ、今度は送り返されてくることはありませんでした。めでたしめでたし。 メールの文面はきのうとまったくおなじなのですが、末尾の日付をきょうのものに改めました。
添付ファイルも同様で、末尾の日付だけを変更しました。
まるでいやがらせみたいに添付ファイルの文面を再掲してみた次第ですが、一日も早くご連絡を頂戴したいものです。このままだと私はお仕事が進まなくて職務怠慢ということになってしまいます。職務怠慢となればリストラの口実にはうってつけではありましょうけど。ていうかその気になればリストラの口実なんていくらでも見つかりましょうけれど。 さてお立ち会い。ここで念のために申しあげておきましょう。上の文書に私はかくのごとく記しました。 ──当面そのことを不問に付しております。 しつこくもくり返しておきますと、初瀬ものがたり交流館、乱歩文学館、ミステリー文庫という三つの施設のことは名張まちなか再生プランのどこにも記されておりません。これは厳然たる事実です。 それらが名張まちなか再生委員会の手によってまったく恣意的に具体化されようとしているというのも、やはり事実であるといわざるをえないでしょう。プランそのものは市議会のチェックや市民のパブリックコメントといった一定の手続きを経て決定されましたが、プランに書かれていない構想はそうしたバリアを、ではなかったハードルをクリアしていないからです。 ただしさらに念のために記しておきますと、名張まちなか再生プランの2006年度実施事業にあげられている「(仮称)初瀬ものがたり交流館改修工事」と「(仮称)乱歩文学館基本計画策定」には2006年度の予算がつけられ、それは名張市議会の承認も得ておりますから、これもまあおかしいというかひどいというか、古いやつだとお思いでしょうが筋の通らぬことばかり。 名張市議会のみなさんやーい。たまにはしっかりしましょうねー。揃いもそろってばかですかー。 いやいかんいかん。こんなことを口走っておってはいかんぞ。これは撤回しておこう。 上に記しました文章のうち「揃いもそろってばかですかー」という発言は撤回いたします。そのうえで名張市議会議員のみなさんにお詫びを申しあげます。 お詫びのしるしに名張市のサイトにある市議会議員名簿のページをご紹介申しあげておきましょう。 どうもご無礼つかまつった。 そんなことはともかく名張まちなか再生プランの話ですけれど、私はこうした異常な事態を放置し、のみならずそれに加担さえしている行政の責任はきわめて重大であり、市議会議員のみなさんもいったいどこに眼をつけてやがんだばーか、と考えてはいるのですが、しかしそれでも、 ──当面そのことを不問に付しております。 わかりやすくいいますと、私はこの件にかんしては名張まちなか再生委員会のみなさんを怒ったりいたしませんし批判もいたしません、ということです。私はミステリー文学館とやらの構想を知りたい。ただそれだけです。虚心坦懐にそう考えているだけです。そうしないとお仕事が進みません。ですから安んじて構想をお知らせいただきたい。 お訊きしたいことはいろいろとあるのですが、最大の問題はやはり乱歩の扱いでしょう。ミステリー文庫という施設において乱歩はどのように位置づけられているのか。それをぜひとも知りたいな。知りたいなったら知りたいな。 私がいくら優秀じゃとて、名張まちなか再生委員会が検討している(との仮定で話を進めているわけですが)ミステリー文庫のことを私が勝手に決めるわけにはまいりません。私は名張まちなか再生委員会の自主性や主体性を尊重しております。名張まちなか再生委員会は名張地区既成市街地再生計画策定委員会の自主性や主体性を無視して名張まちなか再生プランをいいように変更してしまいましたが、私はそういったことはいたしません。そういう人間に私はなりたくないのである。 それはまあ、自分たちの自主性や主体性を明確にするとそれなりの責任なんてものが生じてしまいますからそんなものはできるだけ曖昧に、いっそないものと考えることが責任回避の第一義であり、名張市役所のみなさんはたぶん日々そんなことに憂き身をやつしていらっしゃるのでありましょうけれどこのこんこんちき、そういった責任回避体質は名張まちなか再生プランにも策定の当初から現在まで濃厚ににじみ出ているから気をつけなければいかんぞ。みずからの自主性や主体性をつねに明確にし、他人の自主性や主体性を重んじることが必要である。 名張まちなか再生プラン関係者のみなさんやーい。ちっとは気をつけましょうねー。
さあ学校へ行ってこよう。といったってきょうも楽しい校外学習。本日は名張郵便局の前にある皇學館大学まちなか研究室事務室にどやどやお邪魔することになっております。 ああそうだ。授業が終わったらその足で名張市役所に押しかけることにしようかな。 名張市役所のみなさんやーい。よろしくお願いいたしまーす。 |
名張市役所のみなさん。きのうはどうも失礼いたしました。 ──ああそうだ。授業が終わったらその足で名張市役所に押しかけることにしようかな。 とかなんとか申しあげておきながら、きのうは名張市役所に立ち寄ることができませんでした。どうも申しわけありません。 私も行こうとはしたんです。きのうは名張郵便局前にある皇學館大学まちなか研究室事務室で校外学習があったのですが、まずこの件について説明しておきますと、あれは十日ほど前のことになるでしょうか、私は所用があってこの事務室にはじめてお邪魔したのですが、たまたま皇學館大学の先生にお目にかかりましたので、初対面でこんな厚かましいことをお願いするのもあれなのだが、とは思いながら、自分は週に一度名張高校の先生をしているものであるが、この事務室でまちなか研究の成果を私の教え子にレクチャーしてやってはいただけませぬか、と切り出してみましたところご快諾をいただき、ただしその先生は日程の都合で無理だからと別の先生をご紹介いただいてきのうの授業となりました。 プロジェクターを利用して名張の古い写真などもたっぷり見ることができ、じつに面白くてわかりやすい授業でした。さすがにプロの先生はちがうものだなとアマの先生としていたく感服しながら生徒とともに栄町の皇學館大学まちなか研究室事務室をあとにし、それから生徒とは別れて自動車を停めてあった丸之内の市営駐車場に行ってみましたところ、駐車料金が三百円と表示されておりました。 百円玉をみっつ投入しなければなりません。ところが財布のなかには百円玉が一枚もありませんでした。ありゃ困ったなと思って駐車場の横にある御菓子司さわ田の店内に入ってみたもののこれといって購入したい商品もなく、店頭で販売している粒あん入りの回転焼き(東京のほうでは今川焼きと呼ばれるあれのことですが)が眼につきましたのでそれをふたつ買って小銭をつくり、駐車場の料金を支払って自動車に乗り込みました。 その時点ではまっすぐ名張市役所に行くつもりだったのですが、つづきはまたあしたつづります。
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きのうのつづきです。 おととい、御菓子司さわ田のあれは何店というのか、鍛冶町の本店ではない丸之内の支店で回転焼きふたつを購入してそのおつりで市営駐車場の料金を支払い、自動車をスタートさせながら私は、 ──あ。 と思いました。 ──見本がなくなったではないか。 何の見本なのか。画像でごらんいただきましょうか。まだ完成しておりませんのでごくアバウトなところになりますが、版下の PDF 画像を GIF 画像にしてみました。クリックしても大きな画像が開かれることはありません。 「名張まちなかナビ」というタイトルくらいはかろうじて判読可能か。A4サイズ両面四色の印刷物の片面なのですが、名張高校の授業で現在こういうのをつくってるわけです。私の授業は三重県教育委員会から2006年度「元気な三重を創る高校生育成事業」のなかの「地域との絆を育む高校生支援事業」としてご指名を受けており、ですから私は教え子ひきつれて名張のまちの校外学習、あっちこっち歩きまわって地域とのきずなを深めている最中なのですが、県教委からは五万円の予算を頂戴できるとのことですからしめしめ、そのお金で名張のまちをガイドする「名張まちなかナビ」を発行することにしております。わずかA4一枚のチラシというかリーフレットというか、まあそういったものなのですが、これがなかなかのものであると思っておいていただきましょう。 それで私はおとといのこと、名張市役所に足を運んだついでに商工観光室にもお邪魔して、この「名張まちなかナビ」の配付にかんして職員の方のアドバイスを仰いでこようと考え、モノクロで印刷した見本を携えて家を出たのではありましたが、皇學館大学まちなか研究室事務室でお世話になった先生にその見本をお渡ししてしまいました。「名張まちなかナビ」には皇學館大学のことも出てきますので、ほかの先生にもごらんいただくため大学にお持ち帰りいただいた次第です。 見本を二セット用意して家を出ればよかったのですが、それに気がつかなかったのが身の不運。ていうかばか、うーん、ばか。ゆえに私は自動車をスタートさせながら、 ──あ。見本がなくなったではないか。 と気がついてがっくりし、じつはちょっとしたことでも大学受験に失敗した高校生のような挫折感をおぼえてしまう人間である私はああもうきょうはだめだ、きょう一日の段取りは無茶苦茶になってしまった、もう市役所へは行けない、どっかそこらでお茶でも飲むか、とてんでやる気のない営業マンみたいに市役所行きを諦めてしまいました。 名張市役所のみなさん。おとといはどうも失礼いたしました。まことに申しわけありません。 しかしまあきょうあたりは、と考えてもみたのですが本日は勤労感謝の日でお休みか。ああもうきょうもだめだ。きょう一日の段取りはすでにして無茶苦茶である。 気分転換のため伊賀市の話題にでも移りましょうか。昨日付毎日新聞の記事をどうぞ。
まあしかたないか。芭蕉さんがゆくだの伊賀の蔵びらきだのとうわっつらだけのちゃらいことは税金どぶに捨てながらいくらでもできるようだが、肝心なことは何も決められず結局ほったらかしにしておくしかないということか。あーこれこれ伊賀市のみなさんや。みなさんはまるで名張市のみなさんのようである。 そんなことはともかくとして、私はこの記事にある、 ──同記念館は「コンピューターや動画を活用した視聴覚コーナーを設置したいが、スペースがない。(展示に)がっかりして帰る来館者もいる」と話す。 というくだりを読んで大袈裟にいえば胸ふたがる気分になり、なんとも暗然としてしまいました。 がっかりして帰る来館者もいる。 これはそのまま名張市の乱歩文学館だかミステリー文庫だかにもあてはまる言葉でしょう。乱歩にしろミステリーにしろいかようにも面白く加工できる一級品の素材ではあるのですが、乱歩のらの字もミステリーのみの字も知らぬうすらばかがプランニングしているというのですから話にはならぬ。きょうびはやりの言葉でいえばじつにもったいない。もったいないことこのうえない。 歴史資料館だか初瀬ものがたり交流館だか乱歩文学館だかミステリー文庫だか、何がなんだか私にはさっぱりわからぬのであるけれど、とにかくたしかなのはこれらの施設整備を検討しているのが官民問わず不勉強無教養不見識無責任なうすらばかばかりだということであり、もうひとつ確実なのは、 ──がっかりして帰る来館者もいる。 という将来の姿でしょう。ていうか、がっかりして帰る人ばかりではないのか。
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出ました。 いきなり出ました、なんていうと時季遅れの幽霊みたいな感じになってしまいますが、作品社から『国枝史郎伝奇短篇小説集成』が出ました。えらいボリュームの全二巻。 未知谷の『国枝史郎伝奇全集』第五巻と第六巻、作品社の『国枝史郎探偵小説全集』と『国枝史郎歴史小説傑作選』、そこにこの『国枝史郎伝奇短篇小説集成』全二巻を加えれば国枝史郎の短篇小説の全貌がほぼ把握できるというしろものです。 それにしても書きも書いたり。作品の多さにまず圧倒され、いやおれは乱歩でよかったと安堵の吐息のふたつみつ。長く埋もれていた作品をこの二巻のために発掘する労に思いを馳せるにつけても、いやほんとに乱歩でよかった助かったと胸をなでおろすような気分になります。 第一巻に収録された末國善己さんの「編者解説」に乱歩の名前が見えるのですが、きのうの「本日のアップデート」に登場した高橋敏夫さんの郷田三郎論にも関連しておりますので引いておきましょう。大正10年8月の「講談倶楽部」に発表された「最後の曲芸」の解説です。
さてさて、こういった本を前にすると書誌系サイトの血が騒ぐ、ってやつですか。この名張人外境がいつ書誌系サイトになったのかは知らねども、全二巻の収録作品をすべて列挙しておくことにいたしましょう。と考えて版元のサイトを見てみたら全二巻百八篇のタイトルが紹介されているではないか。よーし。負けない。誰に負けないんだか何が負けないんだかよくわかりませんが、うちはもう初出誌紙まで載せちゃう。何を考えておるのか。 それでは全二巻の内容をどうぞ。画像をクリックすると作品社オフィシャルサイトの紹介ページが開きます。
はっきりいって書誌系サイトってのもこれでなかなか大変です。
ごらんのとおり発表順に収録されておりますので、第一巻から収録順に読んでゆくならばこれまであまり注目されることのなかった(と思われます)国枝史郎の短篇作法がどう変化していったのか、そんなこともつぶさに知ることができるはずです。気になるお値段は第一巻も第二巻も本体六千八百円。いずれも限定千部。
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行ってまいりました。 昨24日金曜日、私は名張市役所に行ってまいりました。 まず四階の産業部商工観光室にお邪魔して── 名張高校が編集発行するこの「名張まちなかナビ」についてアドバイスを仰いでまいりました。これは観光案内のパンフレットみたいなものだと思っていただいて結構なのですが、できあがったらとにかくあっちこっちにばらまきたい。三重県教育委員会から、ということは三重県民の税金から五万円をいただいて発行するのですから、「名張まちなかナビ」は税金の使途としてできるだけ有効でありたい。 名張市が観光パンフレットをつくった場合、市外や県外にはどういうルートで配付しているのであろうか。私はそれを教えていただくべく商工観光室に足を運んだのですが、実際にはそうしたルートみたいなものは存在していないようで、市外では三重県観光連盟(津市にあります)、三重県大阪事務所(大阪駅前第四ビル八階にあります)といったところ、市内では名張市観光協会、日本サンショウウオセンター、やまゆり食堂、伊賀地域内ということであれば名阪国道の伊賀ドライブイン、そんなようなあたりに「名張まちなかナビ」を置いてもらってはどうかとのご助言を頂戴いたしました。 配付ルートについてはもう少し考えてみたいと思います。それに市外県外もいいけれど、まずもって名張高校の生徒全員とか教職員全員とか、あるいは名張市職員全員とか、そのあたりを視野に入れてかかる必要があるのかもしれません。しかしそうなるとずいぶんたくさん印刷しなければならず、だいたいが五万円しかないのだからと印刷屋さんにはかなり強引に泣いてもらうことになっておりますので、このうえ部数を増やすなどというのは不可能か。いっそ身銭を切って増刷するか。いやなんとも悩ましい話である。頭が痛くなってきた。 そのあと私は、おなじく市役所四階にある都市環境部市街地整備推進室にお邪魔しました。名張まちなか再生プランの担当室です。 この「名張まちなかナビ」には名張まちなかの地図を掲載し、細川邸の紹介も記入することにしております。内容はこんな感じ。
「名張まちなかナビ」には2007年1月23日という発行日も記載しますから、あくまでもその時点での紹介としてこれでいいのかどうか。それを確認していただいたところ、まあいいのではないかとのお答えを頂戴しました。 そのあと問題のミステリー文庫の話題に入ったのですが、何が何やらよくわからない状態になっているみたいです。 ここでお知らせをはさんでおきましょう。名張市民のみなさんは上本町にある「休処(やすみどころ、と読むのだと思います)おきつも」をご存じでしょうか。11月4日、ということは例のコミュニティイベント隠街道市の初日にオープンしたサロンです。「名張まちなかナビ」にはこうあります。
私はきのうはじめてお邪魔したのですが、町屋の一階がサロンとして開放され、畳の座敷にソファやテーブルが置かれたごく普通の空間。皇學館大学の学生さんがコーヒーや紅茶を出してくれるのですが、よし、ここにしよう、と私はきのう決めてきました。何を決めたのかというと授業を決めてきたわけで、12月の校外学習はこのサロンにのたくりこんで大学生のお兄さんお姉さんと高校生が名張まちなかについて語り合う、といったことになります。できるだけたくさん学生さんに集まってもらうようお願いしてきましたので、なんだか私も楽しみである。 名張市民のみなさんもぜひ一度、この休処おきつもにお立ち寄りください。上本町といってもアーケード街ではなく、アーケードから出て名張駅に向かう道路の右側にあります。コーヒーは一杯二百五十円でした。 ちなみに「おきつも」とは何か。「名張まちなかナビ」の「まちなかプチ情報」から引いておきましょう。
これだけではわからんか。ならば三省堂の大辞林ネット版から。
以上、お知らせでした。ミステリー文庫の話題はまたあすにでも。
最後にもうひとつお知らせ。きょうは横溝正史生誕地碑の建立二周年記念イベントの日です。詳細は「番犬情報」でどうぞ。 |
いよいよもって奇々怪々なのが名張市のミステリー文庫構想なのですが、その話題に入る前にきのう神戸で催されました横溝正史生誕地碑の建立二周年記念イベントにかんする報告をごく簡単に。 新開地にある神戸アートビレッジセンター三階で神戸探偵小説愛好会の野村恒彦さんによる発表「横溝正史の作品と挿絵──『新青年』を中心に」が行われました。乱歩関連のトピックスをふたつ。 横溝正史が「新青年」昭和4年2月増刊号に発表した「双生児」は、タイトルの左にこう記されていたそうです。
いわゆるサブタイトルのような扱いらしいのですが、「Asequl」とは何か。発表を終えた野村さんにお願いしてホワイトボードにこの英文を書き出していただき、それを眺めながらふたりで首をひねっておりましたところ、参加者のおひとり(どなたなのかは存じませんが、やや年配でいかにも先生という印象の方でした)から最初の「A」は冠詞ではないか、つまり「A sequl」ではないかとの助言を頂戴しました。なるほどそれなら体裁は整います。ならば「sequl」って何? やっぱり意味がわからない。 さっき調べてみましたところ、「sequl」は「sequel」の誤植であることが判明しました。「sequel」には「(文学作品などの)続編((to, of ...))」との意味があるといいます(小学館のプログレッシブ英和中辞典ネット版の語釈によります。現物はこちらでどうぞ)。 ですから「双生児」のタイトルに添えられていた英文は正しくはこうなります。
名張市観光協会御用達(などといつまでも意地の悪いこといってちゃいけませんけど)、Yahoo! 翻訳で和訳してみると──
要するに乱歩が大正13年10月におなじく「新青年」に発表した「双生児」の続篇である、ということでしょう。この英文は正史自身がタイトルに書き添えたものと見るのが妥当なはずで、だとすればここにこめられていたのは乱歩への敬愛であったのか、あるいは敵愾心のようなものであったのか。敵愾心といってしまうと大仰にすぎましょうけれど、正史の本心を勘ぐってみたくなるのは事実です。そういえば、きのうの横溝正史生誕地碑建立二周年記念イベント記念大宴会でも乱歩と正史の複雑な関係性がひとしきり話題になっておりましたっけ。 トピックスその二。発表の会場では野村さんの蔵書が回覧されたのですが、そのなかに正史の『鬼火』がありました。昭和10年9月10日に出た本で、発行は春秋社、発売は松柏館。巻末には何ページにもわたって書籍の広告が収録されており、なかに乱歩の『人間豹』が見つかりました。昭和10年5月まで連載され、10月に刊行された作品。広告の惹句が面白かったので書き写してきました。
昭和10年の9月といえば乱歩は満四十歳(10月で四十一歳ですけど)。四十歳で「元老」なんですからたいしたものだといえばいいのか、なんだかずいぶんな老人扱いだといえばいいのか。現代の感覚からは大きくずれていますが、当時は四十で元老であっても違和感はなかったのかもしれません。夢野久作なんてまだ若いのに「老生」という一人称をつかっていたと記憶しますし。にしても、「久し振りに」という言葉からは乱歩がすでに探偵小説の書き手としては過去の人であったみたいなニュアンスが感じられてしまうのですが、読者諸兄姉はいかがお考えでしょうか。 さて、きのうの大宴会でもちょっと話題にするだけで大笑いされてしまった名張市のミステリー文庫、その奇々怪々な構想についてはまたあすにでもつづりましょう。
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なッ、なんてことをするんだッ。 思わずのけぞってしまいました。 横溝正史生誕地碑建立二周年記念イベント記念大宴会で話題になっていたのに失念してしまい、さっき思い出してあわてて検索してみたところやはり出版されているではありませんか。こんな本が。 またしても乱歩全集です。版元は沖積舎。昭和36年から38年にかけて刊行された桃源社版乱歩全集全十八巻の復刻版で、函とカバーがついておるそうな。 なッ、なんてことをするんだッ。 光文社文庫版乱歩全集全三十巻が今年2月に完結したと思ったら、今度は全十八巻の復刻版全集か。本体三千円かよ。どうあっても購入しなければならぬところではあろうけれども、いまさら桃源社版全集を復刻されてもなあ。どうしてこういうことするかなあ。まあいいか。光文社文庫版全集とともに座右に備えておけば桃源社版全集で乱歩がどのような斧鉞を加えたのか、それを手軽に照合することができるであろうしなとでも考えておくことにいたしましょう。くわしいことは第一回配本の『パノラマ島奇談』を入手してからまたいずれ。 なッ、なにをやっておるのだッ。 思わずのけぞってしまいました。 ミステリー文庫の話題です。ほんとに驚いてしまいますから心してお読みください。 何から記していいのやら、なんだか途方に暮れてしまいそうな感じもありますので、結論から書いておきましょう。私が名張市役所を訪れ、名張まちなか再生プランの担当セクションである都市環境部市街地整備推進室にお邪魔したのは11月24日金曜午後のことでしたが、私はそのおり、庁舎内部でミステリー文庫を検討しているみなさんからおはなしをお訊きしたい、できれば市立図書館においでいただきたい、日程が決まったらご連絡をいただきたい、とお願いして市街地整備推進室をあとにしました。 庁舎内部での検討とはいったい何か。 いや、その前に乱歩文学館のことに触れておきましょう。今年7月に出た「広報なばり」で今年度中に「(仮称)乱歩文学館基本計画策定」を行うとされていたあの施設のことですが、市街地整備推進室で乱歩文学館の話はまだ生きているのかとお訊きしてみたところ、どうもややこしいことになっているようです。乱歩文学館の構想はまだ生きているという見方もあれば、乱歩文学館からスタートした協議がミステリー文庫に落ち着いたとの認識もあるようで、要するにとっても曖昧、五里霧中、なんとも奇々怪々なことになっているとしかいいようがありません。 そしてそのミステリー文庫にかんして現在、なんと庁舎内部で検討が進められているとのことなのである。庁舎内部でというのは名張市役所の職員によってということです。 なッ、なにをやっておるのだッ。 ミステリー文庫とやらは名張まちなか再生プランの一環として名張まちなか再生委員会が検討しているのではなかったのか。どうしてまた庁舎内部で検討されたりなんかしているのかしら。質してみますと、名張まちなか再生委員会から名張市に対し、乱歩文学館というかミステリー文庫というか、あるいは桝田医院第二病棟の活用策というか、とにかくそういった問題にかんして大略こんなようなことが伝えられたそうです。 ──名張市が方針なり方向性なりを示してくれなければ自分たちは何も決められない。 ばーか。まったくばーかとしかいいようのない申し出ではあれど、とにかくこれを受けて名張市教育委員会あたりが庁舎内部での検討とやらを進めているという寸法であるらしい。それにしてもいまごろになっていったい、 ──なッ、なにをやっておるのだッ。 と私は思います。 あーこれこれ名張まちなか再生委員会のみなさんや。そういうご託は最初に並べろ。手前どもはきわめて不勉強無教養不見識無責任な人間でございますので施設整備の検討などというだいそれた真似はとてもできかねます、と最初にいえ。この期におよんで泣きごと並べてんじゃねーぞこのとんちき。 いいかこら名張まちなか再生委員会のみなさんや。あんたらのおつむの程度なんてこちとら最初からお見通しである。論より証拠。昨年7月5日付伝言から引きましょう。7月1日に名張市役所を訪れ、名張まちなか再生委員会についてあれこれお訊きしてきたときの報告です。
ハードボイルドだど。 ついでですから翌6日付伝言からも。
ちゃんと書いてありましょうが。私は名張まちなか再生委員会事務局で昨年の7月1日、 「このあまり出来のよろしくないみなさんに一本釘を刺しておきたい。そういう場を設けてもらいたいのだが」 と申し出たわけです。「このあまり出来のよろしくないみなさん」というのは名張まちなか再生委員会の歴史拠点整備プロジェクトのみなさんのことです。私は相手にしたくなどないのであるが、そのみなさんが「江戸時代の名張城下絵図や江戸川乱歩など名張地区に関係の深い資料を常設展示する」歴史資料館の整備を検討するとおっしゃるのですから、私は立場上からいっても委員会への協力を申し出ないわけにはまいりません。すると事務局スタッフから、 「釘を刺すとはどういうことですか」 との質問がありましたので、 「知識の注入。ここに並んでいるのは歴史資料のれの字も知らないような連中ばかりだ。名張のまちの歴史にしろ乱歩のことにしろ、プロジェクトを推進するためには最低限必要な知識というものがある」 と私はお答えいたしました。この申し出に対する回答がどんなものであったのかは、いまさら記す必要もありますまい。 まったくなッ、なにをやっておるのだッ。 ていうか、これはむしろ避けがたい必然であるというべきでしょう。こんな連中が何十人あつまったって何かを決めるなんてことできる道理がないと、私は最初から指摘しておったではないか。だから名張まちなか再生委員会のみなさんはまずまっさきに自分たちのおつむの程度を確認してみる必要があったわけなのですが、いまさらそんなこといったってはじまりません。あえて現段階でひとすじの光明を見つけておくならば、ようやくにして行政の主体性ってやつが問題視されてきたということでしょうか。 乱歩をどうする、と名張市からボールを投げられた名張まちなか再生委員会のみなさんが、そんなこと丸投げされたっておれたちはばかなんだからわからんのだ、だいたいおまえたちこそ乱歩をどうする、と名張市にボールを投げ返した。これはいい傾向でしょう(それ以前にばーかとしかいいようがない事態ではあるわけですが)。上に引いた「六月の賢人会議」から再度引くならば──
これが全国の自治体に蔓延している「協働」の本質なのであって、この言葉のかげに埋もれかけている行政の主体性ってやつを遅まきながら問題視できた点はなかなかよろしい。それを受けて名張市役所の内部で乱歩をどうする、みたいなことが検討されはじめたのだとしたらそれは喜ばしいことであるといいたいところではあるけれど、なにしろ検討しているのが名張市教育委員会あたりであるというのだから困ったものである。 名張市教育委員会なんてあんなもの、実際ろくなもんじゃねーんだぞというおはなしはまたあした。 ここでお知らせしておきましょうか。三重県が協働なる言葉を具現化するための合言葉「新しい時代の公」は県民の74%に知られていない、というアンケートの結果が報じられておりました。ご参考までに。
協働ってやつもなかなか大変みたいです。
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それではきのうの予告どおり、名張市教育委員会なんてろくなもんじゃねーんだぞというおはなしです。 まず「乱歩文献打明け話」の第四回「ああ人生の大師匠」から引きましょう。1998年3月に発表した文章です。
あーこれこれ名張まちなか再生委員会のみなさんや。普通はこうです。ものごとというものは普通こんなぐあいに進めます。私は名張市立図書館から要請されて乱歩資料担当嘱託になったわけなんですから、名張市や名張市教育委員会が乱歩にかんして何を考えているのか、乱歩をどうするつもりなのか、そのあたりの事情を知っておく必要があります。これはあたりまえの話です。 ところがみなさんと来た日には、名張まちなか再生プランに片言隻句も記されていなかった桝田医院第二病棟の活用策を勝手に検討しはじめてしまいました。乱歩文学館なんだかミステリー文庫なんだか知らんけれど、しょせんは乱歩のらの字もミステリーのみの字もわきまえぬ有象無象どもめ。去年の6月から大騒ぎしたあげくがこのざまか。いまごろになって名張市の方針だの方向性だのとごちゃごちゃぬかしてんじゃねーぞこら、と私は思う。 いっといてやる。名張市には乱歩にかんして方針もなければ方向性もない。そんなものは何もない。見事にない。あってたまるか。それは私が保証してあげよう。「乱歩文献打明け話」の第四回「ああ人生の大師匠」からふたたび引くぞえ。上の引用につづく段落ぞなもし。
あーこれこれ名張まちなか再生委員会のみなさんや。普通はこうです。私は名張市なり名張市教育委員会なりの意向を知りたいと思った。だから教育委員会のしかるべき地位にある方(当時の教育長のことですけど)に文書で質問した。しかし何の返答もなかった。見解も方向づけもいっさい示されなかった。まあそんなことであろうなと私は了解し、そのうえでお役所の意向とはかかわりなくみずからの判断にもとづいて江戸川乱歩リファレンスブックのお仕事にとりかかった。 ですからですね名張まちなか再生委員会のみなさんや。名張市に乱歩のことで何かを尋ねたって返事なんか絶対にありゃせんぞ。連中の頭はきれいにからっぽだ。名張まちなか再生委員会のみなさんとおなじようにからっぽだ。名張市教育委員会であろうが名張市であろうが、乱歩のことを本気になって考えたことなんてただの一度もないのである。もうずーっと五十年ほどそうなのである。名張まちなか再生委員会のみなさんとて同断であろう。桝田医院第二病棟の活用を検討する人間が乱歩作品を読んでなくてどうする。乱歩を知らなくてどうする。ばかかおまえら。 とにかくもう官であれ民であれ、この名張という名の土地に住むうすらばかどもの本音は明白である。去年の8月4日にすっかり明らかになってしまったのである。
こらインチキ委員会(この場合の委員会というのは名張まちなか再生委員会のことを指しております)のみなさんや。みなさんのお仲間がこんなふうに宣言してくれておるではないか。
何回読んでも笑えるけれど、これがみなさんの本音でしょう。名張市教育委員会だってそうである。 こらインチキ委員会(この場合の委員会というのは名張市教育委員会のことを指しております)のみなさんや。みなさんはいったい何を検討しておいでなのか。乱歩文学館だかミステリー文庫だか、とにかく桝田医院第二病棟の活用策を検討していらっしゃると私は聞き及んでいるのですが、乱歩もミステリーも知らぬ人間がからっぽの頭あつめて何を検討しようというのかな。まったく無駄な検討だというしかないのであるけれど、それがみなさんの公務ってやつなのかな。 しかしまあこれこれ名張市教育委員会のみなさんや。そんなこといっててもしかたありませんからお会いすることにいたしましょう。私は11月24日に名張市役所の市街地整備推進室にお邪魔して、庁舎内部でミステリー文庫を検討しているみなさんからおはなしをお訊きしたい、できれば市立図書館においでいただきたい、日程が決まったらご連絡をいただきたい、とお願いしてきたわけなのですが、現在ただいまは図書館においでいただくための日程調整におおわらわといったところでしょうか。ご多用中まことに申しわけありませんけれど、早く連絡してくださいね。
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あーこれこれ名張市教育委員会のみなさんや。お返事はまだかな。私の経験からいいますとこの時期におけるみなさんの逃げ口上はただひとつ、市議会定例会が近づいておりますのでいずれまたあらためまして、ってやつなんですけど、そんなこといってる余裕はあるのかな。早くしないといかんのではないかな。 いやいや、早くしたっておなじかもしれぬ。町村合併で発足してすでに五十年あまり、乱歩にかんしてずーっとずーっと無策無能でありつづけた名張市という自治体がいきなり乱歩文学館だのミステリー文庫だの、煎じつめれば乱歩をいったいどうするのかという難問に答えを出せるわけがない。ものごとを考える能力もなければ乱歩のこともミステリーについても何も知らない。そんな人間が何十人あつまって検討とやらを重ねてみたところで何もまとまらぬ。検討はまったく無意味である。そんな時間があるのであればそれを利用してそこらの便所掃除やってたほうがまだましである。 あーこれこれ、などと甲斐ない呼びかけを重ねるのにも飽きてきた。われながらよくもこんなにおなじことばかりいいつづけられるものだと感心してしまいます。試みに「乱歩文献打明け話」の第三回「わが悪名」から引いてみましょう。1997年12月に書いたものです。
いまとおなじことを私は九年前にもいってるわけです。名張市はもう乱歩から手を引けと。思いつきでうわっつらだけ飾るのはいい加減にしておけと。ほんとにうんざりしながらいってたわけです。 それがこのうすらばかども何が乱歩文学館だミステリー文庫だいい加減にしろといっておるのがわからんのかこのこんこんちき。やるのならちゃんとしたことをやれ。できないのなら何もするな。無駄に税金をつかうな。せっかく寄贈していただいた桝田医院第二病棟ではあるけれど、活用策を見事に考えつけないのだからいたしかたあるまい。 「幻影城」 とか、 「うつし世はゆめ よるの夢こそまこと」 とか刻まれた乱歩生誕地碑の横にもうひとつ碑を建てて、 「幻滅城」 とか、 「うつし世はばか よるの夢でもばか ねてもさめてもばか」 とか刻んだうえ、 ──この土地はこの地に誕生した江戸川乱歩に関連して活用することを前提に土地所有者の方からご寄贈いただきました。名張市における官民双方の精鋭を結集して鋭意だらだら検討を進めましたが、びっくりしたことに有効な活用法を何ひとつ考えつくことができませんでした。よってまことに遺憾ながら粛々とこのまま放置しておくことにいたします。いまはただ百年河清を俟つの心境でございます。あらあらかしこ。かしこくないけど。 とでも書いておけ。それで済む話ではないか。とにかく笑えるし。 いや済まないか。そんなことでは済まないか。あーこれこれ名張市教育委員会のみなさんや。そんなことでは済まないのかな。ならばどうする。どうするの。みなさんがいくら検討したって何も決まらない。それだけはたしかだ。 さあどうするの名張市教育委員会のみなさんや。とにかくおはなしをうかがいたく、早く連絡してきてくださいね。してきてくんないのならこちらから名張市役所にお邪魔いたしますけど、あんまり世話を焼かせるな。
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ありゃりゃ。もう11月もおしまいではないか。あーこれこれ名張市教育委員会のみなさんや。 いやもうやめておこう。何いったって聴く耳はもたぬであろう。考えてみれば最初からそうである。名張市教育委員会にかぎった話では全然なくて、名張まちなか再生委員会の関係者は、ていうか名張まちなか再生プランの関係者は最初から聴く耳などまったくもっておらなんだのじゃ。私の進言に耳を傾けておきさえすれば、いまごろになってこれほどじたばたする必要もなかったであろうものを。 ばーか。 こうなったら、と私は思うのですが、名張市は名張まちなか再生プランにかんする住民説明会を開くべきではないでしょうか。細川邸はこうします桝田医院第二病棟はこうします、みたいな結論が出ていなくてもいっこうにかまいません。プランの現状がいったいどうなっているのか、それを正直に公表するだけでかまわない。ところが実際はあいもかわらぬ隠蔽体質。ごくかぎられた数の人間がかげでこそこそ密談し、市民のコンセンサスなどはなから無視したうえ名張まちなかに潜在している可能性の芽を踏みにじって、あげくのはては責任のなすりあいか。 ばーか。 いっといてやるけど名張まちなか再生委員会にも名張市教育委員会にも、桝田病院第二病棟を乱歩に関連してどう活用するか、なんてことを考える能力はまったくない。乱歩文学館にしたってミステリー文庫にしたって、それを検討するためには乱歩やミステリーにかんする知識が必要であることはいうまでもないし、それと同時に乱歩やミステリーへの愛着がなければならぬであろう。 そういえば先日、11月25日に開かれた横溝正史生誕地碑建立二周年記念イベントでお目にかかったさるミステリマニアの方に、 「もしかしたら乱歩生誕地碑のある場所にミステリー文庫とかいうのができて、へたしたらNPOが運営することになりそうです」 と嘆いてみましたところ、こんなお答えが返ってきました。 「うーん。そりゃよほどミステリーにくわしい会員がいるNPOでないとだめだね」 まさしくそのとおり。しかし名張市にそんな人間がいるわけありません。いらっしゃるのはそこらのなんとか委員会みたいになんだか絶望的な人たちばかり。どこにミステリーの知識があるの。どこに乱歩への愛着があるの。何もないではないかいな。すっからかんのかーらからではないかいな、桝田医院第二病棟をどうするこうするとあーでもないこーでもないと検討していらっしゃるみなさんは、もしかしたら乱歩の生家がどこに建っていたのかさえご存じないのではないかいなと案じられる次第なのですが、しかし心配はご無用。きょうはトンボのない画像を掲載いたしますが── この三重県立名張高等学校謹製「名張まちなかナビ」をごらんいただけば、乱歩の生家がどこにあったか程度のことはひとめでおわかりいただけるはずです。もう少し待っててね。 それにしてもきょうが30日だというのだから困ってしまう。ミステリー文庫とやらに提供する名張市立図書館の蔵書を選別するという私のお役目、きょうが締切なわけなのね。でもできない。ミステリー文庫がどんな施設として構想されているのか、運営主体はどこになるのか、そういったことが判明しなければ何もできない。このまま何もしなければ私は職務怠慢のそしりを免れぬのであるけれど、でも何もできない。ていうか、怠慢なのはいったい誰なのかな。 それでとりあえず現時点における私の結論を明らかにしておくとすれば、 ──ミステリー文庫なんかつくるな。 むろんどんな施設になるのかさっぱりわかりませんから頭ごなしに否定するわけにもまいりませんが、名張まちなか再生委員会や名張市教育委員会などというろくでもない委員会が検討しているのですからろくなものにはなりっこない。だから結論。 ──ミステリー文庫なんかつくるな。 さるにてもこんなインチキ構想がいったいどこからわいて出てきたのやら。おそらく私が名張まちなか再生プランに対して提出したパブリックコメントが火種かとも想像されるのですが、私の構想はあくまでも名張市立図書館ミステリ分室をつくれというものなのであって、そのパブリックコメントを掲載しておきますから関係各位はプリントアウトしてよく読んでごらん。下記の画像をクリックすると全十枚の文書が開かれます。 私もこの「僕のパブリックコメント」をざっと読み返してみましたが、自分はほんとにおなじことしかいってないなとあきれ返ってしまいました。よくいえば全然ぶれてないわけです。何から何までぶれまくりの名張まちなか再生プラン関係者のみなさんは、たまにゃ私を見習ったらどうよ。
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