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裁判 その(1)裁判の争点  その(2)裁判は始まったものの  その(3)もう居直った! 当たって砕けろだ!
その(4)点が線に、線が面になる
 その(5)六箇条の実践 その(6)地元医師に意見書作成を依頼 
その(7)裁判所業を煮やし公の医療機関に鑑定を依頼
 その(8)裁判所と鑑定医が対立、被告弁護士も逆襲開始 
その(9)保険会社独自の意見書で反論
 その(10)判決か和解か、戦術の見直し その(11)和解、事実上の勝訴!

裁判  その(10)判決か和解か、戦術の見直し

「和解で決着」に戦術変更

裁判というと決着は判決でなければならないというイメージを持っていました。和解という言葉には何か信念を捨てて相手と妥協するような響きもあり抵抗があります。しかし、実際には和解が結構多いようです。そしてこの場合のように、鑑定医の認定が原告・被告双方の主張を飛び越えてしまい裁判をやり直す余裕が無いというケースは和解が適当であると思います。もう裁判も5年目。原告側家族は被害者の世話のため仕事もろくにできず労力を大いに消費しています。一方被告側保険会社としても、もしこれ以上長引いて判決が出た場合、5年間の遅延損害金として莫大な利息を上乗せしなければならなくなります。

 原告・被告双方が納得の上、裁判官に和解案の提示を求めました。

裁判所の和解案

平成12年2月、裁判所は障害者等級を4級と認める和解案を提示してくれました。賠償額もほぼこちらの主張を入れています。弁護士費用を除いた額としては期待していた通りでした。プライバシーにかかわることなので、ここでその詳細をお伝え出来ないのは残念ですが、大変画期的な内容です。

最後の一押し、弁護士費用を出してください!

請求賠償額が大きく、裁判期間が長いと、自然弁護士費用も莫大になります。これといった産業の無い地方では、弁護士の方々が長者番付のトップに出てくるのも道理です。正義を貫き、弱者・困っている人々を救うという職業のイメージからすると、その弱者から成功報酬をもらって豪邸に住むというのは何か釈然としないものがありますが、それが現実です。

 ともあれ、裁判が最終局面に来て賠償額が現実的になってきた今、弁護士の成功報酬について考えない訳にはいきません。そこで弁護士に電話して概算額を尋ねました。額を聞いてビックリしました。そして恐る恐る、裁判所の和解案に自動的にその費用は加算されて保険会社から支払われるのかどうか聞いてみました。答えはノー。

 これは大変です。何とかしないと下手をすれば予定の1/3が吹っ飛んでしまいます。そこでブレーンに相談して弁護士宛に、何としても弁護士費用を上乗せした額を勝ち取るようネジを巻く文書を作成してもらいファクシミリで送信しました。

「弁護士の先生には訴状作成・法廷戦術という面では確かに大変お世話になりました。しかし、裁判の最も重要な点、母の脳障害と交通事故との因果関係の証明については残念ながら全面的にお任せすることはできませんでした。先生も正直に告白しておられる通り、脳外傷をめぐる裁判は初めてだったのです。ですから申し訳無いことですが、公平な評価をさせて頂くとすれば、後は先生の専門である法廷戦術と駆け引きでご自身の報酬を勝ち取って頂かねばなりません。」

ファクシミリで送られた文書はそういった内容でした。後で裁判所近くの喫茶店で2年半に渡った裁判を振り返ったとき、こんな事を言ってくる依頼人は初めてだと大笑いされていました。その笑顔は弁護士先生と言うより人なつっこい田舎のおじさんという印象でした。

その(11)へ続く