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裁判 
その(1)裁判の争点  その(2)裁判は始まったものの  その(3)もう居直った! 当たって砕けろだ!
その(4)点が線に、線が面になる
 その(5)六箇条の実践 その(6)地元医師に意見書作成を依頼 
その(7)裁判所業を煮やし公の医療機関に鑑定を依頼 その(8)裁判所と鑑定医が対立、被告弁護士も逆襲開始 
その(9)保険会社独自の意見書で反論
 その(10)判決か和解か、戦術の見直し その(11)和解、事実上の勝訴!

裁判  その(7)裁判所業を煮やし公の医療機関に鑑定を依頼

被告人側弁護士、公的機関医療鑑定を提案

とうとう被告人側弁護士も法廷の空気を察したのか、これはもう第三者に鑑定を依頼するしかない、と提案してきました。待ってました!!これこそこちらの望むところです。

 統計に依れば、僅か1400人の査定員が年間数万件にのぼる事故を扱っているそうです。一人あたりの件数は年間1000件以上です。これでまともな査定が出来るはずがありません。彼らの年間労働日数が230日とすると一日4・5件をこなさねばなりません。さらに、査定員の多くは保険会社のOBです。公平な査定は期待できません。

 ですから、第三者に鑑定依頼と聞いて、これでいよいよ本番だと思いました。問題はその鑑定医が脳外傷に理解のある医者かどうかです。恐らく裁判所が選ぶのだから、ちゃんとした機関であろうとは思っていましたが。鬼と出るか蛇と出るか、一種の賭ではありました。平成10年11月のことです。

鑑定医、母の症状に理解を示す!

 大学病院の脳外科医でしたが、2回母を受診させました。最初の診察の日、平成11年11月30日、期待と不安が入り交じり、殆ど眠ることができずにその日を迎えました。

 幸いなことに、その医師は十分母の症状を理解してくれました。やはりあらかじめ資料を送ってあったので、もう余計なことは何も言う必要は無かったのです。資料の中には、勿論、母の日常生活を詳しく述べたものも入っています。医師は検査によって分かった脳血流の程度・脳の萎縮と症状との間に全く矛盾はないと言います。ここで遂に事故による精神障害と脳外傷がつながりました!

返す刀で地元医師を斬る

そこへいくと、地元医師は何故ちゃんと診断してくれないのだろう、と不満が出てきます。脳外傷と精神障害の関係については今勉強中です、と正直に言ってくれた若い医師もいました。しかし、それならまだずっとずっとましな方です。ひどいのになると、脳外傷については余り知らないくせに医師然とし、全く患者の家族に耳を傾けようとせず、虫の居所が悪いと怒鳴ってきたりすることです。これって無資格医療行為と同じではないでしょうか?余りにバカにした話です。

 名医と言われる人々も多くいらっしゃることだと思います。しかし、どう考えても、素人目にもこの人は危ない、と思う医師もいます。年間数多くの医療ミスが発生し、多くの人達が亡くなっている現実は当然だと思います。それらは不可抗力ではありません。原因がちゃんとあります。私が思うに、根底には医師の慢心・思い上がりがあるのではないでしょうか。いやしくも医師たる者、人の生命を預かるからには常に謙虚に最新の医療を研究し、自己を向上させて行かねばなりません。それが何か、自分たちは選ばれた者みたいな、特権階級のような意識を持っている人達が少なからず居ることは残念なことです。

 ともあれ、脳外傷について理解のある医師の所見を地元の医師の方々に見せることにより、明らかに大きな変化が現れました。素人の言うことは聞かずとも、同じ医師の言うことなら無視する訳にもいきません。残念ながらその所見は患者には見せられないということでしたが、地元医師の変化を見て、その内容は容易に察することができました。

鑑定書が楽しみ、果たしてうまく行くのかどうか

 その鑑定書が裁判所に届けば勝てる、そう信じて疑いませんでした。しかし、それがまた、そうは問屋が卸してくれなかったのです。裁判に勝つためには、もう一山越えなければなりませんでした。

その(8)へ続く